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大人の階段は登ってからが本番である。その1


バーンとかドーンとかの効果音が鳴りそうなくらい元気いっぱい良い顔してるルゥが俺の前に立っている。せっかく部屋着に着替えているのだから頭空っぽにして横にでもなってなさいよ!!そしたら何となく眠れるからさ!!


そんな考えの俺は地獄の底から聞こえるような声で奴に問うのであった!!


「何しにきた⋯貴様⋯何しにきた⋯」


そんな俺の恨みがましい声と表情などお構いなしの笑顔で返してくる。


「眠れへんから兄さんに相手になってもらおう思うてなあ。決して食事に席で恥かかされた事の復讐やないえ」


「本当の所?」


「お返しの嫌がらせをなあ〜って!!言わせんといて!!」


流れに乗り自白するルゥ。この野郎!!


「見ての通り満身創痍ですのでお引き取りを」


「まあまあ、兄さんは体力の鬼やん!!少しぐらい平気やろ!?」


と彼女は俺のベッドにまるでいたずらっ子の様なダイブをかます。着地時の反動で俺の身体が少し浮いた気がする。

添い寝状態になった彼女の顔がすぐ近くになるが普段ならドキッとする所だろうが今は色気より眠気じゃ!!


「体力の鬼ってなあ⋯んな訳ないだろ⋯アレはサテラのインチキで成り立ってるモノだから俺自身は貧弱な坊やの代表みたいなもんだ!!」


少し不貞腐れた感じで答えると不意に彼女は俺の頬に手を当てるのだった。


「細かい傷がいっぱいやえ。一体何したん?」


少し心配そうな表情と不意打ち的接触により先程とは違い思わずドキッと⋯しない!!してないもん!!


「む⋯少々修練をな⋯」


「少々であの格好になるんえ?すごいなぁ〜あのボロボロで少々⋯」


「はいっ⋯盛ました!!大分(だいぶ)です!!お陰様で風呂入った時傷が沁みて痛かった⋯こういう時は痛覚遮断してくれんのよなああの野郎」


「せやったらウチが魔法で治してあげるえ!!」


「それは有難いな!!ささっ!!チャチャっとかけてくれい!!」


この世界に来て初めて魔法にかかるよ。どんな感じかちょっとドキドキ!!


「わかったわぁ。んじゃあちょっと失礼するえ」


彼女はそう言うと仰向けに寝ていた俺の上にうつ伏せでドーンとのっかてきた!!丁度俺の胸部あたりに彼女の頭があり艶やかな髪からはなんとも言えぬええ香りが⋯って⋯さっきとは違うドキドキがあ!!


「おお!!何故⋯俺の上に⋯!?」


しどろもどろの俺に笑顔のルゥが、さも当たり前と言わんばかりに言う。


「身体との接触部分が多いほどよう効くんよ。大人しくするえ!!」


彼女は悪戯っぽい笑顔を浮かべると何やら小声で呟いた。すると身体の中を何かが駆け抜ける感覚と今まで感じた事のない全身を包む暖かさと多幸感、それと先程まで全身に満遍なく広がっていた細かい痛みが嘘のように消えていった。


この味わった事のない初めての感覚に思わず声が漏れる。


「あふぅ〜これは⋯ええなああ」


究極のリラックス状態とはこの事では!?聞いた事がある⋯人間、他界の直前には死の恐怖を和らげるために脳内麻薬バンバン出して幸福感に包まれると言われている。今がその時⋯って俺死ぬの!?


などとふざけた考えが頭をよぎる。俺はルゥの様子をみる為目線を下げると彼女は俺の心音を確かめる様に耳と頬を俺の胸部に当てている。ただ当たっているのは当然それだけではなく彼女の胸部に存在する非常に豊かな軟体物質が丁度我が下腹部あたりにね!!


意識した途端、脳内に存在する親方が職人を引き連れ我が股間辺りにバベルの塔の建設をすべく移動を開始した!!不味い!!奴らの移動手段は電気信号だ!!真空状態では光と同じ速度で進むが神経を進む速度は秒速60~70mとネットに載っていた!!


これは!!どう足掻いても親方達の進軍を止める事は出来ない!!どうする!?このままでは建設が開始される!!建設されれば反り建つ塔を見た国民達はその荘厳さを讃え俺はバビロニア変態王として君臨し後にヘロドトスあたりが歴史書に記すであろう。


女性好感度ゼロの王として!!


脳内はこれから起こる事にダウナーな気分なのに、我の建設予定地には施工主の意向を無視し基礎工事が開始されるを感じる⋯⋯終わりだ。


ただ絶望している漫画の主人公背景ベタ色状態のその時、不思議な事が起こった!!


親方一同が建設予定地より撤退したのである。ダウナーな気分も消えスンとした感情となった。


頭の中スッキリ!!これは⋯システムが働いたというかお役所(サテラ)から停止(おなさけ)がかかったのだな!!非常に助かりました!!あじゃじゃまーす!!


そんなワタクシ、全てを悟った僧のような表情でルゥに語りかける。


「ありがとう。楽になったよ。魔法というものは凄いものだな。全身の痛みが嘘の様に消えて無くなったよ」


腕などを見てみるとあの傷だらけだった肌が何事もなかった様に綺麗になっている。



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