6.夜中の邂逅
新規連載記念の連続投稿もここまで。
6話かけて漸く1日が経ちました。
今後は多くて1日1話ペースになります。
あとは無事に読んで下さる人が増えるかどうか、ですね。
真摯な小劇場
「夜に町に出掛ける?することは一つだろう」
一通り終わって時間を確認すれば20:00を過ぎていた。
ぐるるる~
おっと、新しい肉体で頑張り過ぎたせいか、お腹が空いてきた。
アイテム空間の中にはそれなりに食べられるものも確保してあるけど、せっかくならこの世界の食べ物も堪能したい。
それに何かあった時の為に身体も鍛えておきたいしな。
そう思って俺は食事どころを探すついでにランニングに出ることにした。
「コースはどうするか。
まずは家から学園までのルートの確認からかな」
そう呟くと学園のある方に向かった。
ついでに位置関係でいうと学園は山を挟んで反対側、とまでは行かないけど時計回りに120度ほど回った所にある。
軽く走れば20分とかからないだろう。
「グルルル」
「ん?」
あ、言っておくけど今度は俺の腹の音じゃあない。
って、まずいな。一人で居るとどうも独り言が増えそうだ。
それはともかく。向かう先から犬の唸り声が聞こえてきた。
声の方に行けば、黒い犬5匹が一回り小さい子犬1匹を取り囲んで威嚇していた。
「(弱い者いじめか、別の群れに紛れ込んできたかどっちかか?)」
通りかかったのも何かの縁だ。
俺は犬達が集まっている所に駆け込んだ。
「ガウッ」
「グルルr」
囲んでいた側の犬達は、突如現れた俺に驚いて飛び退いて遠巻きに威嚇していた。
残りの1匹は怪我をして動けないのかもしれないが、俺を一瞥するとすぐに他の犬へと視線を戻した。
ふむ、大分ボロボロにされてるけど戦意は喪失していないのか。
それと、ただの犬かと思ったら、こいつらは魔犬だな。
なら俺の言葉も理解できる頭があるかもしれない。
「すまない。邪魔をしたか」
「フスっ」
声を掛けたら鼻息で返事をされた。
やはりこちらの言葉を理解できているようだ。
そしてこいつはまだやる気を失っていない。
小さいながらも良い根性している。
「だけど5対1はいただけないな。
おい、お前達。1対1で戦うなら見届けてやる。だが5対1でやろうって言うなら俺はこいつに加勢するぞ」
「ガルッ」
「グルァ」
「そうか、それが答えか」
俺の言葉に5匹全員で飛び掛るという行動に出た犬達。
彼我の力量差も理解できないなら少し痛い目に遭ってもらうか。
俺は右手に風の魔力を纏い、右ストレートを出す要領でそれを犬達に打ち付けた。
『エアハンマー』
「ギャイン」
中央に居た犬が直撃を喰らい吹き飛ばされる。
他の4匹も吹き飛びこそしなかったけど、横殴りに倒されていた。
うーん、思った以上に弱いな。
っと。更にここで遠くから人が近づいてくる気配がした。
気配からして、それなりの魔力量を持っているようだけど、面倒事の臭いがプンプンする。
「見つけた!そこまでよ、魔物たち」
「まってーサンシャイン」
そう言って現れたのは赤い髪に赤い衣装を纏った女の子と、追いかけるようにやって来たこれまた青い髪に青い衣装を纏った女の子。
第一印象は「コスプレ?」だった。
可愛さ重視で防御力は度外視なそのデザイン。
そういや子供のころヒーローごっことかが流行ってた気がするな~。
と、それは良いとして、どうやらこの子たちは魔犬を退治しに来たらしい。
俺的には向こうの5匹は好きにしてもらって良いんだけど、こっちの1匹は折角助けたんだから見逃して欲しいところだ。
その2人組がこっちを振り向いた。
あ、魔犬と一緒に居る所を見られると誤解される?一応認識阻害の魔法を掛けておくか。
「そこの人!魔物と一緒にいるなんてどういうこと!?」
「さ、サンシャイン。もしかしたら新手かも」
「!?まさかあなた、魔王の幹部ね!!」
青い子の言葉を聞いて「これっきゃない!」って感じで赤い子が俺を指差した。
あちゃあ。
悪い予感ってのは当たるもんだな。
これは早々に退散すべきか。
「(おい、逃げるぞ)」
「ワウッ?」
今も何とか立ってる風だった子犬を抱きかかえて一気に加速してその場を後にした。
「ま、待ちなさい」
「消えちゃった。って、今はそれよりもこの魔犬を何とかしないと」
そんな声が後ろから聞こえてきた。
まぁあの魔犬に比べたら女の子達のほうが強そうだったし、恐らく大丈夫だろう。
俺はまずはこいつの手当てをしてやらないとな。
そうして俺は急ぎ家路に就いた。
「って、飯食ってないじゃないか」
ここでやっと魔法少女が出てきました。
見た目とか名前のイメージがありきたりですが、その辺りは温かくスルーして頂けると助かります。
「おまわりさーん。ロリコン変質者です~」