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自己認識と運動能力のギャップを感じてしまったあの歳⋯その3


「う〜む⋯どうやらとんでもねえ趣味をお持ちの様ですな向こうさんは」


「ゲスめ!!」


俺の一言の後にアメリアさんがとても怖い顔で強く言葉を吐いた。内容に関しては特に異論は無い。お嬢様の顔を見てみると特に怖がる様子も無く静かに佇んでいる様に見えたがその手は小さく震えていた。


「動画は以上です」


「旦那様⋯」


「うん⋯モックェルにジムテイル子爵か⋯これで守備隊は当てに出来なくなったな」


「何故当てに出来ないのですか?犯罪取締も守備隊の任務では無いのですか?」


サテラが頭目に疑問を投げかける。確かにそうだ!!この世界の警察機構が犯罪者を逮捕できんとはこれまたどうして?


「守備隊は貴族に対する捜査権を持っていない。それに隊を統括するお偉いさんも貴族なのだよ。しかも残念ながらそのトップとジムテイル子爵とは仲良しこよしときたものだ。よってモックェルを訴えた所で不思議な力が働いて無罪放免。逆に適当な罪をでっち上げられてこちらがお縄になりかねない。こりゃ今の所どうしようも無いね」


「貴族の犯罪を捌く機関はないのですか?」


「う〜ん、あるにはあるのだけどねえ⋯王宮衛士ってのが。ただ今聞いた内容だと子爵が命じたのかモックェルが忖度したのかハッキリしないのがネックだな。残念だけどこれじゃあ王宮衛士は動いてくれないよ。よっぽどハッキリした証拠がないと⋯王族も貴族とはあまり事を荒立てたくないからね」


「封建制度の弊害ここに極まりといった内容ですね。それで如何(いかが)するのです?その貴族と競合する事業から撤退なさるので?」


「冗談じゃない!!撤退なんかしないよ!!この事業にはこの街のこれからが掛かっているのだからね!!」


「それではどうするのですか?事業内容について細かく聞くつもりは御座いませんが、ルビー嬢や商会関係者の安全に関わる事ですよ?何か対策がお有りなのですか?」


「心配してくれて嬉しいねえ!!まあそれなりに犯人の想定はしていたので最初から守備隊を戦力には数えていなかったし星が割れたおかげでしっかり対策ができるよ。君たちには本当感謝しかないねえ!!


「はあ⋯それで?」


「方法としては至って簡単!!貴族が皆おてて繋いで和気藹々(わきあいあい)という訳じゃあ無い。軋轢の一つや二つ、人によちゃあ両手で数えても足りないぐらいある訳だ」


「つまり⋯ジムテイル子爵とやらに反目している勢力に肩入れすると?」


「その通り!!冴えてるねサテラくん!!ここで今まで築いてきた人脈が生きるのだよ!!それに我が商会にだって後ろ盾になってくれている貴族はいるのさ」


「ただ、その方法ですと今すぐにあちらを抑えられるという事ではありませんね。ああ⋯ですから”今の所”という訳ですか」


「そうだね。こればっかりはどうしても時間がかかる。その間ルビーには窮屈な思いを強いる事になるな⋯本当にすまない」


「何度も謝らないでくださいまし!!それに、後継が私一人というのは(いささ)か不安というもの。お父様も早く再婚なさって新しいお子をつくられたら如何です?まだお若いのですから」


お嬢様の提案を聞いたアルベルトさんに鋭い眼光が走る。


「そうです旦那様!!現在お嬢様の細い肩には多大な負担が掛かっていますぞ!!このままお嬢様に重責を背負わせ女としての幸せを掴めないかもしれないと思うと私は苦しくて苦しくて震えております!!」


あっちだったら女性団体が憤慨する様な感じ!!まあこの世界の男女観はよく知らんが。


「いや⋯そこは追い追いね。まずは目の前の問題を解決しないと!!」


「追い追いという事は再婚の意思はあると言う事ですな!?」


「いやあ〜まあ〜いつかね⋯いつか⋯」


「旦那様!!」


「あっ!!魔力量が落ちている!?聞こえないぞ!!それじゃまた連絡する!!」


へえ〜こっちでも似た様な言い訳あるんだねえ。あっちでは電波、こっちでは魔力なんだね。


「チィッ!!切られてしまったか!!」


アルベルトさんがものすご〜く悔しそうな顔をする。


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