67.聖女様と部活動
すみません、この土日は投稿はこれのみとなります。
一応番外編を1話書いているのですが投稿するのはもう1、2話後になります。
似て非なる小劇場
「そ~れ、いったよ~」
「はーい、たぁ。あっ、えっちゃんお願い!」
「任せて」
長かった一日もようやく放課後になり、俺達は天文部の部室へと移動していた。
流石にここまで来れば周りの喧騒からも開放されるな。
「今日はゲストのクラリッサさんがいらしてます。
が、本人の意向により特別扱いは不要という事ですから、皆さんいつも通りいきましょう」
「「はい」」
「クラリッサさんから、何かありますか?」
「はい、まず私は聖女というお役目を頂いておりますが、実態は皆さんと同じです。
ですからどうぞ、クラリスと私のことはお呼びください。
そして今日こうして部にお邪魔させて頂いたのは、先日の大会の事をお聞きしたかったからなのです」
クラリスさんがそう言った瞬間、南野さんは「来た!!」って感じでビクッとしている。
相変わらず嘘とか隠し事とかには向いてない性格だな。
ただ、クラリスさんはそれを気にせず若干興奮した面持ちで話を続けた。
「皆さんの戦いぶり、実に見事でした。
特に魔力制御が他の魔法少女たちと一線を画す、かなりの練度とお見受けしました。
ですので、もしかしたら皆さん独自の鍛錬法があるのではないかと思うのですがお聞きしてもよろしいですか?」
それを聞いてまずはと、顧問の央山先生が答えた。
「流石クラリスさん、目の付け所が違いますね。
確かに先月から私たちは独自の鍛錬法は無いかと研究を行っているところです。
今回の大会でもその実績が証明できましたので、近いうちに魔法学会の方に発表する予定です」
「そうだったのですね。それを今日見せていただく、もしくは私も一緒にやらせて頂くことは可能でしょうか」
「そうですね」
ちらっと俺の方をみる先生。
それを受けて俺は頷きながら答える。
「せっかくクラリスさんが居るのですから、あれをやりましょう」
「なるほど、あれね(どれかしら?)」
「なので、みんな。隣の人と手を繋いで円を作って」
「はーい」
「えっと……」
「ほら、陽子ちゃん、手を出して」
「う、うん」
まだ分かってない南野さんの右手を取って、左手でクラリスの手を取る。
そうして輪が出来たところで俺が音頭を取って鍛錬をスタートする。
「じゃあ今日は俺からスタートしますね。
南野さん、はい。それを東さんに渡してね」
「え、ああ。うん。っと、はい」
俺が右手に溜めた魔力の塊が南野さんに渡り、南野さんは受け取ったその塊を動かして右手の東さんに渡す。
そうして、俺、南野さん、東さん、先生、北見先輩、葛西先輩、クラリスさん、俺と回ってきた魔力の塊は元の半分になっていた。
俺は受け取った魔力の塊をそのまま、また南野さんに渡す。
さらにそれが東さんに渡ったところで次の魔力の塊を作って南野さんに渡す。
さらにそれが……とどんどん数を増やしながら速度を上げていく。
「あの、鞍馬様。これって普通は二人でやるものではないのですか?」
「ええ、二人でも出来ますよ。
特に師匠と弟子とか、親子ならより効率的ですね。
クラリスさんもご両親とされていたのですか?」
「はい。子供の頃はよくお父様お母様とやっていましたわ。
でもお母様からは『あなたの大切な人とだけやるのよ』って言われていたのですが」
ん?なぜだろう……ってそうか。
「クラリスさんのお母様が行っていたのはこっちですね。
えっと、南野さん。ちょっとドキッとすると思うけど気をしっかり持ってね」
「へ?え?うひゃああぁ、水希ちゃんパス!」
「うん、はぅっ。せせせ先生お願いします」
「……え、これが何か?」
南野さんや東さんのリアクションに比べて後になればなるほど、沈静化していき、クラリスさんまで行くと大した反応はなかった。
俺のところに戻ってきた魔力は元の10%程。まぁそうだろうな。
「じゃあクラリスさん。次は逆回転でクラリスさんに渡しますので気を確かに持ってくださいね」
「はぁ……ん~~~~!?!?」
ボンっと煙を吹く勢いで真っ赤になったクラリスさんがそのまま気を失いそうになったので、慌てて引き起こす。
「はぁっはぁっはぁっ。今のは一体……」
「簡単に言うと、最初に回したのはピュアでクリアな魔力だったんです。
そして今俺が渡したのは、俺の個性マシマシの魔力なんです。
表現は人それぞれですけど、裸で抱き合うくらいのインパクトがあるので、個性が似てる親子か、相応の関係を築いた相手とやるのがおすすめなんですよ」
「そうだったのですね」
「ついでに言うと、今ので快感と感じるかどうかで相手との相性が分かります」
「!?!?」
「龍司、先生と場所チェンジで」
「そうね、さっきのじゃ私達まで届かなかったし」
突然テンションマックスになった先輩たちに引っ張られて、再度魔力を流してはえも言えぬ悲鳴に似た何かが部室内に響いた。
そんな感じでわいわいはしゃぎながら部活の時間は過ぎていく。
ちなみに巫女の一族には門外不出として後半の鍛錬方法が伝わっています。
「ラブラブシュート!」
「なんの、ハートキャッチレシーブ!!」