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悪辣王子の異世界侵略  作者: 蜩鳴
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第四話 ミゼルの過去②

開いていただいてありがとうございます。

カクヨムでも連載していきますのでそちらもよろしくおねがいします。

オレはもちろん学校では友達なんか一人もいなかった。それにオレはプライドが高い方でわざわざ自分を下に見てくるような人間と友達関係を結びたいとも思わなかった。いわゆるボッチというやつだった。けどオレは自分のために学費を稼いでくれる両親のために勉強だけは頑張らなければならないと感じ、学生時代の大半を勉強のみで過ごした。

 オレは金と名誉のために医者を目指していた。誰かの命を救いたいなんて気持ちなど、荒んでしまったオレの心にあるはずもなかった。

 ただ、医者になって高い給与を手にしこいつらを、いや世間を見下す側になりたい、そんな邪な考えしか持っていなかった。


 その勉強のおかげでオレはこの日本トップクラスの学校ですら上位の成績を修めるようになっていた。初めは勉強さえ頑張っていればオレを見下すやつなんていなくなるんじゃないかと思っていたがむしろその逆でオレが上位の成績をとるとオレへのイジメはエスカレートしていった。


 中学三年にもなると上履きに画鋲が入れられる、女子の前で服を全部脱がされる、顔面を思い切り集団で殴られるなんてこともあれば、クラス中から無視されることも多々あった。


 やはり主導権を握っていたのは日本でも重要な役職についている親を持つ子息でクラスでもリーダー格の人間らだった。こいつらに逆らうというのは子供だけの問題じゃなく、逆らってしまえば自分の家ぐるみで不都合が生じる可能性すらある。


 だから、周りの学生はおろか教師さえも””そっち””側についてしまう。オレに味方なんか一人もいなかった。アリストテレスは人間は社会的な動物であるといったがそれのまさに最たる例だ。オレが経験しているのがまさに彼の言う社会なのだ。下の人間は権力のあるものに媚びへつらい、上位層の人間のご機嫌を伺いながら生きていかなければならない。



 オレは絶対にこいつらを顎で扱えるほどの地位につく。オレの頭の中はそんな感情でいっぱいだった。



 オレは家に帰っても、オレのために朝から晩まで働いていた両親は疲弊しきっており会話なんてほとんどなかった。オレを癒してくれるところなんてもしかしたらもうこの世にはないのかもしれない。

辛い、痛い。こんな学校辞めてしまいたい。そんな感情が常に頭をよぎったがオレのために働いている両親にそんなことも言えないし、両親をこれ以上疲れさせるわけにもいかないからイジメがあることなんていうこともできなかった。

 あとたった数年耐えればこの地獄ともオサラバだ。日々の苦痛を耐え凌ぐために将来のことばかり考えていた。



 けれど事件は起こった。高校2年生になったばかりの5月ごろ、それはとても暑い日だったと思う。

 オレはいかなるイジメにも耐えてきたがこの日ばかりは耐えられなかった。


 オレの母親は毎朝忙しいのにオレのために弁当を作っていた。家計を浮かせるために作っていただけかもしれないがオレはそれに感謝していた。


 それをあいつらはゴミ箱に捨てたのだ。きっと何をしてもオレが怒らないと思っていたんだろう。オレは烈火のごとく怒った。

 お前らにその弁当の重みが理解できるのか?毎日高そうな弁当屋が作った弁当を食っているお前らなんかに。毎朝早起きして作ってくれた弁当の尊さが。


 オレは我を忘れてそいつの顔面を思い切り殴っていた。


 我にかえるとオレは自分がいかに取り返しのつかないことをしてしまっていたか理解した。けどオレに後悔はなかった。あるのはこいつらへの怒りと社会に対する不満だけだった。


読んでいただいてありがとうございます。

もしよろしければ感想などいただきたいので、どんなことでも書いていただけると励みになります。

よろしくお願いします。

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