奇跡は起こるよりも起こす方がカッコいい その4
報酬を貰う為に子供達の所へ行こうとドアに向かおうとすると、ベッド上の毛布怪人が毛布から頭を出しエルフにジョブチェンジ!!
そのまま起き上がりベッド横に置いてあるブーツを履き始めた。
「ウチも行くわぁ」
「起きあがって大丈夫なのですか?」
「そうだぞ!!無理するな!!」
「まだふらつくけど動けん訳ちゃうから大丈夫え」
「そうなの?じゃあ、まあ気をつけて⋯」
と言った側からブーツを履き終え立ち上がろうとした途端、力が抜けた様で前に倒れた。
俺は咄嗟にルゥを支える為に手を伸ばし彼女を支えるが、その際思いっきり彼女のでっけえ乳を掴んでしまった。
ああ⋯これがギア越しではなければなあ⋯って違う違う!!
これは不可抗力であるからノーカンノーカン!!これは人助けだから彼女も怒らんだろう!!ねっ!?
恐る恐るルゥを見てみると、ちょっと頬を赤らめて恥ずかしそうな顔をしていた。
まずい!!殺られる!!
ここで鉄拳制裁が飛んでくるのが古今東西太古からのお約束⋯⋯よし!!さあ来い!!
しかしルゥは服の乱れを直すと何事もなかった様に俺を支えにして立ち上がり挙動不審なこちらを不思議そうに見た。
「危なかったわぁ⋯兄さんありがとなぁ」
「お⋯⋯おう⋯」
予想していた反応と違った事に戸惑っている俺をよそに、何かありました?的な顔のルゥさん。
「さあ行くえ!!」
と意気揚々と扉に向かおうとするルゥだが片足がガクッとなった。
いかん!!俺は彼女を支えようと再び手を伸ばす。奇跡は起こるよ何度でも!!
だがすぐに立て直し少し立ち止まると何やら考え出した。
奇跡起こらず!!ちくしょう!!
どうやら考えがまとまった様でこちらを向くと俺の所に近づき腕を掴んだ。
「なあなあ兄さん。やっぱ少しふらつくみたいやから腕借りてええ?」
「何!?ふらつくんだったらやっぱ寝てたほうが良いんじゃないの?」
「そうですよ!!無理は禁物です!!」
「でもなあ⋯」
ルゥの目線に促されベッドの方を向くと他のベッドの住人がうるさいから早よ出てけの眼をこちらに向けていた。
ありゃ!?こりゃ失礼いたしました!!
右腕をルゥに掴ませてそそくさと医務室を後にする。医務室の扉を開けると出歯亀ズがまだ居座っていた。ここの兵士は大丈夫なのか?そんなに女っ気が無いのか!?そうか⋯無いのか⋯。
そんなカップル腕組状態で扉から出てきたからもう⋯⋯アイツらの目線が痛い事痛い事!!
俺も付き合ってる訳でもなくモテてる訳でも無いからな!!そこらへん察しろ!!とチラリと近くにいた兵士の顔を見ると彼の目の奥に存在するドス黒い物が!!あ〜無理か!!
モーゼが海を割るが如くリビドー溢れる若き兵士達が左右に分かれ、その真ん中を腕を組んだ俺達が通ると言う地獄絵図。
度の強い眼鏡をかけ薄目で見れば、まるで結婚式を終えた俺達にライスシャワーを浴びせようと左右に待ち構えている参加者達の様にも見えなくも無い気がする様な感じ。
ただ浴びせられるのはドス黒い何かだが⋯。
ルゥも一々目線を俺の顔に向けなくても良いから!!女っけの無いアイツらからしたらバカップルラブラブウォーキングに見えるだろう!!
感じる⋯感じてしまう⋯背中越しでも感じる痛い視線。分かるんだ分かるんだよぅ!!
俺も一週間ぐらい前は同じ所に居たのだから!!
ごめんよう⋯ごめんよう⋯。
嫉妬パワーで背中を刺されながら我々の言い合い中も医務室ドア前で待っていてくれた勤勉な若き兵士の案内で今度は避難民が収容された体育館へと向かう。途中建物内のデザインなど見てみるが、まるで俺が通っていた小中高の校舎を簡素にした感じだ。せっかくの異世界なのになんか面白みがないな。集団を収容するにはやはりこれが正解なのか?
ザ・凡意匠建物を出て渡り廊下を渡ると体育館に入ることが出来た。
そこには避難した村人達が薄っぺらい毛布の敷かれた床に座っていた。
俺に気付いた村人が声を上げる。
「ああ!!三流冒険者!!」
「三級だよ!!」
つい口が出た。なぜか三流が村人に定着してしまった様だ。一番最初に言ったのは誰なのかしら⋯⋯。




