穴があったら入る!!山があったら登る!!等、世界は変態のおかげで進歩しているかも知れない。その1
あ〜面倒い!!そんな考えが脳内でメリーゴーランドの如く回転する中、祭りで人々がごった返す街中をちみっ子一緒に人混みを掻き分け出口を目指す。こんな祭りの日にゃ街に入って来る人は多々いようとも、わざわざ外に出る人は少なかろうて。
まあ、この大混雑のおかげで出発二分で先様とははぐれた訳だがまあ出口に向かえば会えるだろう。ちなみパーやんだが、人の波に飲み込まれたと同時に出口とは明後日の方向に流れて行ったのはご愛嬌、あの背丈に合っていない杖の先端だけが虚しく見えていたのには涙を誘う。
このままはぐれたと言って帰りたい所だが女将に頼まれちゃったもんだからもうねえ⋯⋯
と、ギアの図体とパワーそして演算能力を活用し人の間を上手く潜り抜け街の入出門広場に到着した。パーやんはまだいないな。まあ当たり前か。
門の方を見てみると圧倒的に入って来る人の方が多い。入出管理をしている衛兵たちも増員して対応していたがこりゃ中々大変そうだ。帰って来た時にはこれに並ばにゃいかんのだろ⋯⋯はあ⋯⋯うんざりですわ。
「ねえサテラ、奴さんどこに居るかわかる?」
「いえ、タグや監視をつけている訳ではありませんのでわかりかねます」
「そうかあ⋯じゃあ待つしか無いねえ」
それから三十分くらい待ったであろうか、少々やつれたパーやんがフラフラと現れ俺を見つけるや否や噛みついてきた。
「ちょっとアンタ!!こんだけ人がいるんだからちゃんとエスコートしなさいよ!!おかげで山車の所まで連れてかれて見たくもない勇者の英雄譚を見せられたんだからね!!こちとらもう数百回は見てるっつうの!!」
「そうかい、勇者様のご活躍が見れてよかったね。復習にはなったでしょう?これで明日の勇者検定は満点間違いないね、あればだけど。まあアンタが先行した癖にエスコートも何も無いわなあ。まあこうして合流出来たんだから良しとしなさいよ」
パーやんはムスッとした顔で門に向かう。ここで言い返して来ない辺り己の失敗である事と自覚しているみたいだね。あんななりして大人という訳ですか。
俺はそんな彼女の背中に付いて行くのである。
門を抜け久しぶりに街の外に出ると日が丁度頂点に達していた。つまり正午である。昼飯、屋台で買ってくればよかったなあ。
「さあ、行くわよ」
そう無愛想に言うとパーやんは歩き出した。その後を母鴨について行く小鴨の様について行く。特に話す事もなく彼女の細い背中を黙って見ながら歩いている。しかしこんだけ話さないと言う事は、拗ねてるのか?と思いながら歩いて三四十分といった所か、森の中に入って行くとこれまた鎖で施錠された立派な門と小屋が見えてきた。
パーやんは小屋に前に行くと扉をノックをする。すると扉が開き中から中年男性が顔を出した。
「ご用件は?」
「ダンジョンの中に入りたいの。ギルドから聞いてない?」
彼女は自分の冒険者証を男性に提示する。
「ああ、聞いてますよ。金三級のパラステアさんと銀三級のイルマさんですね。今開けますよ」
男性は小屋の中に戻り鍵を持ってくると開錠し閉じられていた門を開けるのであった。門が開く際、しばらく動かしていなかったらしく金属が擦れる様な鈍い音と振動を感じた。
「さあどうぞ、しかし金と銀が揃うなんてこりゃ珍しい。実力者が派遣されるなんて⋯⋯もしかしてこのダンジョンに何か問題でも?」
「かもしれないわね⋯だから調べるの」
「そうですか⋯何もなきゃ良いんですけどね⋯どうぞお気をつけて」
「ありがと、じゃあ行くわよ」
パーやんは俺に顎でこっちに行けと指示を出す。ムカつくわああ!!
「んじゃあ、お邪魔しますぅ〜」
俺は男性に挨拶すると彼女の後に続く。ダンジョン入り口はまるで大地が冒険者共を飲み込まんとする様に大口を開けて構えている。さて我がファーストダンジョンはどの様な冒険が待っているのであろうか!?
まあ、このダンジョンは攻略済みらしいので大冒険とは行かんだろう。
中に入ると真っ暗で先がまるで見えないが、何やらパーやんが杖を前方にかざすと壁に設置されていた照明が並び順に光だした。あまりの綺麗さに思わず声が漏れる。
「わおっ綺麗!!一体何したの!?」
「これは見事ですね!!」
ウキウキの俺とサテラに彼女は一体何を言っているのだコイツと言う顔をコチラに向け面倒臭そうに説明してくれた。
「ここに設置してある魔照石に魔力を送って光らせたのよ。特に珍しいことでも無いでしょ?」
「ほう、魔照石とな。確かに家とか街灯とかにも同じ感じの光があるなあ。しかし無線によるエネルギー供給とは恐れ入ったぜ!!」
俺は壁に設置してある光る石をまじまじ見る。フィラメントや蛍光灯やLEDと違って優しめな光だね。その分量が必要そうだが。




