何でも闇とつければカッコいいと思っていたあの頃。その6
「なるほど⋯この男は速度重視の戦略を取っていたのですね。筋肉はパワーを生み出せますが同時に重量が嵩みます。この男⋯外見からの推定ですが生存に必要最低限の筋肉と脂肪しか無いと思われ、とても成人男性とは思えない細さですね。しかし潜入任務等ではこの細さは武器になるでしょう。そしてパワーを魔法で補いこの軽量な身体から出る速度を活かし仕事をこなしていたのでしょうね。ただ脂肪の量からいくと持久力は無さそうですがこれも魔法で補える物なのでしょうか?攻撃に関しては彼以上の筋力を持った相手が同じく身体強化魔法を使えば到底勝ち目があるとは思えませんが逃走に徹すれば敗北はまず無いでしょう。魔法って便利な物ですね。しかし最初から攻撃を捨て逃げの一手ですか。己の特性を活かした賢い立ち回り方だと思いますが今回は逃げれずお陀仏と言う訳ですね⋯」
ナームー!!チ〜ンと心の中で知りもしない経を唱え鐘を鳴らす。まさかAIの口からお陀仏と言うワードが出てくるとは⋯⋯だいぶ染まったな!!
ルゥはどんどんと衣服を捲り死因に繋がる物は無いか身体部分を中心に視認しているが決定的な物は見つからなかったようだ。
「腹部の痣以外特に外傷は見つからんなぁ〜。外傷性では無いんかなぁ〜?毒殺?」
今度は奴の顔に注目する。苦しみの中死んだ事を表すように男の顔は目を見開き、苦悶の表情を浮かべ何かを訴えかける様な叫びを上げんばかりの大口を開けていた。ルゥはその開けられた口の中に鼻を近づけ臭いを確認する。そのヒクヒク鼻を動かし臭いを確かめる姿に何故だか知らんがちょっとキュンときたのは内緒。
口内の臭いを確認したルゥは顔を上げると何とも言えない表情と無表情のハーフ&ハーフみたいな顔をしていたので思わず俺は今のお気持ちを聞いてしまった。
「どうだった?」
彼女はまんじりともせず表情も崩さない中ポツリと呟いた。
「臭い⋯⋯」
「うん⋯そうか⋯」
「臭いだけかぁ〜。毒薬の臭いせえへんわぁ〜。ちゅうことは経口接種じゃあ無い⋯毒の付いたモノで突かれた〜とかも傷なんて無いしなぁ。となると魔法?呪いの類?ん〜でも死ぬ直前頭抱えてた言うてたからやっぱり頭かえ?」
何か無いか彼女は頭を掴み色んな角度からまじまじと見るがそこには傷一つ無い禿げた頭があるだけで特に異常は見られない様だ。次に目線を首筋に移し例の紋様の所を見ると彼女の眉間に皺が寄った。どうやら何かを発見したらしい。
「むむ!!この模様から不自然な魔力の流れが出来とる!!」
ルゥは男の首筋に人差し指を置くと魔力の流れた跡を指でなぞる。その動きは首筋から頭の方へと行き頭頂部で止まり、そこで手を大きく開いた。
「ここで魔力が弾けとるなぁ⋯と言う事は⋯中はお察しやな⋯」
ルゥの話を聞いたお嬢さんとアルベルトさんは険しい顔をしている。そりゃいくら悪人でもなあ⋯そんな顔にもなるわな。
「惨たらしいですわね⋯」
「これが⋯敗者には死⋯という事ですか⋯」
「つまりその紋様に何か細工がされていたと?」
サテラがルゥに問いかける。己の知らない技術には食い付きがよろしいようで。




