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プロローグ

魔王・・この物語の主人公、心優しいく娘にも使用人にも優しい。

 沢山の部下と共に魔王城で暮らしている。


ユーナ・・・魔王の娘、まだまだ子供だが魔法は使える。

 と言っても、威力はほとんど無い。

 ファイアボールですら、少し暖かい程度


セシル・・・魔王の使用人、料理を作ったり、お風呂を沸かしたり色々とこなす男性。

 しかし、ミスが多く、大体は魔王が自動発動するサイコキネシスでどうにかなっている。

 失敗すると、やっぱり僕は落ちこぼれ……とつぶやく。





 ここは異世界、魔物や魔法、不思議な世界である。


 そこに小さな金髪の赤い瞳の幼女が居た。

 

 「おはな〜」

 幼女は草原に咲いている花を見つめそう言った。


 「ユーナよ、ここに居たのか」

 幼女に近づいてきたのは黒いマント、黒い仮面を付けている者、魔王だ。


 「あ、まおまお〜」


 「ユーナよ、私はまおまおではない。

 魔王のマーオだ、いつになったら覚えるんだ」


 「あ、お二人共……ここでご飯を食べるんですか?

 わっ!」

 

 「サイコキネシス!」

 足元の石につまずき倒れそうになった若い男、マーオの魔法により何とかなる。


 「大丈夫か?」


 「はい、やっぱり僕は落ちこぼれで出来損ないですよね」


 「気にするな、慣れればこれくらいどうとでもなる。

 ユーナよ、セシルが弁当を持ってきてくれたぞ。

 食べようか」


 「食べた〜い〜」

 

 ユーナはマーオの膝の上に座り、足をばたつかせている。


 セシルは弁当箱を開ける。


 「うわ~」

 

 弁当箱の中身はご飯、ドラゴンのステーキ、薬草のきざみ、それとりんごだ。


 「ほら、ユーナ。

 ホークで欲しいもの取っていいぞ」


 「うん!」

 ユーナはホークを握りステーキに突き刺す。


 そしてパクっと食べた。


 「おいし~」


 「ユーナが美味しそうに食べてくれて嬉しいよ。

 マーオさんもどうぞ」


 「ああ、毎日感謝しているぞ。

 我が魔王の時はそんな料理は出てこなかったからな」


 「色々、ありましたからね。

 あれ?誰かこっちに向かってきてません?」


 セシルが言いマーオがその方向を向くと鎧を身に纏う赤い髪の女がこちらに向かって来ていた。


 (あれは冒険者か?)


 「見つけたぞ魔王、まさかこんな所でおかしな事をやっているとは。

 しかも小さな幼女までも扱っているとは!」


 「この女は私の娘だ!武器を収めろ」

 マーオが言う。


 「洗脳の類でもしているのか!!!殺してやる!!」


 「サイコキネシス!」


 「ぐっ!体が動かん!」


 「冒険者よ、私は今食事中なのだよ。

 娘と使用人と共にな、戦いは後にしてくれんか」


 「ぐっ!ふざけた事を!その娘が魔王となるなら、排除する必要がある!」


 「ぐわあああ!!!」

 

 (くっ!魔法の強さが異次元過ぎる、し……ぬ)


 「まおまお、何してるの?このお姉さんに」

 ユーナが聞く。


 「離れているんだユーナ、コイツは冒険者だ」


 「ダメだよ、つらそうなお顔してるよ」

 ユーナは悲しそうな顔を見せる。


 「分かった」


 「はぁはぁ……」

 魔王は魔法を解いた。


 「くっ……冒険者にここまでするなんて……魔王、覚悟しろよ……」


 「娘がお前を殺さないでくれと言ったんだ引いてはくれんか?」


 「引く?ふざけたことを!!」


 「お姉さん…」


 !?

 ユーナが女に近づく。


 「ユーナ!離れろ!!コイツは敵だ!」


 「娘…………魔王、またの機会にお前の命をいただく……じゃあな」


 ?

 ユーナの手を離し女は何処かへ歩いていった。



 (何なんだ、あの女は……しかし、あの最後に見せたあの顔……何かあるのか?)


 「あ、あの……魔王さん、大丈夫ですか?」


 「ああ、心配いらん。

 セシルこそ大丈夫か?」


 「はい僕は何もされてないので何ともありません。

 でもあの人、なんなんですかね……突然襲ってきて」


 「……訳ありかもな、我は少し用事が出来た。

 ユーナを頼めるか……セシル」


 「はい、分かりました」


 「まおまお、何処行くの?」


 「なに、仕事だよ。

 セシルと遊んでいてくれ、直ぐに戻るさ」


 「わかった〜、セシルと遊ぶ〜」

 ユーナは嬉しそうな顔をしている。


 「あの、気をつけてください。

 貴方の命を狙う者は沢山居ますから」


 「分かっている、それは魔王の宿命みたいなものだ」


 そう言い魔王は何処かへ向かった。


 その頃教会へと帰った女。


 「魔王を討伐出来なかっただと……愚か者め」

 一人の神父が言う。


 「申し訳ございません……ですが魔王に娘が居まして……」


 「まさかと思うが娘が居るから始末出来なかったとでも言うまいな?

 ……お前の娘は後何人居る?」


 !?


 「申し訳御座いません!!!必ず!次こそは必ず討伐します!!!

 お願いします!!」


 「その目です、その目……いい顔をしておりますよ。

 最初の娘のようにはならないといいですね〜。

 それでは」

 そう言い神父は教会を出ていった。


 (次こそは必ず……必ず殺す!!)


 スン。


 「何やら訳ありみたいだな」


 !?


 女は振り返る。

 そこには魔王が居た。


 「魔王!?ここで殺してやる!」


 「話は聞いていた、最後に見せたあの顔は娘の顔を思い出したからか?」


 「あんたには関係ない!私の手で死になさいよ!!」


 「言っておくがその程度の腕では我は倒せん。

 その剣であってもな」


 「……」


 「お前はこの先、我を倒そうと向かってくる。

 だが倒せるはずもなくむざむざここに戻る事になるだろう。

 そしたらお前の娘が殺されるだろう、いいか、お前はどうしたい?

 お前はどう生きたいんだ……」


 「私は……」


 ガチャリ。


 「これは!魔王!まさかここに来ていたとは」

 入ってきたのは先ほどの神父だ。


 「お前、コイツを脅し我を倒そうと企んで居たようだな」


 「聞かれていたか、ああそうだ。

 だがコイツは臆病者だ、お前の娘を見るなり手を引くとは……聖騎士として恥だ」


 「………」


 「臆病者だと?この女がか?」


 「ああ、お前の娘を見るなり手を引いたんだぞ!

 覚悟があれば子も関係ない、ターゲットを始末するまでは、やるかと思ったが」


 「……おい、女……何か反論はないのか?言われっぱなしでいいのか?」


 「……私は……聖騎士として街や市民を守る強い人になりたかった」


 「なれたではないか、だがここいら依頼も失敗続き、だからお前の娘は死んだんだよ!まぁ始末したのは俺の手でだがな」


 「あんたのせいで!!私はそんな殺し屋みたいな組織だと思わなかった!

 私の思っていた聖騎士はこんなはずじゃない!」


 「クククッ、殺し屋だと?言っておくがお前は聖騎士の中で下だ……だから殺しの依頼が多いんだよ。

 強くなりたきゃ、その魔王を殺せ。

 そうすれば、聖騎士内の地位も上に上がる。

 誰一人として聖騎士は魔王を殺らなかった、だからお前がやるんだよ!」


 「私は!殺しなんて……やりたくない!!!私はみんなを守る聖騎士として!生きたい!!!」

 女はそう叫ぶ。


 「そうか……お前はそんな弱い心の持ち主か……聖騎士失格だな。

 また新たな聖騎士を雇う必要がありそうだ、本当にがっかりだよ……ゴミ聖騎士、まぁお前の場合は殺人聖騎士って言ったほうがいいか?」


 「……女、名は?」

 魔王は言う。


 「ひぐっ、うっ……メアリー……」


 「メアリーか、いい名だな。

 おい……クソ神父……コイツは民を守る聖騎士として勤めるそうだ。

 取り消せ、殺人聖騎士ではない」


 「おいおいまさか、そのゴミ聖騎士を守るのか!?クククッあははは!!!!

 これは傑作だ!魔王とも奴がこんなゴミを守るなんて傑作以外何がある!」


 「お前は死ぬべき人間だ……神すら怒る程にな」


 「私が死ぬべき?何を言う、この私は神父だぞ!神は味方をしてくれている!」


 「そうか…………なら魔王である我がお前を裁こうか!

 ジャッチメント!!」


 !?


 それは真っ黒の槍、それが神父めがけて


 グサッグサッ。


 「ぎゃああああああ!!!!」

 突き刺さり


 ドサッ。


 神父は死んだ。


 「殺したの?」


 「ああ、闇の中で永遠に彷徨うがいい。

 ダークハンド」

 魔王が言うと神父の体は地面から生えた黒い腕に飲み込まれ消えた。


 「お前はこれからどうする……」


 「私は……聖騎士……なのでしょうか……奴の言っていたことは間違いではありません……でも、殺しては居ません……やったのは悪人だけです」


 「お前が望む聖騎士になりたいのなら……入れ」

 

 ぎー。

 教会の扉が開き、入ってきたのは鎧を来た男。

 仮面を取ると青髪ショートヘアの青色の瞳の騎士だ。


 「魔王が来るとは驚きだよ、それよりも奴は?」


 「始末した、それでだが、コイツを鍛えてやってはくれないか?

 コイツは民を守る騎士になりたいそうだ」


 (!)


 「魔王が直々に言うとはね〜、まぁ会議で会ってるし別に不思議じゃないんだけどね。

 ふ~ん、この子も聖騎士なのか」


 「メアリーです……一応聖騎士です」


 「そうか、メアリーと言ったな。

 聖騎士なら歓迎しよう……仲間も居る、ここでの悪夢は忘れて一緒に民を守ろう」


 !


 メアリーは涙を流した。


 「ありがとう……ございます……」


 「魔王討伐依頼なんていつからあったんだ?」


 「我も分からんが、多分奴が企んだのだろう。

 地位が上にいけるなんやらってな」


 「ここの神父はいい評判がなかったからな。

 娘はどうしてる?」


 「ああ、使用人と遊んでいる頃さ。

 そろそろ戻ろうと思う」


 「あの……魔王さん……私を救ってくれてありがとうございます……私、強くなります……民や街を守れる最強の聖騎士になる為に」


 「いい心意気だ、目の色もだいぶマシになったな。

 後は頼むぞ、リュウト」


 「分かっていますよ、姿は消して戻ってくださいね。

 街が騒ぎになるので」


 「分かっているさ」

 そうして魔王は透明になる魔法を唱えた。


 「あの……リュウトさんは魔王さんと知り合いなのですか?」


 「まぁね、あの人には感謝しているから。

 さ、メアリーだったね、聖騎士の家に向かおうか。

 そこで仲間に紹介するから」


 「分かりました」


 ……。


 空から見つめる魔王……娘の元へと向かうのでした。






 

 

 


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