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いざ、東の大陸へ

本日から更新再開いたします。

不定期更新となりますが、これからもよろしくお願いします。

異世界デュース――この世界は元々ただの膨大な力の塊だった。

そこに一対の神が現れ、純粋な力の塊から新たな世界が作り出された。


初めに神が世界の形を模り、女神が模った世界に命を吹き込み土台が作られた。

次に神はこの世界を管理された世界にしようと言った、しかし女神はこの世界を自由にあふれた世界にしようと反対した。

互いに交わることのない一方的な思想のぶつけ合いに、神と女神は袂を分かたれた。


神は世界を管理するシステムを作り、知性ある別世界の魂から管理者を作り上げた。

ダンジョンマスターの前身と言える管理者は全能と思えるほどの世界の力を使い、自らの望むままの世界を作り出していった。


対して女神は世界に知性ある生物を、様々な種族を産み出した。

今の人類となる多種多様の種族は女神が望むような自由を謳歌し、時には協力し、時には対立して世界中に繁栄していった。


神と女神が作った思想も理念も異なる2つが出会うのはさほど時間を要しなかった。

その決して喜ばれるものではない邂逅は、神と女神の溝がより一層深くなることとなる。


管理者は一方的に女神が産み出した生命を蹂躙し始めることとなり、女神はその現状を打破するために管理者を滅ぼすための守護者を産み出した。


管理者は襲い来る守護者に世界の力を無尽蔵に振るって対抗し、また守護者も世界の力から幾度も産み出され続けた。


膨大な力があった異世界とはいえど、終わりの見えない争いによって急激に消費され続けられればいずれ世界が朽ち果てるだろう。


一度は袂を分けた神と女神は今一度話し合いをし、世界の決まりを定めた。

その結果、神は管理システムを見直すことを、女神は直接命を産み出さないことを約束した。

そして管理者(ダンジョンマスター)知性ある種族(人類)のどちらかが勝利した方に世界の運命が委ねることとし、この異世界の大地で長い争いが始まった。


これがグランドダンジョンマスターになった時に知った事実。


ダンジョンマスター側の勝利条件は世界を管理下に置く事……つまりは人類を支配するか、滅ぼすということになる。逆に人類側はダンジョンを潰して生存圏を広げることで、いずれにしろどちらか勝利すれば、もう片方は滅び去ることとなる。


人類とは相容れない存在だと言うが、こちら側の神こと、エックスが放任主義ということもあり、女神の影響がない辺境の地であったファグ村のみんなとは仲良くできていた。


共存できるにも関わらず初めから敵対関係となるのは、結局神々によって作られた勝手な都合によることが原因。


勇者と言う存在も女神が直接ダンジョンマスターを倒す生命を作れないからこその苦肉の策。まぁこっちもこっちでグランドとか用意しているだけあってお互いに出し抜こうとしているのだろう。


別に神は上位存在になったから人類を滅ぼせとかいう事は言わなかったが、この事実を知らされた上で今まで通りに好きにダンジョン運営しろと言われれば、敵対することを前提にしているのは嫌でもわかる。


それならそれで俺は好き勝手にやろう、どっちが勝っても俺にとってはどうでもいい。いや、どうせなら一度は死んでいる俺よりクゥリルが、人類側が勝ち残って欲しいところだ。

そうなって欲しいが進んでダンジョンを潰すのも面倒だし、そこは勇者であるアンリに頑張ってもらおう。

俺はその日が来るまでクゥリルとスローライフを満喫する。そうと決まれば早いところ村に戻るとしよう。


とりあえず外に出るための準備はした。

ダンジョン内でなければアイテムを作り出せないのが欠点だが、長旅を想定しての新しくアイテムバッグも出したし、野営セットや食料も用意した。もちろんもしもの為のアイテムやポーション類やバッチリだ。

最悪彷徨い続けてもいい感じの場所を見つければ一時的にダンジョン化すれば問題はないはず。


「よし、そろそろ行こうか」

「ま、待って……。足が痺れて動けない……」


俺が準備していた間ずっと正座させられていたアンリが四つん這いになりながらも、立ち上がろうとしていた。

何故正座していたかと言うと、しつこく教会について語ろうとした結果、五月蠅く思ったクゥリルが鉄拳制裁し、罰として命じたからである。

その時こちらに助けを求めていたが、素直に諦める様にと身振りをすれば分かりやすく項垂れていた。おそらく二度に渡って邪魔をしたこともあってのことだから、これは仕方ない犠牲なのだ。


「だらしないよ、アンリ」


ちなみにクゥリルはさっきから俺の後ろに付いて、くっつき虫となっている。

この状況で本当にだらしないのはどっちだ、というツッコミはしない。


「そんなこと言っても何時間座りっぱなしだと思ってるの……。クゥ、いったいボクが何をしたっていうのさ……うぅ……」


途中食事も挟んだりしたとはいえ、もうそんなに経っていたのか。そろそろ許してあげてもよさそうだが、当の本人は……。


「むぅ、まだ反省してないと見える。旦那様、アンリは置いて二人っきりで行こう」


うん、まだ怒っているようだ。

しかしこのまま置いていくのは流石に気が引ける。


「クゥ。確かにアンリは間が悪かったけど、悪気があったわけじゃないんだし、もう許してあげてもいいんじゃないかな?」

「……仕方ない、旦那様に免じて許してあげる。アンリは旦那様に感謝してね」

「クゥが厳しい……」

「はいはい、二人とも仲良くね。それじゃあ治まってから出ようか」


そう二人に声を掛け、少ししてから俺たちはこの変態紳士のダンジョンだった場所を後にする。

最後にダンジョンアンカーも外しておくのも忘れない。下手に残したままだと何があるのか分からないからな。


そして、ここから先は東の大陸。

今までとは全く違う土地だが、クゥリルと、あとおまけにアンリもいるから何が来ても大丈夫だな。

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