62.VS 魔将級 3
いつもありがとうございます。
今回のダイジェスト
魔将「俺のターン!」(終了3秒前)
サン「おらに元気を!」
右手に剣、左手に斧を持った魔物。
見れば跳んで来た時に馬は置いてきたようで地面に2本の足で立っている。
その両手が真上へと掲げられた。
「ガアアアアアアッ!!」
咆哮と共に旋風が巻き起こる。
魔物は両手が暴走しているかの如く振り回しながらサンシャイン達に突撃していった。
「ちょ、これまずいよ。ぐっ、きゃあっ」
「サンシャイン! うぐっ」
魔物の攻撃を受けたサンシャインとレインがまるでトラックに撥ね飛ばされたかのように場外に吹き飛ばされた。
そして2人に突撃した勢いのまま、シリカ達に向かって行く。
「まずいわ。ウィンディ、ここは私が時間を、ぐふっ」
4人の中では最大の防御力を誇るシリカすら、その突撃を防ぐことが出来ずに弾き飛ばされた。
「シリカ!?くっ、こうなったら……」
ウィンディは大きく後退すると、そのままぐるぐると魔物と追いかけっこを始めた。
ふむ、なるほど。流石ウィンディってところか。
咄嗟に後退を選択できるんだから、気転の早さは上級者だ。
そしてその行動の意味が分かってないのがここにひとり。
「に、逃げてばかりでは勝てませんわよ?」
「大丈夫だ。あれは恐らく相手の時間切れを狙っているんだ」
「時間切れ?」
「ああ。あんな無茶な暴走は長続きしないだろうからな。
時間切れになるまでああして風の力を利用して一定距離を保ちながら敵を引きつけてるんだ。
そうしている間にみんなも復帰してくるだろうしな」
そう言っている間にもう、少しずつ魔物の動きが緩やかになっていく。
っと、まずい。
「ウィンディ、伏せろ!」
「っ!?ぐっ」
業を煮やした魔物が斧を投げ飛ばした。
俺の声に急ぎ伏せたウィンディだったが、一瞬間に合わず背中を斧が引き裂いて行く。
その結果、魔法服は無事だったけど、その上から着けていたダメージ計測用の魔道具がはじけ飛んだ。
さらに飛んで行った斧はそのまま観客席に向っていく。
「ぎゃあ~~~」
「いやあぁぁぁ~~」
射線上に居た観客たちから悲鳴が上がる。
しかし、魔物が投げた斧は観客席とステージを隔てた防壁によって防がれたお陰で、被害は皆無だった。
『か、会場に残っている皆様。
御覧の通り、観客席を守る防壁は確かに機能しています。
更には聖女様も防壁強化に助力して下さっているので、流れ弾程度なら大丈夫との事です。
しかし、魔物本体が向かってきた場合はその限りではないでしょう。
出来るだけ速やかな避難をお願いします』
司会からそんなアナウンスが流れるが、観客は結局避難せずに残るようだ。
更には声援と共に多少なりとも魔法を扱える人達が今まさに戦っているサンシャイン達に魔力支援を行ってくれている。
「いってて。レイン、大丈夫?」
「何とか。咄嗟に後ろに飛んだお陰でダメージはそれ程でもないよ」
「2人とも、急いで戻るわよ。ウィンディだって長くは持たないだろうし」
ステージ外に吹き飛ばされた3人が立ち上がり急ぎウィンディの元に集まる。
その姿をみて会場中の応援も熱が入る。
それを受けてサンシャイン達に笑みが浮かぶ。
「すごいね」
「うん。1人1人は小さい力だけど、これだけ集まったら凄い力になるね」
「なら期待には応えないと」
「そうだね!」
よし、みんな気合十分だな。
なら頑張った皆にご褒美と行くか。
「みんな、折角だから難易度高めだけど必殺の合体技で決めようか」
「合体技!!そんなの出来るの!?」
「ああ。ちょっと難しいけど今のみんななら大丈夫だろう。
それに参考になる人も居るしな」
そう言って俺は隣にいるムーンライトを指差す。
それだけでみんな何をすれば良いのかが分かったようだ。
急いでこちらへと走ってくる。
「ただ流石に溜めが要るだろうからな。
その時間は俺が作っておくよ」
そう言って俺は、アイテム空間から剣を1本取り出しつつ、皆と入れ違いに魔物の前に立った。
魔法少女といえば「変身」「合体」「必殺技」ですよね。
え、合体は違う?




