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豚を野に放つと猪みたいになるんだって。その6


「何を!!」


いきなり倒されたリーダーは俺に怒りを向けようとするがリーダーの手ひら側面に先程までは無かった切り傷ができ血が流れ出していた。


「なっ!?」


気付かないうちに傷つけられた事に驚愕するリーダー。俺は何かがすり抜けたと思われる方向を向くとそこにはそこいら辺に転がっているゴブリンとは違う大きさ1.5倍!!筋骨隆々の黒光したゴブリンが血に濡れたナイフを舌に這わせニヤケ面で立っていた。


「な⋯何奴!?」


俺が見た事もない違う種類のゴブリンに驚いているとリーダーが奴の正体を教えてくれた。


「くそっ!!間違いない⋯レッドキャップだ!!」


「レッドキャップ!?あれが?なんか強いゴブリンの事だよな確か⋯」


「そうだ!!奴らはノーマルゴブリンの三倍の能力を持っているぞ!!」


「何!?どの世界においても赤い奴は三倍なのか!?くそっ!!皆伏せてろ!!切られるぞ!!」


俺はライフルから拳銃に持ち替える。レッドキャップに向け発砲するもご自慢の瞬足で軽々と避けられた。

こいつ銃の特性を知ってやがる!!お仲間の惨状を見て学習した訳かい!!


レーダーを使い移動予測地点を算出し発砲するも当たらない。


それどころか接近を許し装甲の隙間を攻撃されてしまった。何という正確性!!

装甲内は防弾ソフトスキン構造になっている為怪我を負う事はないが嫌な感触は伝わってきた。


今度は背後からの攻撃。ナイフと装甲がぶつかり合い火花と金属音が起こる。

上下右左からの攻撃とそれに混じって脚の腱や手首等正確に急所を狙って来る斬撃がいやらしい。


このままでは身体中から火花をと金属音を発しているおじさんになってしまうじゃないか!!どうする!?


レーダー頼りに撃つも当たらず⋯こうなったら己の目と勘で⋯⋯いや!!

落ち着け⋯これはアレだ⋯目に頼らず心の目で見る的な⋯⋯悪の気を感じるみたいな?


……………………………。


うん⋯無理!!


目を閉じ集中した所で浮かんでくるのは(あ〜疲れたし腹減ったなあ⋯後ルゥの胸の谷間とかちょっとしたエロス)って邪念だけ。ああ我凡人ナリ!!こういう時はAIの力を借りるべし!!


「サテラさん!!何とかなりません!?」


「むやみやたらに発砲すれば村の人達に危害が及ぶ恐れがあります。ただ幸い相手側は私達以外興味が無いみたいですね。まあ、私達を倒せれば村の人達など後でどうとでもなるという考えでしょう」


「そいつは慧眼だねえ。知能も通常の三倍ってか!!んで此方の知能も三倍にして欲しいんだけどね!!なんか倒す方法は!?」


「あの大森林での事を思い出して見れば良いのでは?」


「ああ⋯」


思い出した⋯全てはあそこから始まったのだ⋯ああそうだ!!森の動物達との温かな交流だ!!

まだ右も左もわからんかったあの頃!!銃の扱いなんてほぼ出来んかった⋯。


まあつまりそういう事だ。


レッドキャップは次の部位を攻撃すべく低い体勢で此方に向かってくる。センサーでは完璧に目標を捉えているのだが俺の身体が反応しない。トリガーを引くタイミングが少し遅いのだ。だったらこうじゃ!!


俺は拳銃を捨てレッドキャップの攻撃をそのまま受けると同時に奴のすり抜けるであろう地点にビンタをかました。


これぞ必殺!!被弾上等でひとビンタデストロイ!!生身だったら確実に死んでいる戦い方である。


掌からの感触からすると芯を打つ事は出来んかったが、ちゃんと憎いあんちくしょうを吹っ飛ばす事が出来た。

ギアの脇腹装甲可動部分の隙間にナイフが挟まっている。ああ⋯中々の殺意の高さ。


芯がズレた打撃を喰らったレッドキャップはふらつきながらも立ち上がっていたが右胸部を負傷しており足元がおぼつかず先程までの俊敏な動きは完全に失われていた。まあもしジャストミートしてたら何処かの部位がパーンっていってたからな!!パーンって!!


俺は銃を拾いレッドキャップに発砲する。右足が吹き飛び地べたに仰向けで倒れ込んだ。

何とも言えない悲痛な声が辺りに響く。

これでもう動けまい。銃を構えつつ近づいて行き、奴の姿をしっかりと捉える。


あれま?なんて顔してんだ。俺に攻撃してた時の顔はもっと楽しげだったじゃないか。

奴は両の手と残った片足で(もが)きながら必死に逃げようと後ずさっていた。


「何怯えた顔してんだよ⋯ったく!!」


レッドキャップの眉間に向けてトリガーを引くと奴の顔上半分が吹き飛び、頭を失った身体は力を失い静かに倒れた。


時を同じくして残党を捜索していた無人機が帰ってきた。


「周辺に残存勢力無し。レッドキャップの撃退に成功。敵勢力の殲滅を確認。戦闘終了です」


俺は本来だったらギアの機能により感じるはずも無い疲労感と訳の分からない徒労感に襲われ、ただ薄ら明け始めた空を見上げるのだった。


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