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普通の高校はどこですか!?  作者: たてみん
第4話:夏休み、浜辺で君と、特異点?
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66.聖女様の目的

続き物なので早めに投稿。

その分、土日は投稿が出来ないかもです。


「目的?将来の旦那様を見つけて来いとかでしょうか」

本日最後の授業の6時間目は法学だ。

央山先生がまずはテスト用紙の返却を行っていく。


「次、加藤君。魔法式の公式を覚えたらもっと成績は伸びますよ。

次、鞍馬君。赤で書いた部分を後ほどレポートで提出してもらえると嬉しいです。

次……」


先生からテスト結果を受け取って席に着きつつ内容を確認する。

点数……120点?あれ、100点満点じゃなかったのか?

そう思いながら内容に目を通していくと、最後の2問に花丸が付いていた。

さらに「この魔法についてもっと詳しく教えてください」とか「これの問題点を教えてください」とか赤字でコメントが入っている。

いや、コメントというか依頼だな。

と、そこで手持ち無沙汰だったのだろう、クラリスさんが、すっと俺の後ろに立って答案を覗き込んだ。


「鞍馬様は頭も良いのですね。

あと、その最後の問題についてお聞きしたいことがあります。

ここでは授業の邪魔になりますから、少しお付き合い頂いてもよろしいですか?」

「は?」


突然何を、と思ったけど先生を見れば頷いて廊下を指差された。

どうやらクラリスさんの要望を聞いてあげなさいということらしい。

というか、今の俺達の会話、聞こえてなかったはずだよな。ということは予めこうなる事が予測出来てたんだろうか。

それは兎も角、俺達は連れ立って廊下に出ると、そのまま図書室へと向かった。


「ここなら他の誰に聞かれることも無いでしょう。

教えてください、鞍馬様。あの子守唄はいったいどこでお知りになったのですか??」


俺に向き直ったクラリスさんは昼休みまでのお淑やかな雰囲気が消え、鬼気迫ったような顔つきになっている。

この子守唄がいったい彼女にとってどんな意味があるのだろうか。


「何を期待しているかは分かりませんが、あの答案に書いた子守唄は俺が考えたものですよ。

なので、誰かから教えてもらったとか、何かで読んだとか、そういうものではないです」

「そう、なのですか」


俺の答えを聞いた瞬間、意気消沈したかのようにがっくりしてしまうクラリスさん。


「あの、あの子守唄に何かあったんですか?」

「はい、そうですね。ここまでしておいて言わないのは不誠実ですね。

実は……あの子守唄の内容が、私達巫女に代々伝わっているものに非常に良く似ているのです。

私の祖母である初代聖女のクレア様からは、この子守唄が唯一お父様がわたくしに遺していってくださったものだそうなのです。

子守唄の内容は、他の初代巫女の方々でもほんの小さい時に聞いただけなので断片的にしか残っておりませんでした。

そしてクレア様から『生きている内にもう一度聞きたい』と仰られているのです。

実はあの試験問題も、我々巫女が他にもこの子守唄が伝わっているかもしれないと思い、藁にも縋る想いで世界中の学園の試験問題に入れさせていただいているものなのです。

今までは期待したものとは異なるものしか見つかりませんでした。

それがこの度、完全な形でしかもタイトルまで判明したとの報せを受けたのです。

ですから私はその真相を確かめる為に急遽来日することにしたのです」


なるほど。

それであの問題があったのか。

確かに法学とは関係ないからなんであるんだろうって思ってたけど、そんな理由があったんだな。


「それで、その。たとえ本物ではなかったとしてもです。

是非とも鞍馬様には私と共に祖母のもとに来てくださり、あの子守唄を聞かせて差し上げて欲しいのです。

お願い出来ないでしょうか」

「なるほどね。うーん、まいったな」

「あの、何か問題が?」

「問題って程でもないんですが、俺にはやりたいことがありまして。

こんなことを言ったら笑われるかも知れないですが、高校生活を満喫したいんですよ。

夏休みって言ったら高校生活の重要なイベントの1つじゃないですか。

クラリスさんのお祖母さんに会いに行ったら、皆と楽しむはずだったイベントが潰れてしまうなと思いまして」

「なるほど、そうでしたか」


お、こんなこと言ったら呆れられるかなって思ったけど、存外真剣に考えてくれてるんだな。

そして考え込んでいたクラリスさんが「閃いた!」というようにパッと顔を上げた。


「それでしたら、バカンスは如何でしょう?

夏休みにお友達と旅行に行ったり、バカンスを楽しむのはありだと思いますわ。

幸いクレア様のお住まいの場所は地中海に浮かぶ島のひとつです。

海も綺麗ですし、休日を過ごすにはもってこいのロケーションです。

もちろんお友達も誘ってくださって構いませんし、お友達の分を含む、旅費や滞在費はこちらでお出ししますよ」


なるほど、友達と旅行か。

確かにそう言われると良い気がしてきた。

天文部のみんなと、央山先生も誘えば保護者問題も解決するし、うん、いいんじゃないかな。


「うん、良さそうですね」

「良かったですわ。では私、早速手配してきます」


そう言って鼻歌交じりにクラリスさんは図書室を出て行った。

この行動の速さは凄いな。

バカンスじゃなくて単純に夏休みが終わってから訪問するのでも本当は良かったのですが。

善は急げというやつですね。


「実際には1人の男を誘拐して来いって内容ですけど」

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