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人災は忘れた頃にやってくる。その1


屋敷を背に商業地区へと向かう我ら買い出し隊は出発早々ですよね〜的事態に陥っていた。


そう⋯遠いのである。事前に聞いていたからですよね〜なのであるがやっぱり遠い。大人の足で一時間かかるとかこの身体でなかったら行きで燃え尽きていたに違いない。


お店に着いたら某ボクサー漫画の主人公のよろしく灰になってるとか笑えんよ。


だだっ広い草原に敷設されている道をただひたすら歩く。ここに案内された時馬車できたからあんまり意識はしていなかったが、実際自分の足で歩くと遠いよ。


ここをルゥを連れて歩くのかあ⋯あの娘も大秘境で育ったらしいから歩くのは苦ではなさそうだが時間がもったいないのよねえ。どうにかして短縮できんもんかな?


一番手っ取り早いのはギア着て彼女を担いで走る!!が良いと思うのだがねえ。買ったものも全部ストレージにぶん投げちまえば良いんだしな。


っていうか今もうギア着ちゃえば良いんじゃね?


とも思ったが、なんつうかこの空気に触れていたいというか、晴れた日の草原の道をこうしてのんびり歩くなんてアチラではなかったからなあ。前に壁外の草原を歩いた時は警戒しつつの移動だったからこんな牧歌的ではなかった気がする。どこか気が張ってたような感じだったな。


ああ、安全っていいねえ。


移動の事は後で考えて今は歩きましょう。今日の私は元気だぜ!!この世界はへんないきものだらけです。たぶん。


頭空っぽで小一時間歩いていると地区の境に到着した。周りを見渡してみると低めの塀が境界をビシッと分けていた。ここからが商業地区か。


塀や壁とは世界を区切るもの。ここから先はまた違う区域。何だか異世界に入る気分に少々なるなと思い足を踏み入れる。


少し歩いて行き、商業地区の中心へと向かう大きめな道に出るとこの前と打って変わって街が色めきだっている気がする。何だろう?大勢の人が同じ方向に向かっている。


老若男女、皆笑顔を浮かべ実に楽しそうだ。俺は人の波に乗り皆と同じ向きへと流される。


中心へと向かうにつれ華やかに装飾された街並みや、普段は出ていないであろう場所に屋台などがある事から間違いない!!祭りが始まったのである!!


宿不足の元凶であった祭りが!!


たくさんの人々が思い思いの場所へと向かい祭りの雰囲気に高揚しているのが見えるが、日用品の買い物をしにきた俺にとっては、ただでさえ来たばかりで右も左もよく分かっていない街がよりカオスな状態になってしまってもう何が何だか⋯⋯普通のお店はどこですか!?


そんな舵を失った難破船俺号は人の海に発生する海流にただ流され、いつの間にやら中央付近にやってきていた。ここまで結構な時間をかけてしまっている。こりゃ買い物どころじゃあないな。


そんな私、流れに流れ商業地区最大の広場まで来てしまった。そこには巨大なオブジェが!!


そうか⋯みんなこれを観に来たのか!!


華麗な装飾がなされた台車の上に、これまた装飾された箱型のものが乗っかっているのかな?そんでその四方には何やら絵が描かれているなあ⋯何を表している絵だ?


そんな山車(だし)で良いのかなこっちでも?それがずらりと並んでいる。


人々は並べられた山車の側面の絵を鑑賞しながら歩いている。美術館とかの順路みたいな?もしかして観る順番があるのか。


俺も人々に混じり並べられた通りに絵を観てみると、どうやら一人の男が大地に降り立つ所から物語は始まっているらしい。そんで男が王様に傅く絵に。次に仲間と共に旅立つ絵。後に続くは笑いあり涙あり、恋愛要素ありの冒険の日々を表している絵の数々である。


最後の方では魔王⋯であってるのかな?この物語のボスを倒す絵と続き、最後の絵には王国に戻り、特に冒険部に出ていなかった王様と共になんか輝きを放つ水晶玉みたいなものを掲げている絵で終わっていた。


周りの反応を見てみると、男の活躍に感動している人や、毎年見てるから別に〜っていう顔の人もいる。小さい子供なんかも親に向かって熱心に質問をしている子もいれば、ものすご〜く冷めた目で人の流れに従っている子もいた。


そんな子供を見ていたら何だか、中学あたりの修学旅行で神社仏閣に行かされていた俺自身を思い出す。あの頃は(おもむき)とかそういうのわかんなかったんだよ!!


そんな男のRPGプレイを見終わり列から街へと放り出された俺。ああ自由になった。


「んで、どうだったあの絵?」


「そうですねえ、初めに男が大地に降り立った所から始まるじゃないですか?天から遣わされた存在であるからには神やそれに纏わるもの?天使?の様な存在なのでしょうか?しかし⋯それでは只人である王に対して傅くのはおかしいような?敢えてそうした?う〜ん」


「つまりだ⋯この祭りは何だ!?」


「この男と王を讃えるプロパガンダ色濃厚な祭りではないですか?」


「やっぱりそうか⋯じゃあそれで」


「詳細を聞きたかったらそこいら辺の人に聞いてみては如何ですか?」


「あ〜、うん、そうね、後で聞こう。さて、このゴタゴタした感じ⋯普通の買い物なんてできやしない。どうしたもんだろうかねえ?」


「そうですねえ、せっかく街に来た事ですしストレージの中にルゥと採取した草類があるのですが、これをギルドに納入するのはどうでしょう?」


「それいいね!!何もしないで帰るよりだいぶマシ!!後は⋯そうだな、屋台飯でもお土産に買って行くとするか」


「それが良いかと。ではさっさと参りましょう。人混みはどうも起動状態が不完全故かハードに負荷がかかるようでいけません」


「なんで!?」


「いつ何時敵の来襲があるかわかりませんから一定の範囲内を常時スキャニングしてます。これで目視外から襲われた場合でも対応できますよ」


「おお⋯それは御苦労さまです。では行くとするか」


と、サテラが今も街のレイアウトがいまいちわかっていな俺の為にグラスにナビを表示させてくれた。俺はそれに従って歩き出そうとしたその時、後ろから怒声が聞こえた。


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