老人の企み事で一番割を食うのが若者なのは何故だろうか?その4
「コレ美味しいなぁ!!パリッとした歯応えと中から出て来る果汁がたまらんわぁ!!」
そりゃそうでしょう。貴女がパクパク食ってるそれは一房数千円のシャインな奴ですからね⋯⋯一時のテンションに身を任せ高い葡萄買っちゃったけどこれで良かったのか?
贅沢を覚えさせてしまったのでは!?
ルゥはかなり気に入った様で一房まるで食べてしまい、締めの紅茶を飲んでいる。
「美味しかったわぁ〜どこで売ってたんこれ?」
「いやあ〜、ノリで買った物だから覚えてないなあ〜どこで買ったんだっけ?」
ここでサテラが気を利かし適当な解答を出してくれた。
「貴方の故郷で買った物でしょう?お店で購入後ストレージに保存していたではないですか」
「ああ!!そうだったね!!ストレージの中で見つけたから食後にどうかと思って出したんだっけな」
「ふわっ!?兄さんの故郷の物だったん!?すごいなあ、こんな甘くて皮ごといける葡萄なんて初めてやわぁ〜。あっ!!せっかくの故郷の味をウチ一人で食べてしもうた!!堪忍なぁ〜」
「ああ、良いよ。まだ在庫はあるし満足して貰えばこちらとしても不満はないから」
「ごめんなぁ〜、でもまた食べたい味やったわぁ〜」
「じゃあまた今度な」
「うん!!」
良い顔だ。彼女は先に朝食を済ますと後片付けの任を申し出てきたのでお言葉に甘える事にした。
俺は食事を終え、後はルゥに任せて食堂から出ると新たに寝室にする部屋へと向かう。とは言っても現在使っている部屋のお隣なのだが。
部屋の前に着くと俺は扉を開け中に入るとそのまま窓の方に向かいカーテンを開ける。すると明るい陽射しが暗い部屋を照らし暗闇に沈んでいた家具達に光を与えた。
窓を開け外気を中に入れる。朝の空気がとても清々しい。
明かりに照らされた家具は、埃を被らない様布が掛けられており少々の異様さを醸し出していた。
俺は家具に掛けられた布を剥がしにかかる。布についていた細かい埃が陽に当てられよく目立っていた。
ラズールの人達が徹底的に掃除をしてくれてはいたが、こう言う布から出るモノは致し方がないのである。一番デカいであろうキングサイズのベッドの布を剥がす。マットレス等何も敷かれていない木製のベッドが姿を現した。
さて、コイツに会うマットレスを倉庫から探さなくてはな。
倉庫に向かい、中に入るとキッチリとジャンル別に分けられた棚が眼に入る。しかしあんなデカいものが棚にある訳がない。周りを眺めているとそれっぽいデカい包みを見つけた。包装の上から手で押してみると今使っているマットレスと似た様な感触!!おそらくこれだろう!!
後はシーツや掛け布団も干したいので物干しスタンドを探してみたら近くにあった。良かった。通販で買わずにすんだ。
俺はスタンドを担ぐと外へと向かい玄関を開けると、そこには広大な庭が広がっている。改めて見回してみるとこりゃ中々すごいな。お隣さんが見えないもん。
さんさんと陽が降り注ぐなかスタンドを展開、再び倉庫に戻りシーツや掛け布団を持ってくると俺はスタンドに物を干すのであった。いやあ気持ち良いねえ!!
さて次は大物だ。あれは一人では無理だぞ⋯だがルゥを入れた所でえっちらおっちらは変わらない訳で。
と言う訳でギアを装着!!倉庫へと向かうが肩アーマーとかヘッドギアが扉の枠等に引っかかって動きづらい事この上無い。しかしこのパワーがないとマットレスは動かせん!!
答えは一つ!!気をつけて進むしかない!!
意を決して屋敷内に突撃するも廊下の壁や扉の枠にちょいちょいぶつけて倉庫に着く頃には物凄い疲労を感じるのであった。敷金を請求されるかもしれん。
マットレスを掴み再び外へ!!そろりそろりと運び出し玄関を出た所でものすごい達成感が⋯⋯思わず両腕を天に掲げる。俺やったぜ!!結局えっちらおっちらだったな。
さてと、この大きさのマットレスを干せる大きさのスタンドは無いと⋯⋯だったらコレの包装をそのまま地面に敷いて干すか。
掛け布団等が欠けてあるスタンドの横にマットレスを置くと包装を解いた。中には新品の綺麗なマットレスが入っていた。良かった⋯中身が違わなくて。
倉庫でギアを装着すれば行きだけでも楽出来たのにとAIに言われたが今更遅いぜ!!
さて、UAVによるサテラ天気予報によると今日はこのまま晴れという事でこのまま出しといて良いかな?
後は食料やら生活必需品を買い出しに行かなくてはならないな。という訳でルゥに声を掛けに行こう。
ギアを脱ぎ屋敷に戻り彼女を探す。最初に台所に行ってみるとすでに片付け終えた後でおらんかった。
もしかして寝室の方へ戻ってるのか?と思い部屋に向かうがいない。考えが思わず口に出た。
「いないなあ⋯どこ行ったんだろ?」
するとサテラが反応する。
「おや、ルゥをお探しですか?言って頂ければ探しましたのに」
「ん?探せるの?」
「はい、彼女に預けてある端末の位置を測定すれば良いだけですので。まあ彼女が装着している前提ですが」
「では!!お願いします!!」
「今の位置ですと⋯⋯ちょうど浴室にいる事になりますね」
「なん⋯だと⋯」
「はい、ですから浴室です。声を掛けに行きますか?」
「ええ〜良いのかなあ?女性の入浴中に声を掛けるって⋯嫌に思われないかなあ?」
「何童貞くさい事言ってるんですか?浴室内に入る訳ではないのでしょう?たかが声を掛けるだけなのに!!ほらっ!!さっさと行く!!」
「へいへい」
少しドキドキしながら風呂場に向かうが、近づくにつれ我が胸の内に居られるDJの調子が上がってきらしくビートをドコドコ刻み出した。やめてくれー!!俺はどちらかと言うと昭和歌謡が好きなんだ!!
風呂場入り口に着いたが、どうも入るのを躊躇ってしまう。中にもう一つ扉があるからそこから話しかければ良いだけである筈なのだが俺の中のYOSH⚪︎KIが激しく頭を振りながらくれないに染まっていってもうどうしようも無いのである。こう言う時ナノマシーンで抑えてくれるんとちゃいますの!?
「ほらっ!?早くする!!」
入り口で突っ立っている俺にサテラがせっつく。




