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悪辣王子の異世界侵略  作者: 蜩鳴
3/11

第三話 ミゼルの過去①

開いていただいてありがとうございます。

カクヨムでも連載していきますのでそちらもよろしくおねがいします。

ナイーブはそのまま立ち去った。

それにしても彼女の名前はナイーブ、、か。

やはりオレと彼女が仲良くしていたというのは運命のような気がする。

ナイーブという単語もまた英語かフランス語で世間知らずやバカといった意味合いがあった気がする。まあ日本では繊細なといった良い意味で考えられることが多いのだけれど、、、、


ただ、彼女が仲良くしていたのは今のミゼルではなく前のミゼルだ。オレはメイドごときと慣れ合う気なんかサラサラない。オレはあくまで利用するために””普通の男””を彼女との会話で演じただけだ。


『オレにとって都合のいいものは全て最大限利用してやるんだ』

オレは密かに心に誓う。


四流であろうと今のオレは貴族だ。それにわかりやすい嘘を言っても簡単に信じてしまうナイーブ(バカメイド)もいる。それだけ前のオレは彼女にとって信頼に足る存在だったのだろう(他に頼る相手がいなかっただけかもしれないが)。



この世界に対する一切の知識がないオレにとってナイーブは現在重要な情報源である。そして貴族という地位も努力なくして手に入れているのだ。


西洋の貴族はおそらく自分のことを特別な人間か何かだと勘違いしている節があるように思う。それはオレが元の世界で高校生・御手洗智樹だった時に感じたことだった。彼らは彼ら側の視点しか持ち合わせていないからこそ、大衆の感情や生活苦などを理解できず革命や暴動が起きたという歴史が紡がれたように思える。努力なくしてその地位を手に入れてしまった代償とでも言えるだろう。


オレはむしろ真逆だ。小学生の時から成績はそれなりに優秀だったが生活は苦しくボロボロの家に住んで食べていくのがやっとだった。

けど、両親はオレにはいい人生を歩んで欲しいと思ってくれていたんだと思う。

だから、成績優秀だったオレに私立の中学校を受験させてくれた。そしてオレは猛勉強の末、関東圏トップの中高一貫校に合格し、そして入学した。

それからというもの両親は学費を捻出するために身を粉にして働いていた。オレは彼らに感謝することしかできなかった。


けれども、私立の中高一貫校というのは嫌なところで大企業の社長・医者・政治家の子息や令嬢、もしくはそれに準ずるほどに家計が潤っているようなご家庭に生まれた人間ばかりだった。もちろん一般家庭の人間だっていたにはいたのだが、オレほど家計が苦しい家庭に生まれた人間は少なくとも一人もいなかった。

ゆえにオレは差別対象だった。


入学してからというものオレはすぐに周りの人間から目をつけられた。制服や通学用のカバンだってすぐには買えなかったから通販サイトで中古のものを購入しており、入学したばかりなのにボロボロだったためだ。そんなオレが低所得者層の人間であることなんて火を見るよりも明らかだった。


「あれれ〜、なんかこいつボロボロじゃね?」

「うわ〜、汚ねえ。制服すら買えなかったのかよ」

「君のカバン旧式のやつじゃんwww」


入学早々からそんな風にいじられた回数は数え切れない。

生徒からいじられるだけじゃなく、オレは教師からだって「あれ、君だけボロボロだね〜www」なんて授業の最初のつかみのネタとして扱われることだって日常茶飯時だった。教師も他の生徒たちに気に入られようと必死だ。なにせ生徒の両親に嫌われると思わぬところで不都合が出てきたりするし、金持ちのおこぼれに預かれる可能性だってあるのだ。彼らの機嫌をとるためにオレのような弱者(低所得者)を利用しても不都合が生じることがないとタカをくくっているのである。


オレは、自分の利益しか考えない数人の教師から不遇な扱いを受けるようになってから、『教師だって所詮は底辺職だ。大した大学も出ていない中間層の人間が中間層・底辺層の人間を再生産するシステムにおける一つの歯車に過ぎない。ゆえに社会における上位層の人間しかいないこの教室という空間ではその中でも最上位層に気に入られようとして行動する下位層の人間でしかない』と考えるようになっていた。学校にいるときは周りの金持ちの子息よりも教師という存在を心から見下していた。


もちろんまともな教師だっていた。まともな教師とは、オレに優しくしてくれるまたはこの学校の生徒が目指すような超一流の大学を出ている教師という意味でありオレが見下す教師ではないという意味だ。


オレはこの学校生活の中で金や地位が重要であるという事実だけが骨身に染み付いた。

そして灰色の学校生活の中でオレは一人誓った。

大金を手に入れ、他者の上に立ち全てを見下せる上位層の人間になると。


読んでいただいてありがとうございます。

もしよろしければ感想などいただきたいので、どんなことでも書いていただけると励みになります。

よろしくお願いします。

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