15話 ~本書~過去の傷跡(1)
カイの過去編(1)
あの日の悪夢をもう一度繰り返さないために…
『現世:過去』(11年前)
世界の紛争地:アイダルサキエム 〔カイSide〕
今日もまた生きるために俺は人を殺す
使う武器は銃
日本ならまだ小学生低学年程度の子供でも
ここ紛争地:アイダルサキエム、まだ戦争が激化している国では…
ここに来た理由は親の転勤
親はフリーの医者をしていて
今回は軍医として北軍についている
その転勤が決まったのは俺が小学校に入る直前だった
最初に行った街はまだ戦争の真っただ中ではあったがまだ
敵軍に責められることもない街だった
それでも来る患者は戦争でけがをした兵士
それはとても惨いもので
片手、片足がないのはまだましで
目がえぐれてたり、頭に銃弾をくらって死んでいるのに運ばれる人も多かった
俺はそれを見ないように部屋に引きこもる
それでも一ヶ月もすると俺は自主的に親の手伝いを始める
それでもたまに吐き気が止まらなかったりするときもある
そんな毎日を繰り返して1年が経とうとした
ある日の夜
《ゴンゴン》とドアをたたく音で目が覚める
その時の時間は深夜2時ころ
親は寝ていてまだ気づいてないようだった
それから少ししてまた《ゴンゴン》とドアをたたく音がする
二回目で親が起きたようだ
母「はい、どちらさ…早く治療室へ!」
父「どうした!?」
兵士A「ううぅ…」
兵士B「こいつを助けてくれ!」
父「ええ、手は尽くします」
母「早くこっちへ!」
と手術が始まったようだった
それから1時間くらいして手術が終わったようだった
兵士B「どうだった!?」
父「ええ、手は尽くしましたが…今夜が峠です」
兵士B「俺たちはすぐ出なきゃいけない」
母「ここ2週間程度は絶対安静です」
兵士B「それでもだ…」
母「絶対駄目です」
兵士B「わかった…またあとで来る」
母「はい、そうですか…生きて、絶対に来てくださいね」
兵士B「ええ」
そう言って兵士は外へ出た
そうしてその日は終わった
次の日
入院した兵士さんの病室を訪ねるとどうやら目を覚ましているようだ
俺は急いで父さんを呼びに行った
カイ「父さん!昨日の人意識取り戻した!」
父「そうか、今行く」
父さんを連れてきて再び病室へ戻った
兵士A「ここは…?」
父「安心してください、ここは病院です」
兵士A「…俺はどうしてここに…?」
父「昨日の夜あなたの仲間が連れてきたのですよ」
兵士A「早く行かないと…」
父「無理です、せめて傷口がふさがるまでは」
兵士A「…」
父「安静にして早く治しましょう」
兵士A「ああ…」
それから毎日俺は兵士さんのとこへ尋ねた
兵士A「お前名前は?」
カイ「カイ」
兵士A「日本人か…?」
カイ「うん」
兵士A「災難だったな…」
カイ「そんなことない」
アーカイド「俺はアーカイド」
カイ「アーカイドさんは兵士でしょ?」
アーカイド「そうだが…?」
カイ「俺、強くなりたい」
アーカイド「ガキが何言ってんだ?」
カイ「俺は本気だ」
アーカイド「そうか…じゃあ教えてやる」
カイ「え!」
アーカイド「まずは基礎トレーニングだ、腕立て、腹筋とスクワットをそれぞれ100回、朝と夜5セットだ」
カイ「500回ずつも!」
アーカイド「無理ならやめていいんだ、子供は…」
カイ「やる!」
アーカイド「じゃあ始めろ」
カイ「うん!」
この訓練は最初はすごくきつかった…
けどこの日、頑張ってノルマを達成して次の日またアーカイドさんの所へ行った
カイ「できた!」
アーカイド「そうか…今日は6セットだ」
それから毎日増え続けていった
それが10セットになったある日
アーカイド「そろそろ体術を教えるか」
カイ「体大丈夫?」
アーカイド「ガキの相手するくらい大丈夫だ」
毎日朝と夜に10セットやり日中はアーカイドさんと組み手をした
それを二週間続けてたある日
アーカイド「そろそろ剣の使い方を教えようか」
カイ「剣?」
アーカイド「銃の弾が切れた時どうする?」
カイ「その銃でたたくか周りの物を武器にする?」
アーカイド「そうだ、だからまずは物の振り回し方、それを学ぶには剣から始める方がいい」
カイ「うん」
この日から組み手を何セットかして、その後に剣の打ち合い
朝と夜に300回の素振りをしていった
それを一ヶ月ほどした
そろそろアーカイドさんの怪我も治り始めていたが
相方が迎えには来なかった
アーカイド「最後は銃の使い方だな」
カイ「うん」
アーカイド「できれば教えたくなかったが…」
カイ「…」
アーカイド「これは使い方だけ教える」
カイ「うん!」
その日、銃の使い方を学んだ
どうすれば撃てるかか…から
どこに撃てば人は死ぬか
どうしたら外さないか
などたくさんを学んだ
その日の夜
アーカイドさんは居なくなった
カイ「もう行っちゃったんだね」
父「そうだな」
カイ「戦争が終わったらまた会えるかな」
父「どうだろうな…」
カイ「また会えるよね」
父「そうだといいな」
カイ「うん」
だけど戦争は日に日に激化していき
病院も多忙しだった
だけど俺は基礎運動と素振りは毎日続けていった
このままの日常が続けばどれほど良かったのだろうか
まだこのあたりは平和そのものだった…
その後に起こる事件は誰も予想すらしていなかった