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人災は忘れた頃にやってくる。その5


彼女がカウンター前までやってくると俺の横に並び立った。大柄のギアと見比べると彼女の小ささがよくわかる。ほんと何者!?


しかしまあ、ここまで近づかれると明後日の方向を見ているのは逆に不自然か⋯じゃあ堂々と彼女の方を向こうではないの!!というわけで顔を彼女の方に向けると一瞬だが彼女から鋭い視線を感じた。


むむ!?これは⋯警戒反応か?と思った瞬間女将が口を開いた。


「おや!?お嬢さん。こんな地方都市のギルドに何か用かい?」


「うん、ちょっとね!!ここに冒険者登録後、即銀になった奇妙奇天烈な野郎が現れたってんで見に来たのよ」


と言って彼女は自分の冒険者証を出す。その色は黄金に輝いていた。んん!?金!?


冒険者証を一目見た女将が小さめのため息をつき小声で「やっぱり⋯」とつぶやいた。


「その出で立ちにピンと来たよ!!まさかこの眼で直にお目見えする日が来るとわねぇ⋯⋯悠久の魔女、パラステア殿」


彼女は自分の名前と通り名?を呼ばれると鼻をムフーと鳴らし少々のドヤ顔を女将に返す。


「悠久なんてよしてよ!!こっちはまだ精々200とちょっと年程度しか生きてないのに悠久なんて烏滸(おこ)がましいわ」


「200年!?」


俺はあまりの人間離れした数字に思わず声が出てしまった!!するとパラステアと呼ばれた少女改め一見少女風の人がこちらに少々冷たい視線を向ける。


「あら?久しぶりの反応ね。貴方、人外は初めて?」


「人外?人外なの?」


「200年以上この姿で生きてたら十分人外じゃない?」


「う〜ん、俺にゃあただの可愛い女の子にしか見えんがねえ?そうじゃね?」


「そうですね。外見的にはその通りかと」


「えっ!?やだあ!!可愛いなんてホントの事を!!んっ!?ちょっと今の声誰!?」


いかつい鎧から発せられる女性の声に彼女は驚きの声をあげる。


「おや?こちらも久しぶりの反応ですね。どうも初めまして。私はこの男を根城にしている妖精のサテラと申します。以後お見知り置きを」


「ええ⋯どうもご丁寧に⋯って妖精!?まあまあ長く生きてるけど妖精との会話は初めてだわ⋯っていうか妖精に根城って⋯アンタ何者!?」


サテラの存在に驚きを隠せないパラステアに女将が話しかける。


「その黒いのがアンタの探してる奇妙奇天烈な男だよ」


「えっ!?」


「い⋯いえ〜い」


流れでピースなどかましてみたがアホを見る様な眼で返された。悲しい。


「え〜!?本当にコイツ!?見た目強そうだけどなんかこう重厚さが無いというか⋯なんかガワだけ立派で中身スカスカな感じ?」


このメスガキ風、小馬鹿にした様なニヤけ面を向けているが⋯こいつ、まさか気付いちゃった!?この世界に来て初めて本質に迫られたぞ!!そうだよ!!中身は元サラリーマンだ!!サテラに小声で「鋭い方ですね」なんて言われちゃってさ!!本来こんな世界じゃ生きていけねえ人種なんだよ!!装備のおかげで生き残れてんの!!なんか自分で言ってて悲しくなってきた⋯でも負けちゃだめ!!レッツポジティブ!!


「ははは⋯いやいや中々手厳しい⋯どうも初めまして!!私が登録直後にも関わらず銀三級冒険者になったイルマです!!オパーリンさん!!」


「パラステアよ!!んで?アンタは何?鎧を着込んでいるからには戦士系?」


「ではこちらをご覧ください。パンスト太郎さん!!」


彼女は気の強そうな眼をコチラに向け睨み、無言で銀の冒険者証を毟り取ると俺の脚にローキックをお見舞いするのであった。


そんな我がスペースチタニウムナノマシン合金の硬さに顔を歪めつつ冒険者証を眺めるパー子さんは思わず声を荒げる。


「はあぁぁ!?魔術士って何よ!?こんな鎧着込んでる癖に!!イメージ狂うわぁ〜棍棒とか持って突撃しそうな格好してるのに杖振るの!!うわぁ似合わねえ!!もう相手からしたら詐欺じゃん!!」


「詐欺とは失礼だな!!詐欺とは!!この格好を用いて金銭的に誰かを(たばか)った事など無いぞ!!それに姿形(すがたかたち)が詐欺になるのであればアンタが一番詐欺じゃねーか!!」


「はあぁぁ!?何言ってんの!?ロリババアは皆が認めたいちジャンルだから詐欺にはなりませ〜ん!!残念でした〜!!」


「言っちゃったよ!!自分でババアって言っちゃたよこの人!!っていうかこの世界にロリババアなんて概念あるのかよ!!」


そんな二人のやり取りを「私は一体何を見せられているのだろう」という顔をしている女将が咳払いをして俺達の醜い争いにストップをかける。


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