75 娘との再会
気が付けばあっという間に日が過ぎていく今日この頃です。
何とか更新ペースを戻したいのですが。
翌朝。
朝食が終わった後、みんなはクラリスさんのお母さんに連れられて町にショッピングに向かった。
そして俺はというと、クラリスさんと、クラリスさんのお父さんと一緒に別宅へと向かっていた。
廊下を進むなか、クラリスさんのお父さんが俺に話しかけてきた。
「鞍馬くん。君を見ていると、どうもどこかで見たことがある気がするんだ」
「はぁ」
「何というか、目元が母に似ているようにも思えるしね」
「あ、それは私も思いました。
笑った時の目元とか、おばあ様に凄い似てるなって思います」
「そうなのか」
まぁ俺としてはクラリスさんを見た時からもしかしたらって思ってたけど、もう間違いないだろうな。
というか、この世界に来た時から凡そ分かっていたことか。なにせクルム教だものな。
そうこうしている間に別宅に着いた。
入口のノッカーを叩くと、80過ぎの老メイドが出迎えてくれた。
「……」
「?」
そのメイドさんは俺を見た瞬間、固まってしまった。
「あの、どうかされましたか?」
「……はっ!?
失礼いたしました。
ようこそおいでくださいました、リュージュ様」
そう言って深々と頭を下げた。
その瞬間、右目の三角の泣きぼくろが目に入った。
「あれ、もしかして……ミーちゃん?」
「っはい。おかえりなさいませ」
声を詰まらせてそれだけ答えたメイドのミーちゃん。
本名はたしかミーファだったかな。
最後に見たときは7歳くらいだったかな。
「申し訳ございませんが、今日は大奥様の元へはリュージュ様だけお連れするように仰せつかっております」
頭を上げたミーちゃんは目元に涙を浮かべつつ、そう伝えた。
そんな訳でクラリスさん達と別れて家の中へと入った。
コンコンッ
「どうぞ」
案内された部屋に入ると安楽椅子に座っていた女性が立ち上がって出迎えてくれた。
そして先ほどのミーちゃんと同じように目を見開いた後、ぱっと駆け寄ってきて俺に抱き着いた。
「お父様!!」
クラリスのお祖母ちゃん、クリスの頭をなでてあげた。
「大きくなったね、クリス」
「はい。まさかまたお会いできるなんて」
「俺もまさかまたこの世界に来れるとは思ってなかったよ」
「そうです。今まで一体どちらにいらっしゃったんですか?
それにお父様はどうしてそんなに若いお姿なのですか?」
「話すと長くなるから庭に出ようか」
「はい」
クリスの手を取ってベランダから外に出た。
「この庭も昔のままなんだね」
「はい。お母さまがいつかお父様が帰ってきてくれた時にの為にと言って庭師の方に指示していましたわ」
庭に設置してある少し年季の入ったガーデンテーブルに着くと、ミーちゃんがお茶のセットを持ってきてくれた。
「ミーちゃんも良かったら一緒にお茶しよう」
「そうね。ミーファも懐かしいでしょうし、座って」
「はい、失礼します、リュージュ様、大奥様」
さぁーーと風が流れた。
それを受けて左手で髪を抑えるクリスを見て、改めて懐かしさが込み上げてきた。
以前はそこにクリスの母親のクレアが同じように座っていた。
その時のクリスは乳母車に乗っていたな。
ミーちゃんはまだメイド見習いとして当時のメイド長について動いてたっけ。
「さて、どこから話したらいいかな。
この世界で言う第1次聖魔大戦の前。俺がこの世界に来るきっかけの事から話そうか」
そうして俺は当時を思い出しながら昔話を始めた。
最初から分かりやすく出ていた伏線の回収です。
次回はちょっと昔話。龍司がリュージュだった頃の話です。
リュージュの物語自体は別途各余裕があったら書くかも。




