*プロローグ*――突然の死
俺はハッと目を開けた。
気がつくとそこは病院のベットの上だった。
周りを見渡すと花がたくさんあった。
みんながすすり泣いている。
父さん、母さん、姉ちゃん、弟・・・。
そして彼女の奈々子が。
「皆、なんで泣いてんだよ。」
そう言っても誰も答えてくれない。
むしろ、俺の声が聞こえてないとでも言うように。
「なんで無視すんだよ。」
こんどは皆の肩を叩いて回る。
誰も振り向いてくれない。
むしろ、俺の存在なんかに気づいてないとでも言うように・・・。
ゆっくりと奈々子を見る。
奈々子の目は真っ赤に腫れていて、
美しい顔もくちゃくちゃだった。
・・・・・・・よっぽど泣いたんだな。
そういえば・・・どうして俺はここにいるんだろう。
そう思って奈々子の手元を見ると、
そこには重そうな額縁に入った写真に、かけられたリボン。
・・・・誰か死んだんだな。
そう思った。
そして、それが誰なのか、だいたい分かる気がした。
頭が痛い、そう思いたくない。
おそるおそるもといたベットを見る。
そこには・・横たわる俺がいた。
奈々子の持っている写真の顔も俺。
寝ているのも俺。
よく見れば、今の俺の体はかすかに透けている。
嗚呼、俺は死んだんだな・・・。