用意より後片付けの方がめんどくさいのは何故だろう? その4
しばらく歩いて行くと村に入ってきた守備隊と出くわしたが、こちらをジロジロ見るだけでそのまま横を通り抜けていった。
恐らく今は無視して良しとのお達しがあったのだろう。今はな⋯。
村から廃墟にトランスフォームした場所を出発。きた道を戻る。このペースで歩いて行けば3時間くらいでドウルに着けるかな?しかしとんだ目に遭った。
「しかしあの異常な量のゴブリンやらオークやら、村を襲う理由とか訳わからない事だらけだっだな。まあ考えても仕方ないんだけど考えちゃう!!悔しい!!」
「余計な思考をハムスターホイールの如く巡らす人間の脳って不便ですね。私達AIは余計なリソースを割く事をしませんので実に効率的でエコです」
「ああそうね。でもさ、そこに咲く花を綺麗とか思えないだろお前さん達は。知能では人間を超えても感情が無いのでは人間を超えたとは言えんなぁ〜。そんなんじゃシンギュ⋯シンギャラ?シンギャラノミシティーだっけ?はまだまだだな!!」
俺単体ではなく人間を馬鹿にした言い回しにむかっと来たので道端にて適当に咲いていた花を指差しAI相手に感情とはっ!!を語ってみる。
「シンギュラリティですね。今の会話が全てを物語っていると思うのですが⋯⋯でも確かに花を見て”綺麗”は出てきませんね。私達はまずは得られた画像からデータを検索し、その花の名前や種類、特性を把握する事を優先します。色彩や形状の良し悪しは後回しですね。まあ農業向けAIは良し悪し優先でしょうけど」
「綺麗という感情はそういう単純なものでは無いと思うのだがねえ君」
「そもそも感情を持ち合わせていない者に感情を求められても⋯⋯ああ、ちなみにその花の種類は地球のユウガギクに近い形状をしていますね」
「ほ〜う。オタク花のデータも入ってるんだ。意外だねえ」
「いいえ。グーグレのデータベースより検索をかけております。サバイバルに有用な植物のデータは入っておりますが観賞向け草花のデータはありません。」
「あん?グーグレ?なに!?グーグレに繋がるのか!?」
コイツは驚いた!!グーグレにつながっているという事は地球につながっている事だ!!これはもしかして帰還の手がかりになるやもしれん!!
「はい。野山で熊に出会った時の対処法を検索した所、グーグレにヒットしまして。ただ本当に不思議でしたどういう仕組みでアチラとつながっているのか全くわからないのです。しかも私のいた時間では無いみたいで⋯⋯色々検索してみたのですが⋯どうやら西暦2023年頃とつながっている様です」
「2023年⋯⋯俺のいた世界の時間だ⋯⋯そうだ世界的パンデミックでやれリモートだ外出自粛だで、外出れなくなったから経験から室内でなんか出来る趣味がないかと数年遅ればせながら一念発起してPC買ったんだ⋯⋯そしたらまあ⋯このざまよ⋯⋯まあそれはいい!!サテラよ!!グーグレの画面を出せるか!?」
「少々お待ちを⋯⋯ヘッドギアのディスプレイに表示します」
「お⋯おお⋯⋯おお⋯」
おもわずギアに阻まれながらも流れる涙を手で受けようと掌で顔を覆ってしまう。目の前にある画面が俺になんて事の無い日常を思い出させる。この世界に来てまだ一か月も経っていないというのにこの胸に宿る郷愁は何だ!?ナノマシンによる抑制があったとはいえ、やはりあの切った貼ったの無い平和な世界からこのデンジャラスワールドに飛ばされた事に対するストレスが少しずつ澱のように溜まっていたのであろう⋯⋯ついにダム決壊よ!!
もう涙が止まんねえ!!
しかしながら、あちらの事に想いを馳せ涙する俺に対しクソAIがやってくれました!!




