老人の企み事で一番割を食うのが若者なのは何故だろうか?その6
先に寝室を出て玄関で待機後約40分で彼女が現れた。女の身支度として早いのか遅いのかよくわからん。だって女性とお付き合いした事ないから!!
「お待たせなぁ〜。さあいくえ!!」
意気揚々と玄関を出て商業地区へと向かおうと歩き始めた矢先、正面より何かが近付いてくる。
「前方より動体探知。おや?あれは⋯」
サテラが何やら物体を察知する。俺はグラスのカメラの倍率を上げ目標を見ると荷馬車二台ほど近付いてきていた。
しかも先頭を走る荷馬車の御者の隣席に見知った人が!!
諸悪の根源もとい頭桃色執事ことアルベルトさんが乗っているではありませんか!!また何か嫌がらせをしに来たのか!?俺は少々構えつつ元気に手を振る彼の到着を待つ。
「ありゃ?アルベルトさんやん!!どうしたんやろなぁ?」
顔を認識出来るあたりまで近づいてきた彼は俺たちに語り掛けてくる。
「いやあ、お二人共!!おでかけ前でしたか?これは入れ違いにならずに幸運でした」
彼の乗った馬車が俺達の前で止まった。彼の背後の荷台には布に包まれた何やら大きい物が鎮座しており、もう一台の荷馬車には恐らく人足の方々が乗っていた。いったい何であろうか?颯爽と荷馬車から降りるアルベルトさんにルゥが挨拶する。
「こんにちわアルベルトさん。今日はどうしたんえ?」
俺とサテラも続けて挨拶をする。
「ルゥシエル様、イルマ様、サテラ様ご機嫌よう。本日は魔力反応釜のお届けに上がりました」
「ええっ!!もうっ!?えらい早いなぁ〜。ちょっと前に頼んだばかりやのに」
「はい、在庫の目録を確認した所、この街の倉庫に一つありましてね。本当は全て揃ってからと考えておりましたがなるべく早くお届けしたいと思いまして本日参りました。しかし⋯見た所これからお出かけになられるんですね?では設置はこちらでやっておきますので皆様は気兼ねなくお出かけください」
んじゃあお願いしますと彼に頼み、いざ出掛けんとルゥを見ると何やらうずうずした顔をしている。
この感じ俺は知っている。ゲーミングPCが家に届いたあの日、いざ開けんと箱に手をかけた途端休日出勤の連絡が!!あの感覚忘れるものか!!この娘に味合わせてはいけない!!
「釜の様子が観たいんだったら残ってもいいよ。俺一人でも大丈夫だから」
「えっ!?でも⋯」
「何言っているのですか?まるで欲しかった玩具を前にした子供の様な顔になっていると言うのに我慢する必要などありませんよ。我々だけで行ってきますから、貴女は魔力反応釜を思いっきり堪能なさってください」
サテラに諭されルゥは少し考える素振りを見せた後、改めてこちらに向き直した。
「うう、ごめんなぁ⋯じゃあ、遠慮なく」
「うむ、では行ってくる!!」
「いってらっしゃい!!」
アルベルトさん達と共に屋敷へ踵を返すルゥ達を背中に俺達は歩き出した。
そういえば彼女の必要な物を聞いてきていないが⋯今更聞きの戻るのも面倒だからこのまま行っちゃえ!!
この世界の道具や食材ってどんな物だろうな?結構楽しみだなあ。




