取調室のカツ丼文化はいつ頃出来たものなのだろう?その4
「お早い中ご足労頂き有難うございます。私はラズール商会頭目の娘、ルビーです。こちらは私のメイド、アメリア。そちらは冒険者のイルマ様です」
紅茶片手に失礼。実は大尉と聞いた時、一瞬立ち上がって敬礼しそうになったのは秘密。
だっていきなり自軍の兵士じゃない奴に敬礼されても変だし戸惑うだけだろうし。でも反応しちゃうのよねえ〜だって僕軍曹だし。
「どうぞよろしく。聞くに貴女が今件の被害者という事でよろしいですね」
「はいそうです」
「それではあった事を話して頂きたい」
お嬢様への事情聴取が開始される。彼女がミルボン大尉に答えた事をウェイク少尉が後ろでメモとっている。彼女の答えは気付いたら森の中で自分が倒れており、辺りを見たら俺と既に倒された賊が居たと。その後執事達と合流し屋敷に帰って来た。犯人は闇ギルドに所属する者と思われる。賊の遺体は確保済みである事を話した。
俺の名前が出てきた事で今度は俺にお鉢が回ってきた。
せっかくスコーンにジャムとクロテッドクリームを乗せて頂こうと思ったのになあ。
ティーカップとソーサーを持ち、席から立ち上がり彼らのもとに向かう。
「どうも!!私が冒険者の⋯イルマです!!お聞きしたい事とは何ですかな?」
某紅茶好き警部殿風演技を少々大袈裟にやってみたり。
ただ相手の反応は芳しく無い。訝しげな顔でこちらを見てくるではないか!!
「あ⋯ああ、貴方が賊を発見、追跡、討伐したと聞いた。その事の詳細を詳しく聞きたい」
「うむ⋯そうですか⋯そうですねぇ〜では簡素に。まず私と契約している精霊がいるのですが彼女が最初に賊の侵入を感知しましてね、早急にルビー嬢の寝室に向かった所、既に時遅し!!彼女は攫われていたのですよ。私は急いで侵入、及び逃走経路になっていたであろう開け放しにされていた窓に向かい辺りを見回した所逃走していた犯人を目撃しましてね。そのまま窓から飛び降り追跡を開始しました」
まあ窓から飛び降りる時死ぬかと思いましたが。
「ほほう⋯精霊⋯窓から⋯それで?」
ミルボン大尉が相槌を打つ後ろで少尉は高速でメモを取っている。
しかし訝しげフェイスは相も変わらず。俺の証言を怪しがっている顔じゃあないよね!?
怪しいのは俺の顔にあるこの世界にそぐわないデザインのグラスだよね!?
「賊はルビー嬢を抱えながらも疾風の如き速さで街の中心へと向かっていましてね、こちらもまあ追いかけた訳ですが中心街と平民街を隔てる森で何故か奴は止まりました。そのおかげで何とか追いついた訳ですよ。そんでまあ一悶着あってルビー嬢を取り返し賊を確保しふん縛ったら苦しみ出しましてね、一旦拘束をといたら頭抱えて七転八倒!!そのまま帰らぬ人ですわ」
「ふむ⋯なるほど⋯それで賊の遺体は?」
「アルベルト!!お願い!!」
お嬢様は声を張り上げアルベルトさんに指示を出すと奥の扉が勢い良く開く。そこには遺体袋を担いだアルベルトさんがドーンと立っていた。
彼は無言で守備隊の二人に近づき眼の前に死体袋を下ろしジッパーを開けるのであった。
二人は袋の中をまじまじと覗き込む。
「細いな⋯これで若い女性を抱えて走れるのか?」
「強化魔法をを使えば可能ですね。ルビー嬢によると闇ギルドの構成員との話ですが⋯」
「どれ」
ミルボン大尉が遺体袋に手を突っ込み首元を調べている。さすが捜査員。分かっていらっしゃる!!
「確かに例の印があるな⋯構成員で間違いないだろう。後は雇い主と動機だが⋯ルビー嬢、何か心当たりは?」
お嬢様、ニコリと笑みを浮かべ普通に答えた。
「私は商会の娘ですよ。商いの数だけ怨みを買っていますから心当たりが多過ぎてわかりませんわ」
「はあ⋯そうですか⋯」
お嬢様の答えにゲンナリな顔をするミルボン大尉。原因が多過ぎるって困るよねえ。わかるよお、俺もPCが具合悪くなった時同じ気持ちになるもん!!
ただ!!顔には出すな!!




