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おじさんとメイドの話  作者: 友45
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拾われた者と拾い上げた者

魔の森を抜けて、夜半過ぎからアオに無理を言わせ未明には、そこそこ大きな屋敷が見えてくる。

明けの明星が見えてくる時間に屋敷の主人が返ってくるだろうとは家令も思わなかったのであろう。馬屋番も寝静まっており起きてくる気配がする。普段からこの家の主人が自分で動く質の人間であることが伺える。慌てる様子もない。馬をつなげて一通りアオをねぎらう頃には家令の姿がみえた。


「どうされました?お早いお帰りで何かありましたか?」家令という割に随分と気安い雰囲気で訪ねてくる。荷物と子供を預けて「拾い物だ」それ以上の事情説明もなく、忙しない足取りで屋敷に入ってゆく。


「軽くつまめるものを。それは魔力過多症だ。それも、最重度だ。素手で触るなよ。お前の魔力に反応するやもしれん。ドラゴンの卵を抱かせているが、しばらくそいつに相手させておけ。」

必要最低限のことだけ言うと自室へ入ってゆく。


子供は昼過ぎに目を覚ました。節々が痛い。のどがひりつくようだ。靄っとした頭で自分を確認する。腹の上に大きな玉のような何かが括り付ける様に包帯で全身をぐるぐる巻きにされている。


ここはどこなんだろう。少なくとも自分の知っている場所ではない。ふかふかの寝具からして相当な金持ちだ。私はこれかどうなる?靄っとした頭では何も考えをまとめることはできなかった。


「おや目覚められましたか?言葉はわかりますか?」男の言葉にかろうじてうなずく。

「水のまれますか?」微かにうなずく。差し出された吸い飲みの勢いにむせて背中が痛い。

「慌てなくてもおかわりはありますからね。」背中を支える手が優しい。この男が危険かどうか信用できるかどうかなどどうでもよい。今は目の前の水だ。三回吸い飲みから水を飲み終えて一息つくとまどろみが落ちてくる。優しいまどろみが。生れ落ちてから初めての優しい気怠さが。

長くなりそうです。こうして長くなってゆくんだなあと実感しました。

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