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ファグ村、ダンジョンと戦う

罠をよけ、迎え来るモンスターを倒しダンジョンの奥へ奥へと進む。

たびたび分かれ道があったが、ダンジョン攻略アイテムを使えば難なく正解の道がわかったのでサクサクと攻略できる

そして、一番奥と思わしき大部屋へとたどり着いた。


『よく来たな侵入者よ! だがそれもここまでだ、このダンジョン最強のモンスターで相手をしてやる!』

「あのー、話をしに来ただけなんだけど聞いてもらえる?」

『さぁ出でよ、僕の究極最強モンスター!』


大部屋に踏み入れると、突如として中に響く男の声。どこか作ったような強がった感じの声がする。話を挟んでみるもどうやら聞いてくれる様子はない。

宣言から数十秒後、大部屋の中心が光り出し、そこから大きなモンスターが姿を現した。


身の丈10メートルを超すような大きな竜、まさにドラゴンと呼ぶにふさわしい姿に少し感動してしまう。


「おお、カッコイイ! これぞドラゴンってやつだな」

『あ、わかるっすか? やっぱり王道が一番っすよね!!』

「うんうん、下手に凝ったものよりシンプルが一番だ」

『わかってくれて嬉しいっす! 誰にも見せることないと思ってたけどついにお披露目することができてよかったっす』

「……旦那様? とりあえず、あれ倒しちゃっていいんだよね」


つい盛り上がってしまったが、ジト目で催促されてようやく気付く。

あれ倒さなきゃ行けないの? 無理じゃない?


「……さっきも言ったけど、とりあえず止めにして話聞いてくれない?」

『…………さぁ行け! このダンジョンでいちゃついてたやつらに天誅を下すんだ!』


先ほどの素のような喋りかと違い作ったようなセリフ。なんか無理してる気もするし、今の間は何だと問い詰めたいが、いちゃついてたのはホントのことだから反論できない。


「……仕方ないか。クゥ、お願いできる?」

「まかせて。旦那様は危ないからいつでも結界張れるように下がってて」


先ほどまでと違った真面目な雰囲気を纏う。

本気で相手をする時の状態……いつもよりクゥリルが頼もしく見える。


ザッっと音を置き去りにするようにドラゴンに向かって飛び込んでいく。あの時よりもさらに速くなったクゥリルは一足でドラゴンの裏へと回り、そのまま死角からの槍を繰り出す。

槍の一振り一振りがドラゴンの肉を裂き、あっという間に辺りを血だらけにしていく。


――GUGYAAAAAAA


咆哮と共に尻尾で薙ぎ払うがそこには何もなく、ただ空ぶるだけだった。

そんなドラゴンの様子に、これなら簡単勝てるなと思ったがよく見てみるとドラゴンに付けた傷がすでにふさがっていた。

回復力が早いのか傷が浅かったのかわからないが、何事もないようにドラゴンは見失った相手を探すようにキョロキョロと回りを探している。


「……見た目だけ? 遅いし柔らかいし、あの時と比べるとすごい弱い」


そんな様子のドラゴンをしり目にクゥリルはいつのまにか横に来たのか、血まみれになった槍を払って血を綺麗に落としていた。


「圧倒的だね、でもあの再生力……倒すには時間かかりそうだ。それに何があるかわからないから油断しちゃだめだよ」

「ん、わかってる。一撃でやれば問題ない。じゃあ仕留めて来るね」


クゥリルがまた一足でドラゴンの前へと移動する。そしてドラゴンの首落とすつもりなのか、大降りに槍を構えて走り出した。

そこでようやく相手を見つけたドラゴンが口を開けて大部屋全体を轟かせる咆哮を放った。耳をつんざく爆音と同時に身動きが取れなくなる。

そして口に光を集約させ――極光のブレスが突撃していた状態で硬直したクゥリルに吐き出され、そのまま光の奔流に飲み込まれてしまった。


『フフフ、ハーハッハッハ! 生き物であれば動きを封じる竜の咆哮(ドラゴンシャウト)、そしてすべてを破壊する竜の吐息(ドラゴンブレス)! 始めはどうなるかと思ったっすが、これぞこのモンスター最強たる由縁っす!』


ようやく身動きができるようになったのはブレスが吐き出し終わったあと、ブレスが通り過ぎた場所には焦げ跡だけしか残っておらず、クゥリルが見当たらない。


「クゥ!? どこだ、無事か!?」

「だ、んな様……わたしは無事。旦那様が持たせてくれたコレのおかげで助かった」


よかった……ぼろぼろになっているが生きていた。

一枚しか用意できなかったが、守護の護符――一度だけ身を守ってくれる道具――が発動したようだ。


『なッ、まだ生きていたんっすか!? だが次で終わりにしてやるっす』

「旦那様、少しだけ、いい?」


求めるような視線、俺は応えるためにも身を守るちゃんVer5.2を起動する。


「ああ何でも言ってくれ、これなら耐えれるはずだ……、とりえあず今のうちにポーションも飲んでくれ」

「う……、ポーションは、いい。それより撫でてくれる?」

「こんな時に何言ってるの!?」

「お願い、旦那様」


上目遣いで近づかれて抱き着かれる。


『な、な、何をしてるっすか!? クソッ、見せつけやがって。今のうちにやってしまえっす、僕の最強モンスター!』


――GUGAAAAAAAAA


再び咆哮(シャウト)からの吐息(ブレス)

しかし結界の中までは通らないでいた。光の奔流に覆われながらもしっかりと結界の役目を果たしている。

このまま耐えきれればいいのだが、魔力残量がごりごりと減って行っていく。すぐにでも対応しなければいけないのに、頭をスリ付けるようにお願いされてしまえば断わる選択なんかできるはずもない。


「あー、わかった。わかったからせめてポーションは飲んでくれ」

「っんくんく……。さぁ撫でて!」


言われることがわかっていたのか、もうポーションを飲んでいた。そして約束通り頭を撫でてあげる。


「はいはい、もし本当にやばかったら逃げることを視野に入れてもいいんだからね、無茶だけは絶対しないように」

「ふふ、これならもう負ける気がしない」


竜の吐息が終わり、クゥリルは満足したとばかりに俺から離れる。そして結界を停止させて再びドラゴンの前へと立った。

俺はもう一度結界を発動させることはせず、ただクゥリルを信じて後ろからただ見守る。


『なんで無傷なんすか!? いったい何をしたっすか!?』

「これで最後……」

『まだっす、倒せるまで何度でもつづけるっすよ! さぁ次を撃つっす!』


――GUGA「ガアアアアアア!!」


竜の咆哮をクゥリルの咆哮が打ち消……打ち消すどころか逆にドラゴンの動きまで止めてしまった。

そして助走して加速した槍の大振りでドラゴンの首を落とすのだった。

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