取調室のカツ丼文化はいつ頃出来たものなのだろう?その3
いやでもしかしながら⋯⋯。
「ああああ〜。落ち着くぅぅぅぅ」
お嬢様とアメリアさんの前だが温かいものがお腹に入るだけでこの何と言うの?ほっこり感?思わず椅子からずり落ちてしまいそうに脱力してしまう。
そんな気に抜け切った顔とヘロヘロの身体を晒す中、ものすごーく真剣な表情と声色でアメリアさんが勢い良く頭を下げる。何このコントラスト?
「イルマ様、サテラ様、この度も我らが主人をお助け頂き本当にありがとうございます。お嬢様のお顔を再び見れる事に感謝の念を禁じえません。私は⋯⋯二度もお嬢様を御守りできず情けない限りです」
床に敷かれたカーペットの上に雫が落ちる。
いきなりのサプライズ重めの礼に俺は思わずビシッと背筋を伸ばす。いやあ⋯まあ⋯はい⋯良かったですな。こう言う時どんな反応が正解?やっぱ謙遜するジャパニーズスタイルが吉?
しかし⋯また大人を泣かしちゃったよ。
「先程あんなに泣いたのに⋯綺麗な顔が台無しよアメリア」
「そうですよ。今ミッションの労力と経費は幸いながら微々たるものでしたので気にする事はありません」
女性陣がアメリアさんを慰めるが俺は何と言えば良いのか分からずダンマリを決め込む。こう言う時気の利くことを言える奴がモテる⋯⋯前にもおんなじような事思ったなあ。
俺に出来る事は無し!!飯でも食おう!!
アメリアさんは顔をあげ手で涙を拭う。
「はい!!もう泣きません!!今後このような事が二度と無いよう心懸けます!!」
「それでいいわ!!貴女の泣き顔はもう見たく無いもの!!」
「はい!!」
何かを決意したような、そんな顔のアメリアさんを横目にサンドイッチに手を伸ばす俺。
「ちょっと!!貴方もアメリアさんに声を掛けてあげなさいよ!!何一人で我関せずサンドイッチ貪ろうとしてるんですか!!」
サテラの檄がサンドイッチ片手の間抜け面に飛んできた。一瞬言葉遣いが崩れた!!だいぶ俗世に染まってきたな。
「え!?ああ、良い感じに終わったなあっと思って。俺は大丈夫かなあって」
「んな訳無いでしょう!!ほら!!貴方も一言!!」
「え〜と⋯⋯忠道大義である!!努その在り方を損なうな!!」
我が言葉に一同ポカーンである。あれ!?反応がイマイチ⋯⋯某王の名言をそのままパクったからおかしい筈は無い!!
「え⋯あ⋯はい⋯その様に努めます⋯今度こそはこの命にかけて!!」
少々戸惑っていたアメリアさんも我が金言によりやる気スイッチが入った様だ!!
「随分尊大な言い方ですね」
「まあ、絶大な財と尊大な心を持つ偉大な王様の御言葉だからね」
「なぜその様な人の言葉を選ぶのですか?」
「思い付いちゃったから!!」
「全く!!」
呆れ声のサテラを他所にサンドイッチに舌鼓を打つ。シンプルなハムとチーズとパンに塗られたマスタードがアクセントになって実にうまい。
「アメリア、無理だけはしないでね。貴女にもしもの事があれば今度は私が泣く事になりますからね」
「は⋯はい!!心します!!」
これで彼女らの間にあった懸念事項は解決かな?じゃあ飯に集中して良いかな?
次に野菜系のサンドイッチに手を伸ばそうとした時、玄関ホールより男性の声がした。
「守備隊の方がお見えになられました」
その声と同時に笑みを絶やさず穏やかだったお嬢様の顔は真剣そのものという顔付きになった。
「こちらへお通しして」
お嬢様の声に守備隊の来訪を伝えた使用人が彼らをサロンに案内してきた。
礼装を思わせる軍服を着た二人組がこちらにやってくる。駐屯地で見た有象無象とは少し毛色が異なる雰囲気を見せているな。こりゃただの兵士ではないね。顔つきも何やら違う。
両者ともビシッと敬礼をした。
「ご歓談中失礼致します。私はドウル守備隊所属クレオ・ミルボン大尉であります。こちらはケイン・ウェイク少尉です」
ミルボン大尉の後ろに控えていたウェイク少尉が軽くお辞儀をする。




