24話 ~本書~秘密の後日談
見えない希望を信じられるだろうか
~第四学園都市、クルーズナ学園 東棟~〔カイSide〕
俺はユーリの側に近づいた
カイ「ユーリ…」
ユーリ「私に復習しに来た?」
カイ「そんなわけ…」
ユーリ「アウラちゃん殺そうとしたんだよ!?」
カイ「それは…」
ユーリ「そんな私を嫌いになったでしょ!」
カイ「そんなわけない!」
そう言ってユーリが次の言葉を話す前に俺はユーリを抱きしめた
そうでもしないと自殺でもしそうなレベルの思いつめた顔をしていた
カイ「落ち着け、大丈夫。アウラは生きてる」
そう言いながらあたりを見渡す
ああ、そっかどこかで見たことある気がしたら…初めて会った時の場所かこのベンチ
あれからそんなに経ってないのにな…
俺は気を取り直してユーリに話しかける
カイ「最初に会ったのもここだったな」
そう言うとユーリは驚いたような顔でこっちを向いた
カイ「何があったか分からない、だからなんとも言えないけどさ。アウラはお前のこと怒っちゃいないさ」
ユーリ「…」
カイ「だからさ、教えてくれないか何があったか」
ユーリ「…」
ユーリは悲しそうに遠くを見ながら話し始めた
ユーリ自身の過去を
そしてアウラに対する謝罪を
カイ「ああ、なぁそれさアウラになんとか出来るか聞いてみないか?」
ユーリ「…でも」
カイ「思いっきり謝ろう、でお願いしてみよう、な」
ユーリ「許してくれるかな…?」
カイ「さっきも言ったけどアウラは怒っちゃいないさ」
ユーリ「…うん」
カイ「じゃあ行こうか」
ユーリ「…うん」
俺はユーリの手を握りアウラのもとへとゆっくり歩いていった
アウラはまだそこにいた
同じ場所でただ佇んでいた
カイ「アウ…」
俺が呼ぼうとしたところでユーリが声をさえぎる
ユーリ「大丈夫、私が頑張る」
俺から離れアウラのもとへ行くユーリ
ユーリ「アウラちゃん、ごめんなさい」
アウラ「…ん」
一瞬アウラは驚いたような困ったような顔をしたがすぐに笑顔でうなずいた
ユーリ「本当にごめんなさい」
もう一度ユーリは深く頭を下げて謝る
アウラ「大丈夫、エーミアさん探そう?」
ユーリ「うん」
そう言ってアウラは歩き始める
そのあとを俺たちはついていく
その途中で俺はユーリに近づいて耳打ちをする
カイ「お前の母さんの事は…?」
ユーリ「私がなんとかして見せる」
そう決意した顔で言った
俺はそれがとてもきれいなものに見えた
俺たちがそうこうしている内に到着したようだった
アウラ「ここ」
そう言ってアウラが指さしたのは一軒のケーキ屋だった
俺たちはそのケーキ屋に入ると…
ユーリ「エーミア!」
エーミア「ん?ゆーちゃん?どうしたの、こんなところで」
ユーリ「どうしたの?じゃないでしょ!」
エーミア「ええ?」
俺たちはそっとその場を離れた
そしてアウラに聞いてみる
カイ「なぁ、アウラ」
アウラ「はい?」
カイ「なんでもないや」
聞こうとしたが聞けなかった
俺は心のどこかでまだ信用出来てないんだな、他人を
この関係が壊れるようなそんな気がした
アウラは俺が望んだ答えをいうかもしれないのに
ユーリの母親を封印したのはお前か?なんて聞けないだろ…
本当を知ってるわけでもないのにいやな予感しかしなかった
全部ただの杞憂ならいいんだけどな…
しばらく外のベンチで座ってただぼぅっとしていた
ユーリとエーミアの話も終わったのか一緒に外に出てきた
ユーリ「もう、学校サボっちゃだめでしょ!」
エーミア「だってねぇ…ここのケーキ美味しいんだもん…」
ユーリ「…エーミア」
終わって無かったみたいだ
けどまぁ無事ならそれでいいさ
カイ「ユーリ、その辺にしとけよ。無事ならいいじゃないか」
ユーリ「本当に心配したんだからね」
エーミア「ごめん、ごめん…えへへ」
時間を見ると…もう放課後か
アールドとミナ…心配してるよなぁ…
カイ「一回学校よるけどいいか?」
ユーリ「そうね…」
エーミア「学校?なんでー?」
ユーリ「いいからいきましょ」
ユーリはエーミアを引っ張って俺たちは学校へ向かった
教室棟の玄関まで行くとそこにはアールドとミナが居た
俺たちに気付いたのか二人はこっちに向かってくる
カイ「ケーキ屋にいたわ」
アールド「は…」
エーミア「美味しそうな匂いがして…つい」
ミナ「……」
アールドとミナは呆れて声も出せずにいた
俺も…同様に…なんというか…
こいつ犬か?
犬でもそんなことしないか…
とりあえずすごい残念なものを見るような目で見ておいた
エーミア「えへへ…皆?その目…なにその残念な子を見るような目で見るの!?ねぇ!」
カイ「お前が平気で皆、安心したんだろ?」
エーミア「そうなの!?」
アールド「あ、ああ」
ミナ「はい…」
エーミア「そっかぁ、今度から気をつけるね」
なんというかエーミアだなぁ
というか気をつけるんだ…
また同じこと繰り返しそうだな…
カイ「いろいろ騒がせてすまん」
アールド「お前らいなきゃつまらないからこれくらいの方がいいかもな」
カイ「アールドが…こんなこと言う奴だったっけ」
ユーリ「気おかしくなった?エーミアの馬鹿が移った?」
カイ「あーそれあるかもなぁ」
ユーリ「かもね…」
カイ「レアな感じするし覚えておくか」
ユーリ「そうね」
カイ「でも、アールドが…おまえらいないとつまらないからな…とか…」
ユーリ「そうね…」
俺とユーリは我慢出来ずに笑いだす
カイ「あははは、ははは」
ユーリ「ぷ…ぷぷぷ」
アールド「お前ら…俺を怒らせたいのか?」
カイ「ユーリ逃げるか…危ない…ぷぷぷ」
ユーリ「そうね…にげましょうか…ぷぷ」
俺とユーリは走って逃げだした
アールド「お前らああああああ、逃がすかああああ」
エーミア「え?鬼ごっこ?まっけないぞー」
そうしてアールドとエーミアに追いかけられる鬼ごっこが始まった
結果は言わないでおこう
ミナ「今日も平和ですね」
アウラ「…ん」
参加しなかった二人はとても優しそうな目でみていたとかなんとか
アールド「待ちやがれえええええ」