6話 ~本書~ 冒険の始まりは躓くものだ
少年に対する世界の仕打ちは余りに酷だった
~辺境の森・南ダルカマイズンの森~〔カイside〕
馬車で城から逃げられたのはいいんだけど…
カイ「リーザ?本当にこっちで合ってるのか?」
リーザ「合っているはずだ、私を疑っているのか?」
カイ「別に疑っている訳では無いけど…」
だってねぇ…なんかどんどん深いとこに行ってるし
道がもはや道じゃないっていうか
よくこんな場所を馬車で走ってるな…て感じだしさぁ
ハルカ「ねぇ、カイさん、あれ!見てください!」
カイ「ん?何だ?もしかしてまたか?」
ハルカ「その、たぶん…」
カイ「そのまさかだろ…リーザさん」
リーザ「すまない…どうやらまた魔物の巣に入ってしまったようだ…それと言ってるだろ私の事は呼び捨てでかまわないと」
カイ「そんな事今はどうだっていいだろ」
リーザ「どうでもよくは無いぞ………」
どうやら大変な事になってしまったようだ…
ここまで進んで来て分かった事がある…
リーザさんは槍使いだ。結構強い
そして、重度の方向音痴だ…
ハルカ「どうするんですか!?またですよ。私、戦えませんよ!カイさん!私の盾になってください!」
カイ「お前はどこまで俺を身代りにするつもりだ!何回目だとおもってるんだ!?少しは自分の身でも守れ!そして落ち着け!」
そう、実はこんなやり取りはかれこれ十五回目だったりする…
ついでに城を出てからもう二日もこの森で迷ってたりする…
リーザ「本当に仕方ないな…お前たちは」
カイ「あんたが元凶だろ!」
リーザ「つべこべ言ってると食われるぞ!」
カイ「どうせあんた一人で済むだろ?」
さっきから襲ってくるものは
ウルフ…オオカミのデカイ版
ゴブリン…意味不な小型の人型
ぐらいのやつらだ
リーザ「いや、今回は想像以上に数が多い、て言うか私はこれでも女だぞ!男なら体を張って守ろうとしないのか!?」
今回はウルフが五体程いる…
カイ「確かに今回は俺も戦うか…でも俺が今出来る戦いと言えば…当たるかわからんぞ?」
リーザ「お前たちの武器をちゃんと用意しなかった私が悪いと思うが、いいから戦え」
そう、俺の手には今武器と言えるものはこれしかないない!
いばって言える事じゃないけどな
リーザ「おい!そっちへ行ったぞ!」
カイ「当たれ!」
そして俺は弓を絞り
放つ
その矢はモンスターの頭の中心へと吸い込まれるように飛んでいき
ウルフの脳天を貫いた
ウルフ「クキャン」
これが結構難しい
今のはたまたまうまく行っただけで
練習では五回に二回くらいは失敗していた…
リーザ「おい!また私がほとんど殺したじゃないか!」
ゆっくり撃ったせいかリーザさんが残りを倒した後だった
カイ「仕方ないだろ!結構難しんだぞ!初めてで上手くいった俺をほめて欲しいくらいだね」
リーザ「なんだ?褒めて欲しかったのか?案外子供だな」
カイ「別にそういう訳じゃないけど…」
実はこの馬車に「弓初級編」とかって本があって
それにさっき使った弓の使い方が書いてあったんだよな
気付くと今日もまた空が暗くなってきていた
リーザ「今日はここらへんで野宿にしよう」
カイ「ああ、そうだな」
ハルカ「料理は私が作りますから」
カイ「材料は…ウルフの肉でいいよな。丁度あるし」
ハルカ「じゃあ作るので待っててください」
カイ「じゃあ俺が辺り見てるからリーザは寝たらどうだ」
リーザ「ああ、そうさせて貰う。では」
カイ「ああ、おやすみ」
ふぅ…
こっちの世界に来てからもう大分たった感じがするな…
なんか色々あったな…
牢獄にぶち込まれたり
兵士に追いかけられたり
俺なんか悪い事したのか…?
まぁ疲れたけど楽しいっちゃたのしいけど
こんなに頻繁にはいらないな
これからは少しでも落ち着いてほしいな
たぶん変わらないんだろうけどな…
遠くから何かが動く音がした
カイ「ん?なんだ?」
とりあえず弓しかないしもってっと
こんどは何かが倒れる音がした
少し暗かったが目を凝らして見てみると
倒れている人影が見えた
俺は急いで近づいて
カイ「おい!あんた大丈夫か?」
声をかけたが…
???「……」
反応が薄い
カイ「くそ…」
だれなんだ?このごつい鎧は…
カイ「…よっこらせっと」
ここに寝かせておくわけにもいけないからな…
仕方なく俺は鎧の兵士を背負い
運んだ
しかし…
重い…
すごく重い
そうしてキャンプ地に着いた
俺が戻ってきたのにハルカが気づいたようだ
ハルカ「あ…カイさん…お帰りなさい、何処へ行って…て!どうしたんですか。その人!」
聞かれたので素直に答える
カイ「分からんが落ちてたんだよ…」
ハルカ「………」
ハルカになぜか遠い目で見られた…
リーザ「どおした?いきなり騒がしく…誰だそれは?」
どうやらリーザが起きてきたようだ
カイ「わからん」
リーザ「どうするんだ?それ」
カイ「様子見て返すさ、悪い奴だったら…」
リーザ「まあ用心するに越したことはないしな」
と鎧をひもで縛り始めるリーザ
それをぼんやりと見ながら
少し考えごとをする…
どうしていつも問題ばかり起きるんだか…
こっちに来る前からこんな感じだった気がしてならない…
ふぁあ、寝みぃ…
カイ「Zzz…」
俺はそして夢を見た…
『現世・過去』
~雨宮市・繁華街~〔カイside〕
レイ「カイ、なにしてんだ?こんなとこついてこいだなんて。おまえついに…結婚か?」
カイ「んな訳あるか!母さんの誕生日だよ、誕生日!」
レイ「からかっただけだろ、ムキになるなって」
カイ「まったくよ~結婚近いのはお前のほうだろ?」
レイ「まさか、俺はしたいと思ってるけどな、あいつはまだはやいってさ」
カイ「年齢的にまだ無理だ、今は諦めろ」
まぁ誕生日プレゼントにアクセサリーかなんかをあげようとおもって
アクセサリーショップの指輪コーナーに居る
カイ「おれ良く分かんないからさ何がいいと思う?」
レイ「ばばぁの趣味なんざ分かるかよ…なんでもいいんじゃね?」
カイ「なんでもいいが一番困る回答だとお前は知らないのか!?」
レイ「知るかよ、つか聞かなかったのか?」
カイ「一応聞いたけどさぁ、なんでもいいそうで…」
レイ「じゃあさ、本当に何でもいいから貰えるだけで喜ぶか試そうぜ?な」
カイ「お前って本当、最悪だよな」
レイ「買うもの決まらないならいいだろ別に」
カイ「まぁそれもそうか、だな」
レイ「じゃあさおばさんの嫌いな物って何だ?」
カイ「聞かないな…」
レイ「ん~~確かにな、見た感じからも分からん、仕方ないしオードソックスに…これとかいいんじゃね?」
そう言ってこいつはユルキャラ?の1/1すけーるのでかい人形を渡してきた
はっきり言ってきもい
カイ「やけにリアリティあるあたりこえぇな」
レイ「だろ?これなら面白いだろ?な!」
カイ「そうだな…これにするか」
カイ「すいません!これください、プレゼントなので箱かなんかに入れてくれませんか?」
店員「はい、かしこまりました」
店員が人形を包み終わるのを待つ
店員「お客様、出来上がりました、8700円になります」
カイ「高!まぁはい」
店員「有難う御座いましたー」
取り敢えずこいつには文句を言いたい!
カイ「おい、なんだよ8700円って、ふざけてんのか?」
レイ「さっきも言ったようにふざけてます」
カイ「本気で殺す、本気と書いてマジでなぁ」
そうこうしてるとレイの携帯がなった
そして携帯を確認すると
レイ「やばっこんな時間だ…俺行けねぇわ。代わりに渡しといてくんね?ほらよっ」
と言いながら小さな小包を俺に投げつけてきた
俺はそれをうけとって
カイ「ん?いつ買ったんだよ」
レイ「まあいいじゃん…そんなことよりじゃあな」
カイ「ああ、じゃあな」
帰るか…
~カイの家~〔カイside〕
カイ「ただいま」
母「お帰り」
カイ「ほらよプレゼント、それとレイからも」
と二つのプレゼントを母さんに渡す
母「あら悪いわねぇ、あけていいかしら?」
カイ「当たり前だろ、開けなきゃ中わからないだろ?」
母「それもそうね…」
そう言って母さんは包みを開けた
母「きゃーなにこれ!」
反応が気になるな・・
母「かわいいーねー有難うね」
カイ「ウソだろ…マジかよ…」
これをかわいいと言える母さんの正気を疑った
母「それじゃご飯にしましょ」
どうなってるんだか…
『異世界』
~辺境の森・南ダルカマイズンの森~〔カイsid〕
何か懐かしい夢を見ていた気がする
カイ「ふああ」
起き上りあくびをするとリーザがやってきた
リーザ「おい、自分で拾ってきておいて無責任じゃないか?」
俺は何を拾ったんだっけ?
カイ「んあ?なにが?」
リーザ「あれだよあれ」
カイ「ああ、そうだったな」
そういえば変な兵士を拾ったんだっけ…
やばいやばい、完全に忘れてた…
現実逃避は良くないよな…ははは…
つかほんとにあれどうしよう…
もう捨ててしまうのもいいかな…っと
それは良くないか…
はやく起きてくんないかな…