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自己認識と運動能力のギャップを感じてしまったあの歳⋯その5


大きさはソフトボールくらいで形状はまん丸。色は軍用には珍しい白色でスリットがそこかしろに入っており、いかにも金属でできてま〜すと言わんばかりの光沢を放っている。まあ何で出来てるかは知らんが。


そんな彼女の両手に収まる単眼金属ボールにお嬢様は嬉しそうに語りかける。


「これからよろしくお願いしますね」


するとそれに答えるように電子音が鳴るのであった。んんっ!?Rの2型ドロイド!?俺、光る剣持ってたかなあ?


自分の問いに応答した事を非常に喜ぶお嬢様。まるで買ってもらったばかりの人形の如く抱いちゃってるよ。横の二人は少しハラハラした表情でお嬢様を見ている。何せお嬢様の手の中には得体も知れんなんちゃって使い魔がいるのだから。


「ではルビー嬢、この子と仲良くしてやって下さいね。それと運用についてですがこの屋敷の敷地内やルビー嬢の許しがあった場合この子は姿を現しますが、外出時や来客時などはステルスモード⋯⋯ああ、失礼しました。認識阻害の能力を使いルビー嬢に随伴させますのでご心配なさらぬ様に」


「姿を隠す事ができる!?さすが妖精ですな!!それなら相手に悟られずお嬢様をお守り出来ますね」


「それではデモンストレーションを」


UAVがお嬢様の手を離れ少し高めの位置に来ると、フッと姿が消えた。と言っても完全に消えた訳では無い。周りの風景に溶け込み非常に見にくくなっている。ぱっと見じゃあまずわからんし、かなり凝視しないと認識出来ないレベルで忍んでいる。この機能、俺も欲しいな。


「まあ、消えてしまったわ!!」


「ほお⋯これは⋯大したものですな!!」


「これが⋯妖精」


アメリアさんの呟きに(ひと)ツッコミ。違います。インチキですよ。でもまあ⋯勘違いしてくれているのでヨシとする。


「ルビー嬢、この子を呼んでくださいな。そうすれば姿を現しますよ」


「あ、はい!!あの⋯姿を現して下さいな」


彼女が言葉を発した少し後に先程とは違う位置、正確に言うとお嬢様のちょうど顔あたりにUAVがパッと現れた。


「きゃっ!!」


お嬢様は少し驚き少々後ずさった。UAVの方も後退する。


「こらっ!!悪戯するんじゃありません!!ルビー嬢、申し訳ございません」


まるで子供のいたずらを叱りつける母親の様なサテラの口調に少々違和感を感じる俺であった。


「いえ⋯⋯お気になさらないでください」


そんな優しげな口調のお嬢様にUAVは彼女に近付いて行き、彼女の周りを一周した後頭上ちょっと右あたりに陣取った。


「では、お嬢様をしっかりお守りするように!!良いですね!!」


サテラが少々強い口調でUAVに話すとあちらもやる気のありそうな音調の電子音で返答するのであった。


「よしっ!!では頑張るように」


UAVは彼女に答える様にお嬢様の斜め上にて存在しないはずの胸をビシッと張り見守りモードに入った。



「これで大丈夫でしょう!!では私どもはこれで。行きますよイルマ!!」


「えっ!?まだやるの!?ちょっと休んでも良いんじゃあ無いのかな〜」


「何言っているのですか!!1日でも、いや!!一秒でも早く貴方のパフォーマンスを現役時と同等に仕上げなければなりません!!休んでいる暇はありませんよ!!」


「マジかよ〜」


嫌だったら行かなきゃ良いのに俺は交話室を出ると訓練用ギアが待っている庭へと向かう。あんなに辛いのに何故いくのだろう?多分だけど元の持ち主の身体の記憶と言う奴だろうかね⋯訓練と言われたらやらずにはいられないのよ。全く!!やんなっちゃうわ!!


こうしてお屋敷の庭から、声にならない声が再び響き渡るのであった。


またどれくらい時間が経ったであろうか。すっかり陽も落ち本日の営業終了という事でトボトボと屋敷に戻る。昼食を抜いた空きっ腹が寂しげな音を奏でるのが物悲しい。


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