11話 ~終書~ 山の天気は気まぐれに
世界は長い間、孤独に戦い続ける
~アナムサイム山脈、中部宿舎~〔カイside〕
山の中間部では
雨が打ち付ける滝のように降り風はすべてを吹き飛ばすかのように吹く
そんな夜の宿舎で起きた出来事。
カイ「どうなってんだよ!」
屋根が吹き飛んだ・・・
その衝撃はどれほどのものだろう・・・
カイ「皆、大丈夫か!?」
リーザ「私は大丈夫だそっちは?」
アルサイム「こちらもだ」
二人は大丈夫なようだ・・・
二人だけ・・・?
カイ「ハルカ!ハルカは!?」
ハルカがいない!?
何処だ!
外に飛ばされたか!?
一体どこに!?
リーザ「カイ!落ち着け!」
カイ「うるさい!」
何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ何処だ!
早く探さないと
早く見つけないと
リーザ「カイ!」
アルサイムが俺に近づいてくる
カイ「ハルカがいたのか?」
アルサイム「いや・・・」
カイ「俺はあっちを探す!おまえはあっちだ」
リーザ「離れるのはまずい」
カイ「でも・・・ハルカが助けを待ってるかもしれないだろ!」
アルサイム「カイ・・・すまぬ」
アルサイムは腕を振り上げ
俺を殴った
カイ「何を・・・」
アルサイム「カイ、落ち着け!」
アルサイムによって俺は正気を取り戻せたか・・・
カイ「ありがとう・・・大丈夫だ」
リーザ「まさかとは思うけど・・・いや、まさかな・・・」
まさかその可能性はないことも無いのかもしれないが無いと信じたい
ハルカはまだ山からは落ちてないと・・・
カイ「どうすればいい!」
アルサイム「最善は雨がやんだのち探すのが一番だが・・・」
カイ「そんな悠長な!」
アルサイム「二次被害の恐れはあるが注意して捜索、危ないと感じたらすぐに撤退するなら」
カイ「それでいこう!」
なんでもいい早く探して見つける事が重要だ
ハルカが助かるなら俺は死んだって・・・
アルサイム「ではまずはこの周辺を捜すそれでいない場合は捜索範囲を少し広げ捜索それでも・・・」
カイ「それでもいなけりゃなんだ?」
アルサイム「一旦考えなおそう」
リーザ「今は分担はしないでまとまって行動しよう」
そうして俺たちは東から捜索を開始した・・・
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~アナムサイム山脈、中部宿舎~〔カイside〕
一時間後
雨はますます強くなっている
宿舎周辺を捜し終えたがハルカはまだみつかっていない
カイ「もう少し探せば!」
きっともう少しで・・・
すぐそこでハルカは助けを待っているはずなんだ
リーザ「カイ!」
アルサイム「さっきあった洞穴にいって天候回復を待つ」
だめだそこで助けを待ってるかもしれないじゃないか
カイ「俺はもう少し探す」
アルサイム「だめだ」
カイ「いや・・・あと少しだけ・・・だから」
アルサイム「雨の山は予想以上に体力を奪はれる一旦休もう」
だめだ・・・ハルカが見つかるまでは・・・
でも仲間の命にもかかわってくるし
こうなったら
カイ「俺一人でも探す!」
リーザ「カイ・・・」
リーザの言いたいこともわかるが
アルサイム!わかってくれ
アルサイム「・・・・」
カイ「止めるなよ、お前らは先に洞穴へ行っててくれ」
リーザ「私も探す!」
だめなんだ
おれのわがままにリーザを巻き込むわきにはいけない
アルサイム「リーザ殿、我々は先に行きましょう」
リーザ「しかし!」
カイ「アルサイム、すまない。晴れたらまたみんなで旅しような」
アルサイム「ああ!」
リーザ「カイ、気をつけて」
カイ「すぐ戻る」
そう言って俺は二人と別れた
ハルカと一緒に・・・
帰ると誓って
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~アナムサイム山脈、中腹~〔カイside〕
カイ「ハルカ!」
ハルカを捜しながら獣道に入り
トンドン奥へ、どんどん山へと入り込んでいく
もう声も枯れていてもなお叫び続ける
いないな・・・
こっちじゃなかったか?
だめだ、雨の冷たさで頭の思考がうまく働かない
一度立ち止まって周りを見渡してみる
丁度近くに洞窟があった
しかたない少し休憩するか・・・
その洞窟へと歩みを進める
洞窟の入口に少女の人影が・・・
まさか・・・!
カイ「ハルカ!」
そう叫んで走りだす
しかし少女は気付かなかったのか洞窟の奥へと進んでしまう
カイ「まってくれ!」
ハルカは生きている
すぐそこにいる
カイに残されたのはその思いによる気力だけだった
洞窟の少女を捜すために奥へ奥へとすすんでいく
そして・・・
洞窟り入った少女と出会った
カイはそこで意識を失った。