飯は美味ければうまいほど健康に悪いもので出来ている その3
「いや失礼。貴方達の掛け合いが面白くてつい⋯しかし、違う目線で見れば確かに滑稽なものですな。食事を取るのにいちいち沢山のナイフとフォークを使うなど非効率この上無い。しかしこの非効率さも己の力を誇示する手段の一つなのですよ。どうだ!!我々はこんなに多数の食器を使えるんだってね。この皿一つとってもいろんな思惑が込められているのです。まあ何と浅ましい事か⋯ああ、早く引退して精霊の研究がしたい⋯ルビーに婿を取らせて⋯でもまだ早い気も⋯おっと失礼!!まあ人間が勝手に作った決まり事ですから。どうですルゥシエル様?異種族の文化に触れてみるのも新しい刺激になるやもしれません。お付き合い頂けませんか?」
「はい。勉強させてもらいますえ」
「いや多分エルフの国でも変わらないのでは?この娘が無知なだけで」
「ええ!?ウチがムチムチ!?ややわぁ!!確かにお尻は大きい方やと思うけど⋯兄さんのすけべ!!」
「とんだ濡れ衣だよ!!」
無知とムチムチって!?ちょっとシステム設計者さん!!翻訳ソフトバグありますよ!!
掌で目元を覆いながら笑いを噛み殺している頭目と呆れ顔の使用人の皆様。
大変だ!!この頭目、笑いの沸点が低いぞ!!
ああもう疲れたよ。
そんな中お嬢様がパンと手を叩く。すると皆の目線が彼女に向いた。
「まあまあ、それよりお食事にいたしましょう。私お腹が空いてしまいましたわ」
「ああそうだね。それでは頼むよ」
待機していたミヒャエルが合図を出すと、俺達が入ってきた扉とは別の扉から給仕が現れ慣れた動きで俺達の前に料理の乗った皿を置くのであった。
「うわぁ、きれいやねぇ」
おしゃれ感満載の小前菜を見てルゥは感嘆の声を上げる。確かに綺麗だね。ただ見た事ない食材だが。
一口大の青い匙状の葉物にってマジで青い奴な!!ブルー!!その葉物の上にいろんな食材のさいの目切りソース和えみたいな物を載せた奴的な感じ?
「我が家自慢の料理人が腕を振るっております。どうぞお召し上がりください」
う~む⋯まあ⋯死にゃせんだろ。
「では⋯」
俺は一口大の料理をフォークに乗せ口に運びひと噛みすると何だろう?パリッと食感と葉物野菜特有の軽い苦みを感じると同時にソースに包まれていた食材たちの風味が口の中に広がった。
ソースは乳製品ベースだろうか?重厚なソースの味の中にフルーティー感やらフレッシュ感やらソースとは逆の主に野菜中心って感じの味と歯ざわりがする。
うん!!うまい!!いける!!これは次の料理が楽しみだ!!
ルゥの方を見てみると、頭目に所作を教わりながら青い葉っぱを口に運んでいた。
まあ、小前菜だけあって一口で終了。
次の料理を待つ間、みんなで楽しいおしゃべりをって悲しいかな我にトーク力無し!!繰り返す!!トーク力無し!!テキトーに頷いて何か聞かれたら答える。しかしこちらから話す事などできようもなくただ焦るばかりである。
そんないっぱいいっぱいな俺であったが一日ぶりのまともな料理には感動を禁じえなかった。その後も複数の普段食えんような料理を堪能し、最後のデザートを食すと食事会も終わりを迎える。
ふう⋯余は満足なり!!料理の詳細は聞くな!!我に食レポの才能無し!!
最後の紅茶を嗜みながら少々まどろんでいると頭目が話しかけてきた。




