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*第2章*――天使の過去

天使が俺を持ち上げたとたん、


俺の意識は飛んだ。


いや、とんでないのかもしれない。


ただボヤーンと周りが真っ白になって、


一面光の世界みたいだった。


「おーい。」


「ん、ああ。何?」


気がつくともうついたらしい。


足が地に付いた感触がした。


でもそれはもこもこしていて、


まだあたりは一面光の世界だった。


「ここ・・どこだ?」


「ここ?ああ、ここは天界ですよ。」


「天界・・・?て、天国?」


「天国とはちょっと違いますね。


天国はちゃんと死んだ人が行って、


生まれ変わる準備をするところだから。


ここはその一歩手前。」


周りを見渡してみると、


周りにはうす黒い陰がもやもやいる。


「なんだ?黒いもやもやしかいねーぞ。」


「それは死んだ人です。


あなたも周りからはそう見えてますよ。」


「ふうん・・。」


初めて見るものばかりで、俺は生返事しか出来なかった。


「・・で、俺はここで何をすればいいんだよ。」


「死んだ理由を思い出してもらいます。」


「なんで?」


「思い出さないと生まれ変われないから。」


「生まれ変わりたくなんか・・。」


「いつまでも甘えてないで下さい。


時間が押し詰まってるんですから。


僕だって暇じゃないんですよ。」


「なんでてめー、年下の癖に。」


「はい?君のほうが年下ですよ。


僕は死んでからこの姿でもう数10年とたってますから。」


「何歳だよ・・。」


「だから、さっさと思い出してください。」


「俺は・・・今の思い出を忘れたくねんだよ。」


「ああ、それなら安心してください。」


「な、何だ?」


俺は心のそこから期待する。


「思い出そうと思いださまいと、時間切れになれば、


記憶ぶっとびますから。」


「・・・・・・・・・。」


安心できない。


「なので聞いて下さい。どっちにしろ忘れるんなら、


生まれからるほうがお得でしょ?


君は、死んだ理由を思い出さなくてはなりません。」


「それは強制?」


「もちろん。」


「時間以内に思い出せなければ・・・・ドン!」


「!?」


「永遠の苦しみ、悪夢を見ることになります。」


「それは・・何?」


おそるおそる尋ねる。


「それは・・僕みたいな天使になること。」


天使・・・セリスの顔が一瞬、悲痛に歪んだ。


「じゃあ君・・・セリスは思い出せなかったんだね。」


「・・思い出したくもなかったから。」


「・・ごめん。変なこと聞いて。


でもどうしてそれが苦しみ・・悪夢なの??


見たところ楽しそうだけど。」


俺がそういうとセリスは冷ややかに笑って、


「そんなの・・なってみないと分かりませんよ。」


と言った。


でもその顔は、確かになきそうだった。

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