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人災は忘れた頃にやってくる。その4


そんでごった返す人の海を泳ぎ切りやっとの思いで冒険者ギルドに到着した俺達は人混みに辟易しながら中に入ると外とは打って変わって人出はまばらであった。そんな中こちらに気付いた女将が声をかけてきた。


「よ〜う期待の新人くん!!数日ぶりだね!!祭りのお陰でこの有様な我がギルドを潤すものは持って来てくれたかい?」


俺は手を上げて挨拶を返しながらカウンターへと近づく。


「いやいや、残念ながら銅の時に受けた薬草集めの納品に来ただけ」


「そうかい、それは残念。今日はお嬢ちゃんは?」


とは言いながら全く残念な素振りを見せてない女将である。


「新しい道具にお熱なんで置いて来ました。しかし、外はあんなに賑やかなのにここは人が少ないですな」


「まあ、祭りの最中に依頼を受けようなんて奴は稀なのよ。よっぽどの金欠か仕事中毒でもなきゃ外で酒食らってる方が良いに決まってるだろ」


「ふ〜ん、そんなもんなんだ」


「女将、お聞きしたい事があるのですが⋯そもそもこのお祭りは何に纏わるものなのですか?我々はこの街⋯と言いますか⋯この土地に来てまだ間もないものですから風習等わからないものだらけでして⋯」


サテラが聞きたかった疑問を女将に聞いてくれた。さて女将の答えは!?


「ああん?ああ、そりゃアレだよ!!魔王が幅利かせてた時代に勇者が魔王領にカチコミかけるべく黒の樹海を抜ける準備をする為にこの街に寄った日を記念した祭りさ」


「ああ⋯そう。勇者が寄った日が祭りにねえ⋯某ドラ◯エだったら瞬間移動魔法で街に寄るたびに記念日が増えちゃうね」


「何言ってるかは知らんが今日から五日間、勇者が滞在した日数開かれるからここしばらくは暇だねえ。ただまあウチも出店してるからあっちは忙しいだろうけどさ」


「確かに職員の数も少ない様ですね」


「しかし⋯寄った日が祭りなっちゃうんだったら街々、時間差で開かれるって事?」


「ああその通り。ただこんな大々的な祭りをやるのは都市と呼ばれる街ぐらいだがね。小規模の村なんかではほら、これがね⋯」


女将はなんとも言えない表情をしながら金を表すハンドサインする。


「勇者様の偉業を讃えるにもお金がかかると言う事ですか⋯どうも人間の世界というものは世知辛いですねえ」


「地獄の沙汰も金次第ってな。生きてるだけで金がかかるもんなんだよ人間って」


形は違えどアッチもコッチも基本的にはやる事同じ、明日を生きるための銭を稼いでヒーヒー言うのは変わらない。遥かな世界にゃ救いはないのか!!どこかに無いのかユートピア!!教えてほしいガンダーラ!!


「その通りさ妖精さん。人間日々の金を稼ぐ事で一杯一杯、辛い辛いなんだよ。だからさ、アンタらもこんな所にいないで今日ぐらい何も考えず祭りを楽しんできたらどうだね?初めてなんだろう?勇者の祭りは?」


「あ〜楽しみたいところではあるが人出がなあ⋯いすぎでしょ⋯人⋯」


「そりゃ初日だからねえ!!そんなところも楽しむんだよ!!それが祭りさ!!」


「そんなもんかあ?インドア派の俺には人混みはきつい⋯」


と愚痴をこぼしている途中で入口のドアが勢い良く開く音がした。あまりの快音に音のした方を向くとそこには身体に合っていない大柄な杖を持った各種メディアに出てくるエジプト娘?って格好した小柄な少女がウンザリとした顔をして立っているのであった。


「やだもう〜来る時期間違えたわ全く!!」


やけに澄みつつも遠くまで通る様な声を放った彼女は身体に着いた埃を払いつつ愚痴をこぼしていた。人の少なさとその声のお陰でカウンターの所まで愚痴が聞こえていた。どうやらあの小さな身体で人混みを掻き分けここに到着したみたいだ。貴女の気持ちは痛いほどわかるぞ!!ご苦労様です!!しかしあんな幼い子がこんな所に何の様だ?しかもあんなでっけえ杖を持って⋯⋯杖と言うことは魔術師か?子供なのに?


いや!!異世界ものでは子供でも実力を持っているなんてざらじゃない!!舐めてかかってはいけない!!


ここで俺が取らなければならない選択は⋯⋯


その1、お嬢ちゃん何しに来たの?ここはお嬢ちゃんが来るような所じゃあねえよとチャチャをいれるギルドに良くいるモブ冒険者がよくやりそうなムーブをかます。


その2、同じ冒険者として大人と同等な対応をする。


その3、さわらぬ神にはなんとやら!!子供魔術師なぞマトモじゃあない!!関わらないのが一番!!


もちろん私は3を選ぶに決まってるではありませんか!!私は平穏に生きたい!!どこぞの宇宙海賊のように許されるはずもないピース&ラブなんぞまっぴらごめんじゃ!!


「おや、誰だろうね?」


女将の興味があちらに向く。すると彼女は少々戸惑った様な表情を見せる。これは⋯録でもない予感⋯ここを離れるべきか⋯


俺は女将にこの様な表情をさせた彼女をなるたけ直視しない様ちょいと女将の方に身体を向け明後日の方に顔を背けるが、後方カメラのお陰でバッチし見えちゃっている。


あちらさんもこちらが受付カウンターと気付いた様で小さい身体には少々似合わない堂々とした歩き方でこちらまでやってきた。やべっ!!離脱するタイミングを逸した!!


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