自己認識と運動能力のギャップを感じてしまったあの歳⋯その4
「アルベルトさん!!あまり無理強いは良くありませんよ。旦那様のお気持ちも考えないと⋯奥様の事だってまだ⋯」
「しかし⋯」
アメリアさんの言葉に少したじろぐような素振りを見せるアルベルトさん。
「まあまあアメリア、アルベルトも我が家の事を思って言った事⋯あまり責めないであげて」
「はあ⋯わかりました」
「お嬢様⋯」
お嬢様の言葉にホロリとくるアルベルトさん。しかしお嬢様は頭目の再婚には積極的なのね。う〜む、我思うに何か裏ありと何かが俺に囁いている。
「イルマ様、サテラ様、ありがとうございました。お陰様で方針は決まりましたわ。これから我が商会の総力を上げて対抗しなくてはいけません!!どうかお二人には今後もお力添えをよろしくお願い致します」
「あいわかった⋯っと言っても先ほど申した様に我々冒険者という職業柄、四六時中お嬢様のお側にいる訳には行きませんからねえ。しかし今回の様な事が今後起きないとも限らない⋯なんか良い方法はありませんかねえサテラもんさん!?」
「はいはい⋯それではこちらからの提案として、まずは迅速な緊急連絡手段を確保する為のホットラインの構築及び、ルビー嬢の安全確保の為にUAVの⋯失礼、私の使い魔をルビー嬢の側に常駐させようと思うのですが如何でしょうか?」
「その様な事ができるのですか!?」
お嬢様の目の色がパッと変わったのがわかった。興味津々とはこの事である。
「それが出来れば非常に有難いですな」
「ええ、サテラ様に見守って頂けていると思うと安心感がありますね」
アルベルトさんとアメリアさんの反応も上々の様だ。
「それでは合意なされたという事で宜しいですね?」
「はい!!」
お嬢様ウッキウキで答える。しかし他の二人は先程の顔とはうって変わって少々心配そうな顔をしているのだが多分二人が正しい。
まあ友好関係になったとは言え、他人に常時監視されるという事に変わらない訳で、もしかしたらあんな事やこんな事、とどのつまり情報漏洩の恐れが出てくる訳でありまして、まあ不安だわなあ。
そんな俺の考えを見透かす様にサテラが二人の懸念を払拭させる為の提案をする。
「とは言え四六時中、訳のわからない物が側にいるのも精神衛生上よくありませんので入浴等プライバシーに係る時には外で待機させます。それに聴かれたくない会話などは命じて頂ければ一定の距離をおき収音装置を落とす事もお約束しましょう」
アルベルトさんとアメリアさんは少し考える様子を見せる横で、お嬢様はおもちゃ売り場でこれを購入せよと両親に熱い視線を送る子供の様な素振りを見せていた。
少しの間をおいてアルベルトさんが口を開く。
「サテラ様⋯お願いできますか?考えましたがやはり貴女に見守られていた方がお嬢様の身の安全が保たれると思います」
「そうです!!保たれます!!」
アルベルトさんの発言にお嬢様が興奮気味に被せてきた。あの親にしてこの子か?
「ではルビー嬢、この子を貴女にお預けします」
サテラの言葉と同時に上方から強い光が発せられ、俺以外の三人は突然の光に驚き手で光を遮るのであった。俺はグラスが遮光モードに自動的に移行したので問題なかったぜ!!
その発光体は下降するほどに光を弱め、お嬢様の目の前の位置に来る時には光は消えUAV本来の姿を現していた。
「あらまあ⋯」
お嬢様はUAVに手を伸ばし両手で抱える様に触れるとUAVも彼女に全てを任せるままに両手に収まるのであった。
「お嬢様!?いきなり触れるのは危のう御座いますぞ!!」
「そうですよ!!サテラ様の使い魔という事で信頼はしていますがいきなりは⋯」
二人の懸念は当然であるが、とうのお嬢様はあっけらかんとした感じである。
「大丈夫よ!!私を見守る者が私を傷付ける訳無いじゃない。そうでしょ?」
UAVは彼女の両手に収まり満更でもなさそうな表情を見せる。いや、正確には表情は無いのだが。
なぜ俺はそう思ったのだろう?あのUAVに表情を見出そうとするとあの丸い恐らく光学センサーが眼に見えない訳でも無いが、その場合単眼になってしまうなあ。あまり可愛いとは言えない。どちらかと言えば有名SFの2001年にどこぞの宇宙に旅立った宇宙船に載っていた9000シリーズコンピューターに見えなくもない。ネタバレになるがその9000はクルーをどんどん抹殺していくからね!!
ちなみにあちらの人類は2001年どころか未だ木星への有人飛行は実現していない。
可愛さを見出そうとすれば大きさと形状、それと色だろうか?




