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3. ユミル編 ② 王都での仕事とか尋ねてみよう

 翌日は初日のような魔物の襲撃といったアクシデントは無く、平和なまま夕方を迎え同じように野宿の準備を終え二人での夕食を迎えた。


「〝レイ〟さんは、王都には詳しいんでしょうか?」


 今日はシチューを作ったユミルは、自分の作ったシチューを一緒に食べる〝レイ〟にそんな質問を投げかけた。


「まあ……小さい頃から暮らして居た訳ではないけど……一応家は王都にあるから、ある程度は……」


 悩んだ後微妙な返事を返す〝レイ〟。


「じゃあ、仕事を紹介してくれる場所とか知ってますか?」

「仕事?」


 コテンと首を傾げる〝レイ〟。あはは~と愛想笑いをしながらユミルは語る。


「実は……昨日言った通り婚約破棄になった、いやされた? ので……ちょっと村に居づらいし、いっそ王都に出稼ぎにでも行こうかと。

 寮付きとかの住み込みのお仕事とかあればいいな~……と」

「住み込みって……」


 ユミルの発言に顔を顰める〝レイ〟。


「それとも、やっぱり私みたいな田舎育ちで学のない女を雇ってくれるような場所なんて王都にはなかったり……」


 顔が暗くなるユミル。


「いや、そうじゃない! そうじゃない……が」


 慌てて否定する〝レイ〟。どう言ったものかと思案しながら、口を開く。


「えっと……その、村には戻らない……のかな? まず初めに」

「……流石に村に一年に一度くらいは戻ると思いますけど……でも、出来れば何処か他の場所で手に職付けて暮らしたいな、と。

 アルバスとの婚約破棄で腫れ物状態ですし、今の状態で村に戻り辛くて……」


 苦笑するユミル。


「せっかく王都に行くのなら、いっそ王都で働いてみるのもいいかなって。見切り発車ですけどね」


 あはは、と笑うユミル。


「……本当は役所とかで働く官吏になりたかったんですけど、平民の女というだけではねられますから。

 だから工場とか出来たら寮付きのお仕事に就きたいんです」


 言っていて自嘲する。プロスペリタース国では女性差別は大きく、女性が就ける職も制限がある。なんなら貴族間でも女性への政治参加は眉を顰められる上に爵位の継承もどれだけ優秀でも男子がいればそっちに優先される場合が多い。この国ではいかに王都と言えど仕事に就くのもかなり大変だろう。


「……女性というだけで職業差別する者は確かに多い」


 ぽつりと〝レイ〟が口を開く。


「確かに、妊娠がある以上女性を雇用するのにはリスクがある。が、だからと言って『じゃあ仕方ないんで女性は仕事に就くな』というのは傲慢な話だ」


 腕を組む〝レイ〟。


「こういう部分も、この国が向き合い、解決しなければいけない問題なんだろうな……全く、だからこの国は……」

「? 〝レイ〟……さん?」

 

 ぶつぶつと呟く〝レイ〟に首を傾げるユミル。しかし、はっと我に返ると慌てて取り繕う。


「あ、ああ済まない」


 ニコリと笑うとうーむと腕を組む〝レイ〟。


「仕事を斡旋している場所は知っている。仕事の募集状況は分からないが……案内出来るよ。ただ……」

「? 何か?」


 不穏な言葉に不安になるユミル。しかし〝レイ〟は「ああいや、そうじゃなく」と続ける。


「せっかくの王都に行くんだ。仕事を探すだけでなく、楽しいことも経験して欲しいと思ってな」

「楽しいこと……ですか?」


 首を傾げるユミルに〝レイ〟は笑う。


「ま、色々と……ね」


 ニコリと〝レイ〟は不敵な笑みを向けたのだった。



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