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普通の高校はどこですか!?  作者: たてみん
第4話:夏休み、浜辺で君と、特異点?
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73 海は食材の宝庫です

だいぶ遅くなってしまいました。

まさか半月ぶりになるとは……


ちょっとだけ違う小劇場

「エビで鯛を釣るのが普通の世界なら……鞍馬くんを餌にすれば(チラッ)」

クルーザーに乗り換えた俺達は目的地の島に向けて地中海を走っていた。

島に着くまで約2時間。

ずっと海を眺めてるのも退屈なので俺はアイテムボックスから釣竿を取り出した。

釣糸の先には餌代わりに魔石を括り付けて船尾から海へと投げ込む。

そして釣り人よろしくぽーっとしてると、南野さんが覗き込んできた。


「鞍馬君。この速度で走ってるのに釣竿で釣れるの?」

「トローリングとかもあるし無理じゃないけど、俺がやってるのは普通の釣りとはちょっと違うからなぁ」

「違うってどこが?」

「見てればすぐに分かるよ、っと言ってるそばから来たな」


俺は釣竿に魔力を通すと一気に引き上げる。


ざばっ


海面が音を立てて盛り上がると、全長2メール近い魚が尾びれに釣糸を巻き付かせて姿を現した。

その口からは鋭い歯が見えた。

そう、歯だけが。


「……は?」

「おぉ、鞍馬くん、大きいの釣れたね~」

「龍司、今夜はお刺身?海鮮鍋?」

「その前に毒とか大丈夫でしょうか」


南野さんが驚いている間に他のみんなも来たみたいだ。


「毒は大丈夫なので、さくっと血抜きしてしまいますね」


そう言ってアイテム空間から長槍を取り出すと鰓の裏を一突きして尾びれの付け根に切り込みを入れる。

ついでだから水魔法も使って一気にやるか。

そうしてドバドバと血を抜いてたら、ようやく南野さんが復帰してきた。


「いや、みんな。まずはこの糸で縛られてる状況を突っ込もうよ。

普通の釣りってこうじゃないから」

「うーん、今更鞍馬くんが変わった行動をしても、ねぇ」

「龍司だから仕方がない」


なんだか酷い言われようだ。まぁ良いんだけど。

と言っている間に血抜きが終わったので氷魔法で凍らせつつ槍と一緒にアイテム空間にしまう。

そして次の獲物を求めて釣り糸を海へと投げた。


パシッ。


投げた釣り糸は海に落ちる前に、海中から出てきた腕によって受け止められていた。

あ、ちなみに腕といっても人間のそれではなく、赤くて吸盤が付いてるからタコだろうか。

これ幸いにと引っ張り上げれば、腕の長さが3メートルを超す、巨大タコが姿を現した。


「たこ焼き」

「タコ飯」

「お寿司」

「タコわさが良いわ~」

「いや、みんな食べる事より先にあれ倒さないと!」


うーん、珍しく今日は南野さんが突っ込み役だ。

と、呑気にしすぎてたのがまずかったのか、釣り上げられたタコが反撃とばかりに縛られていない11(・・)本の足を振り回してきた。

咄嗟に障壁を展開したけど、海上に居るために衝撃で船が揺れる。


「く、鞍馬くん。

このままだと船が危ないから早く何とかして!」


船の縁にしがみ付いてる南野さんから苦情が来たので、急ぎ船から飛び出しつつアイテム空間から剣を取り出してタコの足を切りに行く。

タコ型の魔物とはいえ、軟体動物。スパスパっと根元から断ち切る。そしてもちろん、切った足は回収して後で美味しく頂こう。

あとタコのワタも珍味だから回収したいよな。

ということで、真っ二つに切りつつ瞬間冷凍で保存することにした。

この間、約10秒。

船に戻ってくると、ため息をつくマルサさんが待っていた。


「鞍馬様。それに皆様。大変残念なお知らせがございます。

ただ今の衝撃で、船のエンジンが故障したようです」

「ええぇぇ~~」


周りを見渡せば360度海だ。

辛うじて遠くにどこかの山頂と思われるものが小さく見える程度。

一瞬泳いでいけばって考えたけど、さっきの巨大魚介類がまだまだ居るとすると皆は危険かもしれない。

何より船長は魔法の使えない一般人らしいので置いていくこともできないか。

そう考えていたところでポンっと肩を叩かれた。

見れば南野さんが笑顔で立っていた。


「今回のは鞍馬くんが原因だから何とかしてね」


あ、よく見たら青筋が立ってる。

どうやら一連の突っ込みでだいぶキているようだ。

これは逆らわない方がよさそうだ。

俺は変身用の魔道具を取り出すと、一瞬でウェットスーツに着替えた。

さらにロープを取り出して船首と自分を繋ぐと海へとダイブした。


「く、鞍馬くん!?」


驚く声が後ろから聞こえてきたけど、気にせず泳ぐ。

すると高速船並の速さが出たために別の意味で悲鳴が聞こえてきた。

まぁこれも一種のアトラクションみたいなものか。




みんなでダイビングして島まで向かうルートもあったのですが、早く島に着きたかったのでこうなりました。


「いや、みんな怖がって逃げちゃったんだけど」

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