何でも闇とつければカッコいいと思っていたあの頃。その4
サテラが泣き崩れているアルベルトさんに声をかける。お嬢様も彼の気持ちを慮るあまり苦しいであろうが我慢している様子だ。小さな手で彼の背中を子供をあやす母親の様にポンポンと叩いている。
「アルベルト⋯大丈夫だからね。私はこの通り無事だからね」
アルベルトさんはゆっくりとお嬢様から離れると立ち上がりポケットよりハンカチを取り出し涙を拭った。
「大変お見苦しい所をお見せしました。お嬢様⋯本当に無事で何よりです。このアルベルト!!一度ならず二度までもお嬢様をお守り出来ず!!情けない限りです!!」
そう言うとアルベルトさんは再び大粒の涙を流し始めてしまった。まあ、何というか大人が泣く所を見るのは居た堪れないなあ。
「アルベルト泣かないで。私は助かったのだからそんなに自分を責めないで。その様な悲しい顔をされると私も悲しいわ」
お嬢様の自分を責めるなとの願いにアルベルトさんは両手で顔を覆う様にパシンと叩くと真顔に戻っていた。ただ目の周りは腫れぼったくなっていたが。
「お嬢様がそうお望みであればこのアルベルト!!悲しい顔なぞしませんぞ!!」
「そうですよ。貴方に悲しい顔など似合いません!!いつもの凛々しい顔を見せて下さいね」
「はい!!」
何だかまとまりそうですなあ。んじゃあコチラの話も進めるとしましょうか。
「んじゃあルゥさん。お嬢様の身体に怪我無いかみてあげてよ。アルベルトさんはこちらへ。ちょっと聞きたい事が」
筋肉がアレ感じになってしまったのでルゥにおぶられて物陰に移動するお嬢さま。そりゃそうだ。男二人がいる所で乙女の柔肌を晒す訳にもいくまい。んで俺はアルベルトさんと共に地面に転がっている元攫い魔所にゆく。
「ちょっとみてもらえます?手足ふんじばってる時に突然暴れ出して死んでしまったんですわ」
「失礼⋯」
アルベルトさんはコイツの衣服を探り所持品を調べ始めた。そしたら出てくる出てくる!!ナイフやロープに怪しい粉末。それに先程目眩しに使った煙幕や爆発物であろう物も持っていた。
彼はそれを綺麗に並べると今度は腕や足の衣服をめくり何かを調べている。フードを手に取り首筋を覗き込むとアルベルトさんは声を上げた。
「こっ⋯これは!!闇ギルドの刺青!!」
へ?闇ギルド?なんか怪しい響き⋯闇ギルド⋯絶妙なダサさ!!闇というとあっちの世界でも闇バイトやら闇サイトやら闇金やら良いイメージは無いぞ。闇属性や闇魔法とかならゲームやラノベで主人公が使う事もあるが。
「闇ギルドとは何なのです?」
はいサテラさん!!真っ当なご質問ありがとうございます!!俺もこの世界の闇事情を聞きたい。
「はい、この男の首筋をご覧ください⋯」
首筋ですか?そういえばフードは剥いだが首筋までは見なかったな。どれどれ。
「う〜ん。なんか⋯蜘蛛みたいな紋様がありますな⋯これが闇ギルドとやらに関係が?」
アルベルトさんは難しい顔をしながら答えてくれた。
「はい⋯これは闇ギルドに所属する強者に必ず入れられる刺青なのです。毒蜘蛛に狙われた者は必ず死ぬと言われており人々に非常に恐れられております。この刺青が入れられているという事は此奴も手誰の者なのでしょうな。闇ギルドは全世界にネットワークを持つ犯罪集団であり、今回の様に誘拐。それに殺人、窃盗、強盗、人身売買、麻薬製造密売、密輸等々人が考えうるあらゆる犯罪に手を染めている組織なのです。そして奴らの行動理念は至って単純!!金です。金さえ払えば老若男女、貴族平民どんな者からでも依頼を受けます。金に貴賤無しとはよく言った物ですな。時には敵対している者達双方に依頼され、同じギルドに所属していながら敵同士なんて事もざらと言います。まさに修羅!!悪の体現者達です!!」
「ほうほう⋯コイツはそんなに凄い奴だったのか。確かにこの細さでお嬢様を抱えながら爆走できるのだからそうか⋯」
等と感心していたらサテラが小声でかたりかけてきた。




