第2話 セリシス王とレイナの強さ
魔王とレイナは転移魔法を使い、セリシス城近くに転移した。
「お着きました魔王様」
「毎度すまないな…、転移魔法を覚えていれば一人でも行けるのだが」
「魔王様は私にすら使えない魔法を沢山使えるではありませんか。
私こそ、魔王様のお役に立ちたいのでまだまだ強くなりたいと毎日思っています」
「そう思っていてくれていたのか。
それなら週に一度、我と模擬戦をしないか?」
「ま、魔王様直々に!?いいのでしょうか?」
「構わん、強さを求めるのも強者として大切な事だ。
だが、これだけは忘れてはならん。
強くなりすぎて有頂天にならない事だ、どんなに強くても鍛錬を怠れば、強者とは呼べないからな」
「はい、ありがとうございます。
これからも鍛錬を積みます、そして魔王様をぎゃふんと言わずぐらいに強くなります」
「ふっ、期待しているぞ」
(レイナ、我をぎゃふんと言わすか……クククッその時が楽しみだ)
そうして我とレイナは城の中に入る。
中には兵士がおり、我を見るなりこちらに駆けてきた。
「これは魔王様直々に!、セリシス王がお待ちです。
今回は手を貸していただきありがとうございます」
「気にするな、物資をいつも貰っているんだ。
それくらいするのは当たり前だろ?それに魔物は我の分野だからな。
それと今回は多分、レイナ…一人で終わると思う。
お主ら達は兵を出さなくて良いぞ」
コツコツ。
「久しぶりだな、魔王……」
「おぉ、こちらこそ久しぶりだな……セリシス王」
こちらに来たのは緑色の服を来て、王冠を被ったふくよかな男性。
そうこれがセリシス王だ。
「兵を出さなくて良いとは………ほぉ~……そやつ一人で倒しきれるとはかなり大きく出たな」
「レイナはそんじょそこらの冒険者よりも遥か上、何ならSランク冒険者よりも上だぞ」
!?
「それはかなり安心したぞ」
ガキン!!!
突然短剣が魔王に飛んでくるがレイナが手で止めた。
「何のつもり?」
レイナは言う。
「レイナ、セリシス王はお前の強さを試したんだ。
悪気はない、そうだろ?」
「よく分かっておる、それに片手で止めるその強さ……分かった…ここは魔王達に任せる。
私は、少し用事があるかな」
「そう言えばダンジョンの場所は何処だったか?」
「ああ、北のダンジョンだ。
かなり魔物がうようよしておる、それとブラックドラゴンも居るそうだ」
!
「魔王様、ブラックドラゴンと言えば……」
「ああ、危険度Sの魔物だ……レイナ、怖いか?」
「いえ、その程度なら余裕で終わらせます。
ドラゴンは単純なので」
(このメイド、ブラックドラゴンを舐めているな?
まぁ、魔王が信用している者だ……ここは)
「魔王、それとレイナよ。
では、ブラックドラゴンの目を手に入れてくれ、それを私に渡せば、依頼は完了したとしよう。
証拠とかめんどくさいだろ?」
「確かに……レイナに負担ばかりかけられないからな。
レイナ、それでもいいか?」
「はい、お任せください……魔王様」
「それでは頼むぞ……若きメイドよ」
そうしてセリシス王は王の間に戻って行った。
「北のダンジョンに向かうか」
「はい、魔王様…私にお触れください」
「ああ」
そうしてレイナの転移魔法で北のダンジョン近くに転移した。
北のダンジョン近く
空に浮かび上がり、様子を見るとそこには沢山の魔物が湧いていた。
「沢山の魔物が湧いておるな……倒せるか?」
「はい、一撃で全員潰します……魔力レベル4……バーストファイアボール!!!」
レイナが放つ炎の玉は地上に落ちるたびに大きくなり、魔物が気づく程まで来ると建物と同じくらいの大きさに、そして
ドカーン!!!!!
大きな爆発を起こし、魔物を一撃で蹂躙した。
コツ。
魔王とレイナは地上に降りてダンジョンの入り口近くに来る。
当たりには魔物の灰?らしきものが落ちていたくらいだ。
そうしてダンジョン内へと進む2人、ダンジョン内の魔物を余裕で倒していきそしてサクッとダンジョンマスターが居る場所にたどり着いた。
そこにはセリシス王が言っていたブラックドラゴンが居た。
「あれがブラックドラゴン……大きなトカゲみたいですね。
私達の城に居るレッドリザードの方が強いかも知れないですね」
「まぁ、我が鍛え上げたからな……弱くては困るもんだ。
レイナやれるな?」
「はい、お任せください」
ぐおー!!!
ブラックドラゴンはこちらに気づき迫ってくるが
「一撃で仕留めます!!デスチェスト!」
ザクッ!
グオー!!!
ドサッ。
レイナは剣で確実にブラックドラゴンの心臓に突き刺し、一撃で倒した。
なぜ、一撃で心臓を突きさせたかと言うと、城に居るある女が知識を教えていた為である。
だから魔物の心臓の位置は大体把握済みと言う事だ。
ザクッ!ザクッ!ザクッ!
レイナは短剣でブラックドラゴンの目をえぐり出しこちらに見せた。
レイナのメイド服は真っ赤に染まっていた。
「手に入れました」
「余裕だったな」
「はい、私からすれば準備運動?くらいにはなりました」
(クククッ、と言うか……本当に我の出番が無いな。
まぁ、仲間が強くなる事は嬉しい限りだが)
そうしてブラックドラゴンの死体はアイテムボックスに入れて、ダンジョンから出るのだった。
外に出るとダンジョンはスッ……と消えてしまった。
「早速、セリシス城に向かいます?」
レイナが聞いてきた。
「それよりもレイナ、服が汚れておる。
血まみれだ、それでは王の前には出せん」
「あ、それなら!魔力レベル1……ウォーターシャワー」
!
するとレイナの頭上からシャワーのような雨が降り注ぎレイナの汚れていた血はまるっきり消えて白いメイド服へと戻った。
「それと、サンパワー!」
!
少し暑いくらいの熱が溢れ、レイナの服が一瞬で乾き、洗濯したかってくらいに綺麗になる。
「毎度と思うが剣技はともかく魔法も多彩なんて、またアイツに教えてもらっているのか?」
「はい、休憩時間に教えて貰ってて。
魔王のメイドなら魔法は完璧でなくてはいけませんから」
「あ、そうだ。
一ヶ月後、少し休暇を取ろうと考えている……城の者達で海に行こうと思う。
大丈夫か?」
「城のみんなで!?お城の警備は?」
「我の魔法でバリアを張る。
触れたら死ぬと看板を作っておいてくれ」
「ふふっ、魔王様…お任せください。
それよりも行きましょう、お城に」
「ああ、そうだったな。
頼めるか?」
「はい、お任せください」
レイナは嬉しそうに我の手を掴み転移魔法を唱えた。
セリシス城王の間
!?
「は、速いではないか!?もう、攻略してきたのか?」
セリシス王は驚いている。
「まぁ驚くのも無理はない、我も意外と部下の強さに驚いておるからな」
「これでしょ」
レイナはポッケから目玉を取り出した。
「うげっ!?ほ、本当に討伐までしてくるとは……さ、流石だな……魔王の部下は」
「これも鍛錬のたまものだからな、それよりも少し聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「アルル城に手紙やらなんやらを送っているのだが返答が途絶えているんだ。
何か知らないか?」
「アルル城の王は確か、シュナ王女だったけ?
確かに最近、連絡が途絶えているな。
それに少し前の王達のパーティーにも来てなかったし」
「うむ……何か情報があったら教えてほしい。
嫌な予感もするからな」
「嫌な予感とは?」
「前にあっただろ?街一つが崩壊させられたのを」
「ああ、あれか確か悲惨な事だったな。
犯人も死んでいると言われていたし」
「まぁ今回の依頼は達成でいいんだな?」
「ああ、これを」
セリシス王はお金の入った袋を渡した。
「それじゃあ、情報があれば頼むぞ。
行くぞレイナ」
「はい、魔王様」
転移魔法で城へと戻るのでした。
(私も強いメイドがいた方がいいのかもな……後で執事に言ってみるか………)