8話 ~本書~ 問題は立て続けに…(後編)
出会いと別れはいつも同時に…
~ロカムサ村、広場~〔カイside〕
待ち合わせである広場に着いた時
その中心が赤紫の霧に包まれ
その霧が晴れた時
目も前に現れたのはまるで死神のようなモンスターだった
カイ「なんでこんな所にモンスターが?」
リーザ「分からないが…」
カイ「くそっ、せめて武器でもありゃ…」
リーザ「カイ、剣は使えるか?」
カイ「あ?ああ一応な」
リーザ「ほら」
リーザが剣を投げつけてきた
それを俺は受け取り聞いた
カイ「これは?」
リーザ「さっき助けた兵士の剣だよ」
カイ「なるほど…」
リーザ「行くぞ」
カイ「ああ」
そうしてる間にモンスターが動き出した
その速度体格に合わず結構早いものだった
カイ「ク…」
あぶねぇ…なんだよあいつ、あんな体つきしといてあのそくどかよ…
カイ「そりゃ」
近づいて剣を下段から斬り上げるも…
それはモンスターの装甲にはじかれる
カイ「なっ…」
俺が驚いている間にモンスターは爪を振り上げた
それをリーザのナイフが防いだ
リーザ「カイ!無事か?」
カイ「ちっ…分が悪いな…」
リーザ「せめて魔法使いが居ればな…」
カイ「魔法?」
リーザ「魔法をつかってあいつの防御を下げれれば…」
カイ「硬いからな」
リーザ「それか燃やせれば…」
カイ「火が弱点なのか?」
リーザ「あのタイプは火か光に弱いはずだ」
カイ「火、火かぁ……ハルカ?どこだ!?」
リーザ「!」
カイ「あそこか!」
おびえて木の下にうずくまっているハルカに俺は近づいた
カイ「ハルカ?無事か?」
ハルカ「カイ…怖かった…」
カイ「なぁ、魔法使えないか?」
ハルカ「使えませんよ」
カイ「軽い火でいいんだ」
ハルカ「それくらいなら…」
カイ「じゃあ、俺があいつの周りに藁を撒くから燃やしてくれ」
ハルカ「はい…」
カイ「リーザ!もう少し引きつけててくれ」
リーザ「ああ、だが余りもたないかもしれんぞ…」
カイ「1分でいいんだ、頼んだぞ」
たしかあっちの方に馬の藁があったはず
カイ「あった…うんしょ」
俺は見つけた藁を持てるだけ持ち
モンスターへ投げつけた
カイ「リーザ!こっちだ」
そしてリーザをひかせ
リーザ「?、ああ」
カイ「ハルカ!」
ハルカ「生命の源、生命の火、燃え上がれ!≪Flamme≫」
ハルカの魔法が藁に燃え移り
モンスターの足元を燃やす
モンスターは声を上げる
カイ「やったか…」
リーザ「まだだ…く、」
燃え上がるモンスターがリーザへ飛びかかり
リーザの体を吹き飛ばす
リーザ「ぐはっ…」
カイ「リーザ!…ッ」
モンスターは咆哮する
???「お前ら!屈め!」
カイ「!?」
???「炎よ、光よ、我に仇なすものを焼き切る刃を!≪Schwert der Flamme≫」
助けた兵士が魔法を唱え
その魔法が炸裂する
魔法陣が浮かび上がり
その魔法陣から燃える剣がモンスターを付き焼く
???「………」
カイ「リーザ!大丈夫か?今、助けるから…」
モンスターが倒れたのを確認し
リーザのもとへ駆ける
リーザ「……うっ」
???「どけっ、少年!」
兵士が近づいてきて
俺を突き飛ばす
カイ「!?」
???「…………光よ、このものに光の治癒を≪Licht vom Verheilen≫」
兵士が唱えた魔法は暖かくやさしいもので
リーザの傷が癒えていく
リーザ「う…うぅ」
そしてリーザは少し意識を取り戻していて
動こうとしたがそれを兵士がとめた
???「まだ動くな、少し寝ていろ」
リーザ「…………」
???「取り敢えず運ぶぞ」
リーザの体を支え俺たちは診療所へ急いだ
~病室~〔カイside〕
リーザを診療所のベッドへ寝かし
兵士に礼を言う
カイ「助かりました…」
???「いや、礼を言うのはこちらの方だよ」
カイ「え?」
???「私が森で倒れてたろ…」
カイ「あ…ああ」
???「本当に助かった」
カイ「いや別に…剣借りたしな」
???「少年、名は?」
カイ「カイ、そっちは?」
アルサイム「アルサイム・エンダインだ…一応王国騎士だ」
ハルカ「王国騎士が倒れる相手って…」
アルサイム「それは…また後で話そう、ところでどこに向かってるんだ?スターリア王国には行くか?」
カイ「いや…カインドに向かってる」
アルサイム「カインドかなにしに?」
カイ「学校に行こうと思ってな…推薦が来たものでな」
アルサイム「ふむ…ならカインドまで一緒に行ってもいいか?」
カイ「構わない、むしろ有り難いくらいだ。よろしくな」
アルサイム「こちらこそ」
リーザ「ん…」
リーザが意識を取り戻し
体を起こした
カイ「リーザ!大丈夫か?」
ハルカ「リーザさん…良かった…」
リーザ「ここは…?」
カイ「病室だ…」
リーザ「そうか…」
カイ「無理するなよ」
リーザ「むしろ良い位の体調だよ…」
カイ「そうか…」
リーザ「ところでそいつは?」
カイ「助けた兵士」
アルサイム「私の名はアルサイムという」
リーザ「ふむ…」
カイ「カインドまで一緒に行く事になった、いいか?」
リーザ「お前がいいなら構わんよ」
カイ「そうか…良かった」
そうして出会った新しい仲間とともにカイ達はカインド国へ向かった…
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