*第9章*――占い師
俺が入ろうと決意したのは、
50メートルほど先にある建物。
看板には
「迷える魂 占います」
と記されている。
なんだか怪しい気もするが・・・。
俺にぴったりだからと入ってみることにした。
と言っても俺が見えるのか?
「お入り。」
俺がドアに近づいて、
どうやって入ろうか迷っているとなかから声がした。
鍵は開いたようだ。
「失礼しまーす・・。」
ドアはいとも簡単に開いた。
死人でも空けられるようになっているのか・・?
「おや・・君は天界の住人だね?」
後ろから声がする。
ゾクっとする声だ。
扉から入ったはずなのに、なぜうしろから声がするんだ?
そう思って俺がバッと振り返ると、
もうそこにドアはなくて、
広い空間が広がっていた。
そしてその真ん中には・・声の主。
しわしわとしたおばあちゃんだ。
「ばーちゃん、俺が見えんのか?」
「姉さんとおよび。」
「・・ねーさん。」
・・なんか変なおばあさんだな。
「あんたは天界の住人だね?」
もう一度おばあさんが言う。
「・・はい、って、死人は天界しか行き場がないじゃないですか。」
「おや、知らないのかい?2種類あるんだよ。」
「??」
「しょうがないな・・おしえてあげよう。
死人の行き先には天界と地界の二つある。
まあ簡単に言えば天国と地獄だ。
・・・・・・あなたは悪い行いをしてないようだから、
天界にいったんだろう。」
「・・そうなんだ。」
天界でよかった・・・。
「で、何をまよっとるのかい?」
「・・・どうやって死因を思い出すかです。」
「そんな当たり前のことを聞くのかい?」
「・・・・・・・・・へ?」
おばあさんの目がするどくなる。
「そんなの、自分で調べるしかないだろう。
私が知るはずないじゃないか。
がんばってしらべな。ほら行った行った!」
つまらない悩み((あのおばあさんにとってだけど))だと分かると、
一気に追い出されてしまった。
なかったはずのドアもいきなり現れて、
いつのまにか出されている。
・・・・・時間の無駄だったな。
俺はまたウロつきだした。