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第1話 小さな冒険と依頼


 草原で待っていたセシルとユーナと共に魔王城へと戻るのでした。


 魔王城


 「魔王様、お疲れ様です」

 ゴブリンの執事が言う。


 「ああ、城では何も無かったか?」


 「はい、何も問題なく。

 今日はユーナ様と共にゆっくりしておられたようで、リフレッシュは出来ましたでしょうか?」


 「ああ、時間を設けてくれてお前には感謝しかない。

 これからも頼むぞ」


 「は!魔王様」


 そうして3人は魔王の部屋へと入る。


 「ユーナは部屋で休んでいてくれ、セシルは夕飯を頼むぞ」


 「おまかせください」

 2人は部屋を出た、そうして部屋にはユーナ、一人となる。


 「まおまおもセシルも行っちゃった……………ぷぅ~つまんないし、探検しよう〜」

 ユーナは小さな体でジャンプして扉を開け部屋を出た。


 ユーナの目線から見る景色は壮大だった。

 大きな扉、不気味なライト、大きな廊下。


 ユーナは興味津々。


 「うん?ゆ、ユーナ様!?」

 たまたま通りかかった人間のメイドがユーナに駆け寄る。


 「あ、メイドしゃんだ。

 今ね、探検してるの、まおまおとセシルは行っちゃったから」


 「そ、そうなのですか。

 ですがお一人で大丈夫ですか?怪我なんてしたら魔王様は気絶してしまいますよ?」


 「きぜつ?」


 「あ~、倒れちゃうって事です。

 私の仕事は今、終わったので一緒に居ましょうか?」


 「ううん、一人で探検する」


 「うーん、分かりました……ですが気をつけてくださいね。

 魔王城にはまともな方だけではありませんから」


 「うん」

 そうしてユーナはメイドと別れ、廊下を進んで行った。


 すると奥で何やら揉め事をしている者達が。


 「おい、これは俺の金だ」


 「いやいや!これは俺の金だぞ」

 ゴブリン族同士が争っていた。


 「何してるの?」


 「あ?ガキは引っ込んどけ!」


 「きゃあ!」

 赤い目のゴブリンはユーナを手で吹き飛ばした。


 「ちょ!おい!」

 青色の瞳のゴブリンは倒れるユーナに駆け寄り起こす。


 「大丈夫か?」


 「う、うん……」


 「金よりガキかよ」


 「お前、殺されるぞ」


 「何がだよ!」


 「この子は魔王様の娘のユーナ様だぞ」


 !?


 「ゆ、ユーナ様!?は!?こ、これは失礼を!!」

 赤い瞳のゴブリンは頭を下げる。


 「どうします、ユーナ様」


 「けんかしなかったら言わないよ」

 ユーナは言う。


 「分かった、けんかはもうせん。

 申し訳ない!」

 赤い瞳のゴブリンは青色の瞳のゴブリンにお金を返した。


 「うん、みんな仲良し……バイバーイ」

 ユーナはそう言い奥へと進んで行った。


 「ちょ、今更だが何で魔王様の娘がぶらついているんだ?」


 「いや、俺もよくわからん。

 魔王様がユーナ様に一人で探検でもしてこいって言ったんじゃないか?

 まぁ、あんまりありえんけど」


 2人のゴブリンはそう口走るのでした。


 その頃……魔王はと言うと


 「手紙です、セリシス城からの様です」


 「わかった」


 何々。


 魔王様へ

 

 お久しぶりです、セリシス城の王です。

 実は最近魔物がダンジョン内から外に溢れており、討伐を手伝って欲しいのですが。


 金貨などお金は多めにお支払いしますのでどうかお願いいただけませんでしょうか?


         セリシス城、王……セリシス。



 「魔物が溢れているか……」


 「どうなさいますか魔王様」


 「確かにこのセリシス街から色々と物資を分けて貰っていおるからな。

 ここは手伝うとしよう!」


 「そうですか、では我々で向かいますね」


 「いいや、お前はここに残り城の警備を務めてくれ。

 我とメイドのアイツで行くつもりだ」


 「魔王様直々に向かわれるのですか!?」


 「当たり前だ、魔物の頂点は我だからな。

 後始末も我の役目よ、それにアイツが居たら我の出番も必要ないのかもしれん」


 「確かに……私ですら、手玉に取られてしまいますからね」


 そうして魔王はセリシス街へと向かう準備を進めるのでした。



 一方、ユーナはと言うと


 「うわぁ〜きれい~」

 庭園のお花畑に来ていた。


 ユーナは嬉しそうにはしゃぐ。


 「あら?ユーナ様……お花はお好きですか?」


 声をかけたのは小さな羽根の生えた赤い髪の妖精。

 大きさはユーナの少し小さいくらい。


 「うん、すきだよ。

 お花を眺めているとおちつくの」


 「ふふっ、ユーナ様はお優しいのですね。

 自己紹介していませんでしたね、私は庭園の守護者として務めている、ミヤビです」


 「ミヤビさんは羽根が生えているの?」


 「はい、私は人間ではなく……妖精です。

 魔王様は私達妖精にも気を使ってくれているので、私達の王も魔王様には頭が上がりませんから」


 「まおまおはすごいんだね」


 「はい、ユーナ様のお父様、魔王様はとても素晴らしいお方です。

 私も魔王様に助けられた事がありますから」


 「そうなんだ〜……何だか眠くなってきたかも」


 「はしゃいで疲れたのでしょう、近くに部屋がございますしそちらで横になったらどうしでしょう」


 「うん……そうする……」

 ユーナは眠い体を起こし、言われた部屋へと向かうのでした。


 そうして部屋に着くなり、ユーナはベッドに横になる。

 そうしてウトウトしていき寝てしまった。


 すぅすぅ。


 ガチャリ。


 「うん?ゆ、ユーナ様?!……寝ておられる……ここ、男子の休憩所なんだけどな……」

 少し休憩をする為に来たレッドリザード。


 「どうしたんだよ、部屋に何かいたのか?」

 後ろから仲間のリザードが声をかけてきた。


 「ユーナ様が寝ておられて、多分寝る場所を間違えたかもしれない」


 「え!?マジ!?ユーナ様?!」

 リザード達が部屋にずらずらと入った。


 「うわ!マジか、可愛いな」

 リザードが言う。


 「魔王様と婚姻した女性はすごい方なんだな」


 「あ、お前は新入りだったから知らないんだな。

 その女性はもうこの世には居ないんだよ」


 「え?どうしてだ?」


 「悪い冒険者達が城に来て、手を出したんだ。

 魔王の仲間だからだと」


 「まさか、そこで」


 「ああ、女性は殺された……奴ら……やりたい放題してポイしたんだ。

 帰ってきた魔王様は膝から崩れ落ちて1日中泣いたそうだ。

 他の者達に見られていたとしてもだ」


 「最低な奴らですね、勿論そいつらは処刑されたんですか?」


 「ああ、数日後に見つかったそうで魔王直々に処刑されたよ。

 まぁ、人の女に手を出すこと自体愚かだからな」


 「魔王様はどうやって立ち直ったんですか?やっぱりユーナ様が?」


 「ああ、女性は妊娠していたんだ。

 死んでも子だけは守ろうとしていた、そうして産まれたのがユーナ様だ。

 そして魔王様は決意したんだ、この子だけは絶対に守ると、なにが何でもな」


 「そうだったんですね……」


 「お主らどうしたんだ?」

 !?

 突然の声に振り返るリザード達。


 居たのは魔王様だ。


 「あの、ユーナ様がここで眠っていて……」


 「ユーナ……ぶらついたな……ありがとな見ていてくれて。

 感謝する」


 「いえ………魔王様も辛いことがあったのに凄いですよ」


 「コイツから聞いたな?まぁ、我もまだまだ弱いさ、あの頃と変わらんよ」

 魔王様はユーナを抱きかかえ、部屋を出た。


 

 魔王はユーナを連れて自室へと戻った。

 部屋にはセシルが待っていた。

 

 

 「魔王様、何処に行っていたのですか?」

 セシルが聞いてきた。


 「なぁに、娘がいなかったもので探していたのだ。

 魔王城をぶらついていたみたいだ、すまないな……待たせてしまって……レイナ」


 コツコツ。


 「そうね、まぁいいんじゃないかしら?娘はあなたにとってとても大切な存在……ですし」

 部屋に入ってきたのはメイドだった。


 「レイナ、今回は魔物の討伐だ。

 セリシス王からの依頼だからな、手は抜くなよ?」


 「分かっています、私は貴方の右腕と命名された者。

 魔王様の手をわずらわせる程ではありません」



 「期待してる」


 「はい」


 「ユーナ様は僕が見ておきます」


 「セシルよ、無理はしなくていいからな」


 「分かっていますよ、落ちこぼれの使用人ですから」

 

 「では、行ってくる」

 

 そうして魔王とレイナは城を出てセリシス城へと向かうのでした。


 

 



 


 


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