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普通の高校はどこですか!?  作者: たてみん
第4話:夏休み、浜辺で君と、特異点?
70/103

70.旅にハプニングは付きものです 前編

くっ、旅行が始まったと思ったのに、なかなか現地にすら着かない。

なぜだろう。


こんな未来もあったかも小劇場

シリカ「飛行機での事件といえば……ハイジャック」

マルサ「ふっ、気付かれてしまっては仕方無い。全員動くんじゃないよ!」

飛行機が飛び立ってから1時間ほどは、みんな初の海外旅行というのもあってはしゃぎ回っていたが、今はだいぶ落ち着いて外の景色を堪能したりしている。

マルサさんはCA兼ガイド役をしてくれるらしく、窓から見える地方の紹介などもしてくれている。


「今左手に見える雪に覆われた高地がヒマラヤ大高地です。

昔は世界最高峰の山脈が連なっておりましたが、第1次聖魔大戦の時、魔王が放った一撃がその頂を粉砕、更にそれによって起きた土砂災害を聖者クルム様が沈静化させた結果、今の形になったといわれています。

現在の標高は約5000メートルです」

「山を粉砕するなんて、どんな威力なんだろうね」

「私達じゃ岩を崩すのが精一杯だもんね」


眼下に広がる光景にため息を漏らすふたり。

他のみんなも資料や映像では見たことはあっても生で見るのは初めてなのだろう。

興味津々に見ている。

ただ俺はある1点が小さく光ったのを確認して目を細めた。


「そして右手には……」

ガクンッ!!

「きゃっ」


マルサさんが次の紹介をしようとしたところで、それまで安定した飛行をしていたのに急に揺れ出す機体。

更には機内の明かりが消え非常灯が灯る。

咄嗟にみんな、近くの座席にもたれ掛かったので怪我をした人とかは居なさそうだ。

明かりはすぐに元に戻り、コックピットから放送が流れる。


『ご搭乗の皆様に連絡致します。

現在当機は魔物による襲撃を受けております。

安全の為、皆様は座席に座りシートベルトの着用をお願いいたします』

「魔物!?」

「どうやらヒマラヤ大高地に居たみたいだな。

この高度を飛ぶ飛行機を攻撃できるってことはかなり上位の魔物だろう。

流石に飛行能力まではないみたいだけど」


ただそう言っている間も揺れは止まらず、飛行は安定していない。

もしかしたらさっきの攻撃でどこか故障したのかもしれないな。


「ひとまず状況を確認する為に機長さんに話をきいてみようか。

マルサさん、いいですか?」

「そうですね。少々お待ちください。

……ええ、はい。分かりました。

大丈夫だそうですので、どうぞ皆さんこちらへ」


機長に確認を取ったマルサさんの案内でコックピットへの扉を開く。

そこは警報鳴り響く戦場だった。

そんな中でも機長は気丈に俺達を迎えてくれた。


「ようこそ、みなさん。少々騒がしくて申し訳ない」

「それは良いのですが、この機体は大丈夫なのですか?」

「大丈夫、と申し上げたいのですが、正直な所、かなり拙い状態です」

「!?機長ダメです。エンジン出力15%まで低下。このままでは5分後に失速します!」

「うろたえるな副長。まだ5分あるんだ、最善を尽くせ!」

「ですが……」


顔面蒼白になりながら計器類を弄る副長。

ふむ、どうやらエンジンが被害を受けたということか。

まずいな。流石にここで墜落したらみんなを連れ帰るのはかなり厳しい。


「機長、壊れたのはエンジンだけですか?」

「いえ、エンジンは無事です」

「ん?じゃあ、なぜ出力が?」

「破損したのは魔力タンクの方なんです。現在は魔道ケーブルに残っている魔力で持っていますが、それももうすぐ尽きます」


魔力タンク……つまり燃料切れってことか。

でも魔力で良いなら人力で供給することも可能じゃないだろうか。


「機長、その魔道ケーブルを機内から接触することは出来ますか?」

「非常ケーブルを使えば不可能ではない。だが、そんな事を聞いてどうする」

「簡単な話です。今日ここに居るのは全員魔法少女なんですよ。

彼女達がケーブルを通してエンジンに魔力を送ります。

この機体に付いてたエンジンなら、彼女達の魔力でも十分、巡航速度で飛ばせるでしょう」


そこまで機長さんと話して、俺はみんなに向き直る。


「みんな、良いよな?」

「もちろん」

「頑張ります」

「いつも通り鍛錬をすれば良いって事よね。任せて」

「旅にハプニングは付きもの。それを皆で協力して乗り越えるのも旅の醍醐味」


力強く頷くみんな。

ほんと頼りがいが出来てきたな。


「じゃあ、皆は一旦客室に戻って魔法少女に変身して来てくれ。

その後2人1組で交代しながら魔力鍛錬の要領でケーブルに魔力を送って欲しい。

先生は皆のサポートを。

機長さんは安定するまで現状維持できるように頑張ってください。

副長さんは非常ケーブルの準備をお願いします。

あと、もしこの作戦が失敗した時は早めに離脱をしてください。

パラシュートで地上に降りてくれれば俺が安全な所まで誘導します」


俺が指示を出すと、皆すぐさま行動を開始した。

ひとり、マルサさんだけはその場に残っていた。


「マルサさん。エアロックを開けてもらっても良いですか?」

「はい?何をされるつもりですか?」

「さっきの魔物、放置しておくのは拙いじゃないですか。

ちょっと行って倒してきます」

「倒してきますって……そんな無茶な。

もう既にかなり離れていますし、戻ってくる手段もないじゃないですか」

「そこらへんは何とかします。あと、俺が外に出た後はみんなと協力して魔力供給をお願いします」


まだ納得しきれて居ないマルサさんの背中を押して、エアロック前に移動した。

マルサさんにはしっかりとシートベルトで身体を固定してもらいつつ、操作盤を操作してエアロックを開錠する。


「じゃあ、閉めるのはお願いしますね」

「え、ちょっと!!」


エアロックが開くと同時に気圧差により機外へと突風が吹く。

それに逆らうことなく俺は地上6000メートルの空へと飛び出した。


長くなったので2話に分けました。

ちなみに今回は小劇場にあった2パターンを含め3つのうちかで行く構想でした。

ハイジャックの場合、マルサさんじゃなくて、機外に爆弾が設置されていたって話にする予定でしたが。


「なにあれ、戦闘機?Mig192だって」

「ちょ、ミサイル撃ってきたわよ!!」

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