表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/144

奇跡は起こるよりも起こす方がカッコいい その3

「全く!!動けなくなる事のリスクは重々承知でしょうに!!」


「え!?何!?」


サテラのお説教とついて行けてない俺。

ルゥは毛布を少しだけ下ろしまつ毛長めの大きな目でチラチラとこちらを見る。


「でもなぁ⋯」


「確かに貴女の行った事は非常に尊い事です。だけれども安全が確保されていない状態での行為はとても誉められた事ではありません!!しかも聖職者が同行している状況で⋯⋯恐らく村人の殆どは信者でしょうに」


「う⋯うう」


「あのう⋯⋯すまんがさっきから話が見えんのだが⋯何かやらかしたのは分かるのだが⋯何がどうなってんの!?」


俺が彼女らに疑問を問うとルゥは再び毛布を頭にかぶると引きこもりモードになってしまいサテラはAIらしからぬため息を吐いた。


そんな機能あったの?


「ルゥは精霊魔法を使ったのですよ。恐らく重症者の容体が悪化したのでしょう。そうですね!!」


サテラは強い口調でルゥに問いかけると、エルフ入り毛布の恐らく頭部あたりが動いた。

ああ、頷いたのね。


「お⋯おお、なるほど⋯精霊魔法を使い重症者を助けてぶっ倒れたと⋯そこに何の問題が?」


「数日前の事をお忘れですか!?この国の人々はゴルダード教を信仰しているのです!!他の神の存在を許さない一神教!!その中で蕃神(ばんしん)御業(みわざ)である精霊魔法など使おうものなら間違いなく迫害にあい下手をすれば命を奪われる可能性があったのですよ!?」


「ああ!!なるほどね!!合点がいったね!!確かに危ないわ!!」


「大丈夫やったもん⋯」


ルゥが力無く蚊の鳴くような声でサテラに反撃を試みる。


「あん!?」


またAIらしからぬ声を出しおって。


「ちゃんと神父さんに確認取ったんよ!!精霊魔法つこうてええかって!!そしたら神父さん、我が主のケツ穴はこの空の如く果てしない故に大切な神の子である村の方の命が助かるのであれば、悪魔の力であろうと他の神の助力であろうとお許しになるだろうって言ってくれたんよ!!」


「随分とアナーキーな神父だなおい⋯」


「神父に精霊魔法って⋯貴女って人は⋯⋯それはその方の思考が柔軟だったからであり、もし頭ガチガチの原理主義的思考の持ち主だったらどうするのですか!?私の国の中世でしたら磔、火刑(はりつけ かけい)でエルフの丸焼き出来上がりですよ!!貴女は今、人間の生活圏にいる事をもっと自覚して下さい!!我々はこの国において異物なのですよ!!」


⋯⋯⋯⋯⋯⋯


返答無しか。でも彼女の気持ちもわかるんだよなあ。目の前で人が死にそうになっている状況でしかも自分は助けられる(すべ)を持っているときたらそりゃねえ⋯⋯でもサテラの言い分もわかんだよねえ。

さてこの空気⋯どうしたものか?


「ルゥ!!なんとか言って下さい!!黙っていては貴女の考えは私に伝わりませんよ!!」


「ヘイ!!レッツストッピング!!」


俺の熱いシャウトに一瞬の静寂が生まれる。


「はい?虫歯治療の仮の詰め物がどうしました?それともボクシングの防御方法?とにかく何をいきなり叫んだのですか!?」


「いえ⋯あの⋯STOPにingをつけたのですが⋯⋯」


「はあ⋯私を止めたい事と貴方がバカだと言う事がわかりましたが⋯⋯で?何です?」


呆れたような口調の返答をいただきました〜!!全く高性能なAI様だ事!!


「もういいだろ。やらかした本人が一番よくわかってるはずだ⋯⋯だよな!!」


ベッドの上の毛布怪人に語りかけると頭部と予想される部位が二回ほど上下に動いた。


「しかし⋯」


「仕方が無いんだよ。人間ってのは往々にして理論理屈じゃなくて感情で動いちまうもんなの!!お宅の国の映画にだってこんなん山ほどあるだろう?数多くの馬鹿者達の行動が観客を感動させて興行収入全米ナンバー1とか言っちゃう奴とかな。そんなお宅らから見たら理解不能な行動をするのが人間なの」


「しかしですね!!」


「この話はもうおしまいにすべきだ!!今回はラッキーだったねわーいってな。これ以上ルゥを責める必要は無い。彼女は人助けをした。それでいい。それにもしルゥが村人を見捨てたとしたらそれはそれで彼女の胸中にしこりを残す事になる。己の身の安全より他者の生命を優先させるような娘だ。絶対後悔するね。そんでストレスに(さいな)まれるね!!そのせいで胃とかやられるかもしれんぞ!!そこから癌になるやもしれん。それに比べたらあの時死んでたかもの方が圧倒的にストレスの度合いが違うだろ!?そっちの方がええってなあ!?」


「何か⋯腑に落ちませんが⋯もし胸にしこりがあるならマンモグラフィ検査をお勧めします」


「それはギャグとして言っているのか?まあ良い⋯この話はおしまいだ!!良いな!?」


「わかりました」


「あとルゥ!!これだけは言っておく!!サテラの言う事も間違っていないからな!!これからは俺達がそばに居る時だけ動けなくなるような魔法を使う事!!動けなくなったその時は担いで逃げてやるからな!!」


「⋯⋯わかったわぁ⋯」


「よろしい!!ではキッズ達に報酬をもらいに行くとしますか!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ