飯は美味ければうまいほど健康に悪いもので出来ている その5
「わかりました。冒険者の特性上諸々へ移動すると思われますので、こちらも心掛けておきましょう。しかしながら情報の受け渡し方法は如何いたしましょうか?手紙などでは即時性が著しく低下しますし⋯マジックパッドという魔法を再現できる物があると聞きましたが⋯それは使えますでしょうか?」
サテラの意見はごもっとも!!情報伝達速度はあっちの世界でも最も重要な事だ。
情報も新鮮さを失えばただの文字の羅列でしかない。
例え弱者でも情報をいち早く仕入れ、うまく立ち回れる奴が強者をも倒し得る事はざらにある。
「マジックパッドねえ⋯あれに注入できる魔力量を考えると、街中で使う程度の距離しか繋がらないのではないかな⋯」
「そうですか⋯」
「そうだなぁ⋯我が商会の支店に情報を入れてくれれば直ぐにここへ届くのだが、無い場合は⋯冒険者ギルドの都市間情報交換機を使ってもらうしかないかな」
「なんちゃら交換機?なんなんですそれ?」
「あれじゃね?組合の受付にあった水晶玉みたいな奴。あれで情報を見たり、金の管理したりしてたじゃん」
「ああ!!あれか!!なんか中央に情報とか言ってたわぁ!!」
「うんそれ。まあ有料なんだけどね。着払いの速達で商会まで届けるように言ってくれれば良いよ」
「わかりました。しかし冒険者ギルドを経由する分、情報の管理に不安がありますね⋯」
「まあ、そこらへんは⋯ギルドを信頼するしかないね。一応守秘義務はあるみたいだから。でも洩れた時の事も考えておかないとね」
「そうですね⋯」
「では、この話はお仕舞にしよう。明日はお貸しする物件にご案内したい。ただ、私は別件の用があるので同行できないのが心苦しいが娘と使用人が同行するのでご安心頂きたい。何かわからない事があったら娘かアルベルトに聞いてもらえれば問題無いだろう。出来れば夕食もご一緒したかったがこれから外に出なくてはいけないのでね。申し訳ないがここいら辺で」
「確かに問題なさそうですな。お嬢様はお若いのに聡明でいらっしゃる」
俺の普段絶対言わないこっぱずかしい世辞に頭目はにこりと笑う。
「ええ、自慢の娘ですよ。ではこれで」
そう言うと頭目は席を立ちこちらに一礼するとミヒャエルと共に退室していった。
俺はお嬢様の方を見る。父親が部屋を出るまでは笑顔を絶やさなかったが、姿が見えなくなるとどことなく寂しげな目をするのであった。いくら聡明でもやはり子供だよな。俺がお嬢様と同じくらいの頃何してたっけなあ⋯⋯まあ自分で言うのもなんだけど碌でも無い事ばかりしてた気がする。
何処にでもいる自意識過剰気味のクソガキだった。ゲームばっかしてて親に良く怒られてたっけなあ。親に見つからんようにプレイした携帯ゲーム機が懐かしい。
そんなお嬢様と自分の過去との対比とノスタルジー感覚に少し苦いものを感じた。うえっぷ!!
「イルマ様、ルゥシエル様、お食事は如何でした?ご満足いただければ幸いですが」
お嬢様が少し上目遣いで料理の感想を聞いた。
「とても美味しかったわぁ~」
「素晴らしい経験をさせて頂いてとても満足ですよ」
「喜んでいただけて何よりですわ」
「さて、こうして昼食も頂いたところで⋯この後どうしようかねえ?お嬢様、なんかプランあります?」
「えっ!?私にですか!?」
お嬢様はいきなり話を振られて少々驚いた様子を見せた。




