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戦場で負傷した兵士の俺は衛生兵を呼んだのだが衛生兵はファ◯リーズを俺にぶっかけて去っていった。衛生ってそういう?そんな夢を見た。

皆様いかがお過ごしでしょうか?私は元気です。

本日はゴブリンに襲われている村に来ています。そして今、私はこれから戦いへと向かわんとするテンション爆上げ中の男達に話しかけようとしております。正直、今話しかけるのはアゲアゲ中の皆様に水を差すようで躊躇(ためら)われますが今後の事について擦り合わせをしておかなければなりません。


本来ならこんな陽キャ共に話しかけるなど、底辺校の男子便所掃除並みに嫌な事ですが仕方ありません。タバコ臭えし壁に焦げがあるし大幅に外してるしマジで嫌だわあ⋯。

だけど意を決して話しかけましょう。サテラさんが!!


「お話中の所申し訳ございませんが皆様宜しいですか?」


いきなりの女性声にウキャウキャしていた男達は動きを止めた。そして少し恥ずかしそうに返事をするマクドネル君であった。


「お⋯おう⋯何だ?ど⋯どうした!?」


「はい。今後の行動指針を決めておきたいと思いまして。そちらに作戦がお有りならば、こちらとしてはそれに従いますが?」


「作戦ねえ⋯」


男達がポツリポツリと話し出す。


「ゴブリンの数やどこから来るのかも分からんのに作戦など建てられる訳ねえべ⋯」


「例え巣穴見つけた所であの規模だ⋯今の俺らにゃどうにもならんて⋯」


「まあ⋯何だ⋯作戦らしい作戦なんか無いな⋯俺達に出来る事は街からの援軍が来るまで精々生き残る事だな⋯」


テンション爆上げからの打って変わってお通夜ムードになる男達。まあこれから起こるであろう絶望的な戦いを前にすれば致し方無いであろう。


「そうですか⋯わかりました。では精々生き残ると致しましょう」


「それで?そちらには作戦があるのか?」


男の一人が話しかけてくる。


「お恥ずかしながら作戦と言える物ではありませんが⋯ゴブリンの発生源を探りつつ攻撃あるのみと言った所でしょうか?」


「なんだって!?ゴブリンが⋯何処から来るかわかるべか?」


「鋭意捜索中です。上空からの捜索となるので木々が少々邪魔ですが、発見次第攻撃をかけます」


「上空?空の上からだって?妖精だから空も飛べる訳か?妖精ってのはやっぱり不思議なもんだなあ⋯」


この世界の妖精の評価はどんなもんなんでっしゃろ?気になるわあ⋯。


「イルマは先程と同様、支援火器による弾幕を張り、敵の接近を阻止します。同時に無人ギアを⋯⋯あ⋯どう説明いたしましょう⋯あの皆様は自動人形的な物をご存知ですか⋯?」


「自動人形?それってあれか?ゴーレムってやつか?魔道士とか魔術師やらが木とか石人形とかになんか細工して魔力を込めると動き出すって言うあれだろ?そんでそれを労働力にしてるとかなんとか。うちの村にもあったら畑仕事とか楽なんだろうなあ」


「ああ、それ!!ゴーレムでいいです!!そのゴーレムを現在同時管制できる最大機数である5機を各所に配置し皆様の援護及び負傷時の応急処置に当たらせます。それとこちらの柵に沿って等間隔(とうかんかく)に設置型センサー式自動反撃銃⋯⋯は長いのでセントリーガンと言い換えましょう。セントリーガンを設置して行きます。これでそれなりの数のゴブリンに対処できるでしょう。ああ、言っておきますが皆様はセントリーガンより前には行かないでください。敵味方識別装置を持たない者は敵として処理されますので、前に出た場合身体の風通しが非常に良くなる恐れがありますので十分注意してください」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


ポカーンとした顔をする松明に照らされた逞しい男達。正直俺もポカーンだわさ。


「妖精さんよお⋯いまいちよぉ〜わからんのだが⋯要は柵の外には出るなって事で良いのか?」


「あんた魔術師なんだってな?鎧を着込んでるのに⋯その⋯セント⋯なんとかってのは⋯魔術かなんかか?」


「その認識で構いませんよ。見張りの方には十分注意するようにお伝えください。攻撃開始のタイミングはマクドネルさんにお任せいたします。それでは皆様、配置について下さいませ。皆揃って生き残りましょう」


「お⋯お〜う⋯」


煮え切らない声と共に頭にハテナを抱えながらそれぞれの場所に散ってゆく男達。どうも締まらねえなあ⋯まあそれは良いとしてと⋯自分の配置場所である見張り台に立ち森の様子を伺う。すっかり陽の沈んだ森は漆黒に覆われており肉眼では中の様子を(うかが)い知る事は難しいだろう。しかし俺の電子の眼にはバッチリ見えちゃってるのよねえ。蠢いてるわあ⋯。


そんな俺を他所目(よそめ)にサテラによって銃を装備した無人のギアがストレージより取り出されていた。

5体並ぶと中々の凄みがあるじゃ無いですか。しかも機種はあの大森林で俺の黒歴史を見届けたニクイアンチクショーじゃ無いですか!!


ちーす!!お世話になりまーす!!


各機起動を終えそれぞれ配置についた。

ただ移動時のギアに出くわした村人のビックリシャウトが聞こえてきたのは各々の家族に内緒にしておいてあげよう。

俺は柵の外に出て森の方を横目に見ながらセントリーガンの設置を行っていた。

森の中が少々気になる⋯⋯。


「ゴブリンの数はどんなもんよ?」


「400と⋯ちょっとと言った所でしょうか?増殖ペースを考えて⋯このくらいの数なら今の戦力で捌けますね⋯今のペースなら⋯」


「ああ、そうなの?っていうかセントリーガンなんてあったの?知らんかったわあ⋯もしかしてなんかもっと素敵な武器があったりする?」


「何が素敵なのかは私にはわかりかねますので、ご自分でストレージを確認して下さい」


「そうね⋯この戦いが終わったらそうするよ」


「この戦いが終わったら⋯これが噂の死亡フラグですか?」


「また余計な事を学習して!!死亡フラグを建てるにはそれプラス好きな相手に告白〜とか結婚〜とかそう言う色っぽい事が無いと成立しません!!もっとよく勉強なさいな!!」


「そうなのですか?つまりは現状フラグは成立しないと!!なるほど勉強になりました。じゃあ貴方がこの戦いが終わったらルゥに告白か結婚の申しこみをするという事にしとけばフラグは成立しますね!!早速匂わせメールをルゥに送らなければ!!内容は今すぐそのデカい胸に(うず)まりたいで良いですか?」


「フラグの違法建築とセクハラメールやめてもらって良いすか?ていうかそんなに俺を殺したいんか!?」


「ユーモアですよ。ちょっとした冗談です。戦いの前の緊張をほぐすみたいな?」


「似合わねえ崩し言葉を吐くんじゃねえの!!全く!!俺はメンタルコントロールのお陰様で軽い緊張しかしてないのよ!!お宅が操作してんだからわかってんでしょ!!それにギアに守られているんだから俺の死ぬ確率は限りなく低いだろ。それに比べて村の男達はどうだい?防具らしい防具ねえじゃん。攻撃受けたら死ぬじゃん!!ああ⋯なんか罪悪感と己の情けなさががが!!」


「おふざけはここまでで!!先方に動きがありましたよ。どうやら十分なバッファを構築できたと判断したみたいですねえ。森からゴブリンが出て来ました⋯」


我が苦悩をおふざけと流しやがりましたよこのAI!!人間の心は複雑なのよ!!お宅みたいに01(ぜろいち)でモノを考えられないからね!!繊細なんだからもっと優しくしてよ!!


と、まあバカはこれぐらいにしておきましてと⋯⋯ああなるほどいますねえ⋯目視できるだけで30体以上出てきてますねえ。見張りは気づいているのかなと思い(やぐら)の方をみてみると森の方向は見ている様だがどうやらまだ気付いていないみたいだな。この暗さだ仕様がない!!こりゃ急いで設置せんと!!


森に面した柵に沿って小走りで設置し、なんとかアチラさんが突撃してくる前に終える事が出来た。


こちらの見張りは未だ気付かず。さてどうしたもんか⋯。


「見張りの人⋯気付いてないよね⋯?いや⋯もしかしたら気付いているかも知れないけど確信が持てないから何も言わんのか?」


「それはいけませんねえ。味方への情報共有は大事ですよ。きちんと教えてあげましょう。はいこれどうぞ」


と俺の手の中には拡声器が!!このなんとも言えないラッパ型のフォルムが何でかアガるぜ⋯それでは。

マイク部分を口に近づけ拡声器のトリガーを引く。


「あーテステス!!あー村人の皆様!!ゴブリンが森から現れました!!各自警戒態勢をとって下さい!!」


俺の声に男達がざわめき出す。一人が見張りへの確認の為に櫓に登り始める。

その他の者は自分の持ち場で目を凝らし森を見ている。嵐の前の何とやらか、イヤンな緊張感が周りを包む。

月の位置は低い⋯月明かりはまだ照らない。眼前に広がる暗闇。俺だけに見えているであろうゴブリンの群れ。


櫓に登った男が、見張りに話しかける。


「何か見えるか?」


「暗くてよくわからん⋯が⋯あいつの言う通り確かに何かが動いている」


「本当か!?」


櫓の上でお二人話しておりますが、我が地獄イヤーにはバッチリ聴こえておりますよ。

見張りにずっと着いていた男の方は夜目に慣れていたとはいえ、観測対象への距離が少々ある為ハッキリ見えないようだ。この世界のこの村に生きる野生に近い⋯おっと失礼!!人間のスペックでも夜の観測はキツイみたいだ。


こう言う場合どうするべきか⋯。


「サテラもん!!何かステキガジェットはな〜い?」


「青色のマトリョーシカ様形状(ようけいじょう)の猫型ロボットを自称するコミックキャラクターみたいな呼び方ですね。私はあそこまで万能な機材は出せませんよ⋯⋯ですがそうですねえ⋯対象が見えづらくては戦闘行為に支障が出ますね⋯⋯わかりました!!照明機能付きドローンを展開させます。準備を致しますので村の方への説明はお任せします」


「え!?あ⋯はい⋯」


村人への説明ねえ⋯⋯いきなり光った物が上空に現れたと思ったら男達全員アブダクションされてマイクロチップ埋められちゃったりしてねえ。ははは⋯。まあ、空飛ぶゴーレムって事でいいか。アイツらが納得するか知らんけど。

再び拡声器をオン!!


「え〜村人の皆様。これより空飛ぶゴーレムに光源を持たせて辺りを照らします。皆様驚かず冷静な行動をお願いします!!」


ヘッドギアのレーダー画面に味方表示が数機現れると、ほぼ同時に照明が照らされ森と村の間にある緩い丘の現状を知らしめた。センサーで知ってはいたが⋯まあ男達のやる気を削ぐだけのビジュアルはあるなあ。


「おい⋯まじかよ⋯」


「嘘だろ⋯⋯」


目の前には日本最大の漫画の祭典の開場を待つ強者共の如くゴブリン達がずらりと並んでいた。しかも先程と同様

ビシッと整列している。これはアレだな⋯。


「やっぱりコレ、アレだよね。間違いなく誰かの支配下にあるよね。だってアイツらってもっとフリーダムな生き物って話じゃん。無軌道な生き物の代表みたいな!?ねえ⋯」


「そうですね⋯そして恐らく発生源に何かあると思われます。さっさと探し出してぶっ潰しましょう!!」


「その勢い、良いねえ⋯さて」


眼前に広がる漫画祭り会場に突撃せんばかりのゴブリン達に戦意がションボリしてしまった男達をどうするか⋯。

まあ、俺が頑張るしかないんですけどね。んじゃあ柄にもありゃしませんが檄でも入れますか。

三度(みたび)拡声器をオン!!


「案ずるな男達よ!!この|俺をどなたと心得る!!さっきゴブリンの群れを一掃した冒険者イルマなり!!確かに先程より数は多いがやる事何も変わんない!!今度も俺がゴブリンをぶっ殺してやる!!ただ漏れは発生するだろうから君達はそれの処理を頼む!!恐れるな男達よ!!背後にいるカカア共の貞操を守るのは君達しかいない!!一匹たりともここを通さんぞぉぉおおっ!!」


俺の頭部に鈍い音と共に衝撃が走ると同時に視界が暗い空を向きそのままお立ち台から落っこちた。

一世一代の演説中だと言うのに空気を読まねえやつもいたもんだ⋯。


「投石だー!!上に気をつけろ!!」


「おい!!冒険者がやられたぞ!!」


「反撃だー!!反撃しろー!!」


マクドネルの指示により攻撃が開始される。弓矢が使えるものは矢を穿ち、その他の者は石を投げたりした。しかし⋯こんな情けない戦端の開き方なんてイヤー!!

こちらの攻撃に呼応する様にゴブリンに群れが村に向かい突撃を開始した。一体一体は小さいとはいえ、こんだけ数がいれば結構な地響きが起きる。益荒男達(ますらおたち)に立ち向かう売り子達はこの様な気分なのだろうか?すいません新刊落ちました!!


全く!!俺をスナイプしたゴブリンはどこのどいつだ!?すんげー距離投げた事になるぞ!!


等と真っ暗な空を見ながら考えているとゴブリンの群れがセンサーの範囲内に入った様でセントリーガン達が発砲を始める。これまた結構な発砲音だ事。


「いつまで寝ているんですか?起きて下さい!!こちらもやる事やりますよ!!」


「へいへい⋯」


身体のバネを使ってヒョイと起き上がると無人ギアが何やら筒の様なものを用意していた。これは戦争映画とかで見た事あるぞ。


「おい!!冒険者が起き上がったぞ!!」


「よかった!!生きてる!!」


皆様⋯ご心配をおかけしました!!んでこの筒はと⋯。


「迫撃砲か!?」


「はい120mmです。これでゴブリン達の後方、森林内に潜んでいるであろう別個体に攻撃を仕掛けます。最初は支援火器での攻撃と思っていましたが、とにかくゴブリンの勢いを落とさないと⋯⋯照準の設定はこちらで致しますので、貴方は砲弾の装填をお願いします」


「おっし!!これは動画で見た事あるぞ!!砲弾を筒にこう入れれば良いんだな?」


いつの間にか積まれていた保護ケースから砲弾を取り出し動画を思い出して砲弾を装填すると。

少々のタイムラグ後、轟音と衝撃波と共に空高く撃ち上がって行った⋯。


そして、発射までそばで突っ立ていた俺はその轟音と衝撃波によりまたぶっ倒れていた。


「冒険者がまた倒れたぞ!!」


「すごい音だったなあ⋯っておーい冒険者!!生きてるか!?」


生きてます。彼らに手を振って生存を知らせる。このくらいじゃあ死なない。死なないが⋯。


「バカですか?」


「う〜ん⋯反論できないねえ⋯」


遠くで爆発音が聞こえる⋯弾着したのね⋯今⋯。


「とにかく、とっとと起き上がってドンドン装填して下さい!!」


「おう!!」


俺は起き上がり、砲弾を次々と砲に装填してゆく。打ち上がってゆく砲弾は弧を描いて森に落ちて行くと爆発し、木々や

そこにいるゴブリン達を吹っ飛ばしていった。セントリーガンにより丘に出て来たゴブリンは肉片となり、森に潜んでいるゴブリン達はこれまた色々な部位に分かれていった。ちょいとしたヘルピクチャーである。


「こ⋯これが魔術士の力って奴か⋯」


「恐ろしいもんだ⋯」


恐らくこんな魔術士なんかいません!!なんたって俺はインチキ魔術士だからね!!

んで君達。今ちょっと引いたでしょ?まあでもいいか。どうせこの仕事が終わったら二度と会わんのだから引かれてもOK!!

しかし、こんだけドカドカやってんのにゴブリンの勢い減らなくねえ?


「おい!!こんだけ殺してるのにまだ止まらんの?」


「UAVからのデータによると、発生速度が上がってますね⋯発生源は移動している模様⋯送られてくるデータが断片的なものなので発生源の位置特定まで行けません」


「なんとか元を断たんと!!引き続き頼む!!なるはやで!!」


「了解!!」


UAVのデータを改めて見ると、サテラの言う通り数が減らない所か増えているのがわかる。しかもこんだけ同族が殺されているのに引くどころか臆する様子もない。まるで死兵じゃないか。

セントリーガンのエネルギー残量も今の所余裕がある様に見えるが、これが続くとなると正直キツイだろう。


村人も頑張ってはくれているが、焼け石に水も良いところ。


やはり勝利の鍵は発生源にありだな。


俺は工場ラインの工員が如く、砲に砲弾を装填して行くが男の叫び声が聞こえ、声の方向に目をやると櫓にいた弓矢使いが相手の矢を受けて櫓から落ちて行ってしまった。あれ?もしかして死んだ?

同時に誰かが叫ぶ。


「ゴブリンの弓兵だー!!矢が降ってくるぞおお!!」


敵もさるもの。突撃させた味方を壁にして銃弾を防ぎ弓矢の射程距離まで接近、攻撃と!!

命の消費を考えない戦法だ。全く嫌なもんだね!!


レーダー画面にボブリンが放ったであろう矢の影が映る。木製であろう矢まで映るとは高性能じゃない。


「矢が来るぞー!!防御体制を取れ!!サテラ、負傷者の手当てを!!」


「今向かわせています」


俺は背中のアタッチメントにある機関銃をとり、やべえ場所に着弾するであろう弓を選び発砲。

細長く小さきターゲットでも、レーダー照準と弾幕でなんとかなるもんだ!!


そのまま柵のお立ち台に向かい、矢を放っていたゴブリンに銃撃をする。

何匹かは狩れたが、残りは後退していった。どうやら後退の文字はあるらしい⋯。


そんな攻防を数時間続けていると村人にも疲れが見えてくる。負傷者も増えてきた。


「不味いですね⋯セントリーガンのエネルギー残量が心許ないです。特に正面に設置してある3号ユニットの消耗が激しいですね」


険しい顔をしたマクドネルが駆け寄ってきた。


「おい!!まだ発生源は見つからんのか!!」


「はい⋯残念ながら⋯只でさえ遮蔽物が多いのに発生源は常に移動していると。照準のつけようが無く攻撃できません。せめて止まって貰えばなんとか⋯」


「急いでくれ!!このまま続けば持ち堪えられない⋯」


そう叫ぶと自分の持ち場に帰っていった。だいぶ焦っているなあ。


「もしかしてさ⋯。相手が動いてるのって砲撃よけ?」


「ああ、それはありますね⋯⋯あ⋯動かないうちに大体の所に攻撃を加えていればもしかしたら初手撃破が⋯?」


「これはもしかして⋯初手ミスったって事?」


「まあ最初の攻撃が外れれば、恐らく今と大差ないと思われるのでミスとまでは⋯⋯」


「うん⋯わかった。とりあえず村民には内緒の方向で」


「そうですね。それが賢明かと⋯」


「しかしどうするべ?このままでは埒が明かないのは自明の理!!何かないか⋯⋯あ〜そうだ!!UAVだ!!UAVに爆弾乗っけてあそこら辺を絨毯爆撃できんか!?」


「攻撃用UAVを起動させる余力は現在ありません」


「あっそうですか⋯」


不味いぞ⋯このままではセントリーガンのエネルギー切れでゴブリン御一行ダイナミック入村が現実してしまうではないか!!


「とりあえずセントリーガンのカートリッジの交換は出来んのか!?」


「敵がその隙を与えてくれれば可能ですが⋯現在の稼働状況を見ると無理です」


あああ⋯頭を掻き毟りたい気分だが、俺の頭はガッチリガードされているのであった。


「森林内に高反応!!これは⋯何か大きな物が⋯」


レーダ画面に目をやると確かにここから1.8km付近に何やら大きな点が⋯ドンドン大きくなってる!?

レーダーが示す方向に顔を向けると何やら変な光を観測。近くの木々にとまっていただろう鳥達が一斉に逃げ出して行く。櫓に登っていた男が異変に気づき声を上げる。


「おい!!あそこ⋯見ろ!!」


皆が櫓の男の指差す方に目をむけると、そこには木々の高さを優に超える人型物体が異様な存在感を放ち立っていた。その物を見た時、身体に緊張が走ったのを感じた。あれはヤバいものだ。背中に汗を感じる。息が早くなるが次第に落ち着いていった。ああ、システムが機能したか。


周りの男達を見てみると、皆一様に恐怖に支配された顔になっていた。コイツらは普通の人間であり俺みたいなドーピング野郎じゃねえ!!間違いなく動けねえ!!やべえ!!何とかせな!!


男の一人が口をひらく。


「あ⋯ああ、ギガントオークだ⋯⋯」


オーク!?あの異世界モノでは非常に有名なオークとな!!くっころ相手から食材まで何でもこなせるバイプレイヤーのオークさんですか!?でも⋯ギガントと言うくらいだから⋯デカいなあ⋯。顔は豚というより猪に近いか?


そのオークの周りの謎の発光が収まるとドスンと大きな音がした。どうやらオークは少しだけ宙に浮いていたらしい。重量物が着地して発せられた重低音があたりに響く。オークの鋭い眼に光が宿ると眼前の木々を薙ぎ倒して村の方に進んできた。マクダネルが叫ぶ。


「下がれ!!ありゃ俺たちじゃ手に負えん!!」


「逃げろおぉぉ」


男達が持ち場を離れ逃げ出す。敗走する男達に向かってギガントオークは薙ぎ倒した木を掴みこちらに投げ込んできた。木は軽々と宙を舞い村の家に直撃。素人造りの家は土埃と共に崩壊していった。


あんれまあ!!なんちゅう脆い家じゃ⋯。


オークは気をよくしたか次々と村に木を投げ込む。男達はどこに落ちてくるかわからない木に右往左往している。

景気良く降ってくる木々によって村は順調に崩壊の一途を辿っていた。


そんな中無人ギアは負傷者を後方に運んでいる。実に御苦労さん!!


俺は自分の近くに落ちてきそうな木を迎撃しつつオークの様子を見ていた。


なんか違和感を感じるのよねえ⋯⋯。


「あのさぁ。普通だったらゴブリン達の進路を開く為にセントリーガンや柵を破壊するのが定石だよねぇ。なのにやってくるのは村内への爆撃。まるで連携など考えていない様子。こりゃ戦いでは無く⋯まるで遊んでいる様だ⋯なんか⋯こう⋯邪気を感じる⋯」


「確かに⋯合理性を感じませんね⋯ただ幸いな事にあのデカブツが木々を取っ払ってくれたおかげでとても見やすくなりました。ありがたいですねえ。オークが発生したと思われる場所に即UAVを向かわせた所、人型生物と思われる反応がありました。間違いなくこの騒動を巻き起こしている者だと思われます。いましたね。決して褒められべき性格ではないであろう黒幕が⋯⋯さて、今までの敵の行動パターンはゴブリンを発生、のち移動を繰り返してきた訳ですけど、どういう訳か今回は止まっています。推測になりますがギガントオークを何らかの方法で操作しているために動けないか、十分距離をとったと思いこちらへ高みの見物かましてるか⋯そんなところではないでしょうか?まあせっかく止まってくれているのです。こんなチャンスを逃す手はありません!!」


「そうね⋯じゃあ、一丁お熱いのをぶち込んであげましょうじゃないの!!」


「了解!!」


今回選ばれた兵器は携行式多目的ミサイル、お名前は皆様お馴染みジャベリンでMk.5という未来バージョンなんだって。そりゃ未来の戦車を破壊できるミサイルなのですから威力はそれはもう⋯⋯楽しみですな!!


電源オン!!上目に構えてUAVからサテラ経由のデータリンクによりロックオン!!トップアタックモードでさあ行ってらっしゃい!!


射出用ロケットモータに点火され発射機からミサイルが飛び出すと、盛大なバックブラストと共に空高く打ち上がっていった。


ミサイルを見送り、レーダー画面に目を移すとミサイルは順調に目標に飛翔している。目標に動きなし!!

そのニヤケ面⋯しているかどうかはわからんがお見舞いするぞー!!


「そろそろですね、3、2、1、弾着」


サテラのアナウンスと共に遠くの方で閃光と同時に盛大な爆発が見えた。爆音に遅れて衝撃波を観測。そして俺はただ爆発方向に中指を立てるだけであった。


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