8.始業前のひととき
困った。書き溜めてある分を投稿して評価が気になる病が。
まぁぶっちゃけ大した反響は無いんですけど。
今回はサブキャラ2名追加です。
「鞍馬、ハーレムってどう思う?」
教室に着くと時刻は8:05。
若干早い時間というのもあって、教室の中は人がまばらだ。
自分の席に座って窓から校庭を見下ろせば運動部系の生徒達が足に直径10センチくらいの鉄球をつけてグラウンドを走っている。
……鉄球?
と疑問に思っていたところで、声を掛けられた。
「おっす、鞍馬」
「ああ、おはよう。えっと」
「外山だ。外山 友彦。よろしくな」
「こちらこそ、よろしく。外山君」
「別に呼び捨てでいいぜ。俺も鞍馬って呼び捨てにするし」
「ああ、分かった」
外山と名乗った男子生徒は、そのまま俺の前の席に座った。
「どうだ、学園にはもうなれたか?」
「慣れたもなにも、まだ2日目だし」
「そりゃそうか」
「でも」
「ん?」
「転校して来たらもっと質問攻めにあうのかと警戒していたんだけど、そんなこともなかったな」
俺がそういうと外山は「はぁ」と深いため息をついた。
あれ、何か変なこと言ったかな。ここも俺の過去のイメージと違うのか?
「おまえなぁ。昨日の朝、何言ったか覚えてるか?
あれのせいで、みんな気兼ねしてるんだよ」
「昨日?何かそんな変なこと言ってたか?」
「ああ『平和な生活を送りたい』とか何とか言ってただろ。
それ聞いて日本に来る前はさぞ危険な場所で暮らしてたんじゃないかって考えて、みんなそっとしておこうってなったんだよ」
「そうだったのか」
あながち間違ってはいないか。
前の世界は晩年こそ平和になったけど、最初の20年なんてほぼ毎日死と向かい合わせだったし。
「そんな訳で昨日は、うちのクラスの元気印の南野に皆期待してた訳よ」
「それで大丈夫そうだから、今日は外山が声を掛けて来てくれたんだ」
「そんな所だ。こうして話してみれば意外と普通だしな」
「意外とは余計だ。でも、ありがとう」
「おう」
にっと笑う外山。
彼は気さくで話しやすいし良い奴なんだろう。
「ところで部活とかどうすんだ?」
「ん、ああ。それなら天文部に行ってみようかと思ってる」
「かぁーー。南野も手が早いな、おい。
なぁ掛け持ちでも良いから剣道部に入らないか?」
「その流れだと外山は剣道部なのか」
「ああ。今年の1年は男子は俺しかいないんだよ。女子は3人だから肩身が狭くてな」
「なんだ。ある意味ハーレムなんじゃないか。良かったじゃん」
「ばっ。滅多なこと言うんじゃない。そんなのアイツに聞かれたら」
「聞かれたら……なにかな?」
いつの間にか、静かなオーラを纏った女子が外山の後ろに立っていた。
「ともくん、ハーレムが良かったの?」
「うわっ。理沙。まてっ、俺はハーレムなんて一言も言ってねえ」
外山は変な汗をかきながら必死に弁明していた。
って、可哀相だし助け舟出しておくか。
「ごめんごめん。ハーレムって言ったのは俺だから」
「そうなんだ。おはよう。鞍馬さん」
「うん、おはよ。えっと、随分親しそうだけど、君は外山の幼馴染、とか?」
「よく分かったわね。内川 理沙よ。ともくんとは小学校1年の時からずっと一緒なの」
「へぇ、それは凄いな」
「それで、部活の話だっけ。確かに鞍馬さんが入ってくれると他の2人の意識が逸れて良いんだけど……」
これはあれだな。
世話女房とまだ自由で居たい旦那の構図だ。
出来れば力になってあげたい気もするけど、ちょっと厳しいな。
「済まないけど、俺は運動系の部活には入らないって決めてるんだ。特に剣とか危険だし」
「危険って?」
「加減を間違えて真っ二つに切ってしまいそうだし」
「「……」」
あ、これはまたやってしまったかな?
焦る俺に外山が一言言った。
「鞍馬ってもしかして、相当魔力強いのか?」
「は?」
あれ。俺って元の世界に戻ってきたんじゃないのか?
魔法とか魔物とか隠れ要素かと思ったけど違うのか。
メインで会話に参加するサブキャラは多分これ以上は早々増えないです。
新学期になったら後輩が出来そうですが、多分きっとそこまで話が伸びないかと。
「月のない夜は背後に気を付けろよ」