59.エキシビションマッチ
無双撲滅委員会の皆様が視察にこられました(嘘)
べ、別に大会の模様がダレてきたからじゃないんだからねっ。
ちゃんと3分前から決まってたんだから(実際には1日目を書き始めた辺りです)
色々ずれた小劇場
「その結婚式待った!!」
「あのーそれ、隣の会場ですよ?」
準決勝第2試合は月光学園が勝ち上がって来た。
試合内容はまさに接戦と言ったところで、お互いにメンバーが2名脱落した所で、月光学園大将が場が硬直したタイミングを逃さず必殺技を放って、相手チームの大将をステージごと粉砕して決着した。
現在は壊れたステージの修復中だ。
ゴロゴロゴロッ。
うーん、朝からの曇り空が大分怪しくなってきた。
この会場はドーム状になっていて、天候に合わせて天井を塞げる仕組みになっているらしいんだけど、まだその兆しが見えない所をみると、雨が降って来てから閉めるつもりだろうか。
ピンポンパンポン♪
『皆さま、お待たせしました。
ステージの修復が終わりましたので、あと10分後に決勝戦を開始致します。
選手の皆様はステージへとお集まりください』
と、呼ばれたか。
「じゃあ行こうか」
「「はい!」」
みんな揃って控室からステージへと移動すると、相手チームは既に来ていた。
ゴロゴロゴロッピカッ!
「きゃっ」
あ、これは……まずいな。
サンシャイン達も顔をしかめながら空を見上げる。
「リュージュ。嫌な天気だね」
「ほんとです。雷、落ちて来たりしないですよね」
「雷だけなら良いんだけど、残念だけどそれ以外も落ちて来るな」
俺の懸念はみんなとはちょっと違うんだよな。
試合中にそっちが起こると防御が間に合わない危険もあるか。
それならばと、俺は相手チームの大将に話をつける事にした。
「おい、そっちのチームの大将!えっと……」
「ムーンライトよ。何かしら」
あ、ただ。何て言えば良いだろう。恐らく真実を伝えても信じては貰えないし、雷が降るからなんて理由を言っても鼻で笑われるだけだろうし、さて。
「何?人を呼んでおいてだんまりとは何がしたいのかしら」
「あ~すまん。どう伝えたら良いか迷ってな」
「もしかして。先ほどの試合のように今度は貴方が私に一騎打ちを申し込むつもりかしら?」
「あ、いや。むしろ逆だ。この試合、延期にしないか?」
「は?」
「え?」
ムーンライトだけでなくこっちのチームからも驚きの声が上がる。
まぁそうだろうな。
「まさか貴方、雷が怖いから戦えないなんてい言わないでしょうね」
「あぁ、そのまさかだ。そっちだって試合中に雷が降ってきたら嫌だろう」
「ふん、馬鹿にされたものね。雷程度どうという事は無いわ。
話は以上かしら。なら試合開始の合図を震えながら待っている事ね」
それだけ言うと向こうサイドに歩いて行ってしまった。気の早いことで。
ま、ある意味予想通りの展開か。
「リュージュ。今の話は一体何だったの?」
「まぁ大した事じゃないから忘れてくれ。それよりもみんな。
今すぐ全力戦闘準備だ。ここから先は一瞬も油断するな」
「え?それってまさか……」
「この空模様と関係があるのかしら」
「リュージュの雰囲気からして敵は彼女たちでは無いようね」
みんなは俺の言葉に疑いを持つことなく従ってくれた。
全員が武器を構え、いつでも魔法を発動できるように魔力を溜め始める。
『さぁまもなく決勝戦の合図……なのだが、神門学園の選手が既に魔力を溜め始めているぞ!?
本大会では開始前に魔力チャージは行わない決まりになっているので、このままではペナルティが課せられてしまうが……』
司会の声が聞こえるが、残念だけど俺はただ待って試合を開始させる気は無い。
アイテム空間からピンポン玉サイズの魔石を取り出すと、ステージの真上に放り投げた。
カッ!!
瞬間。
上空から雷が魔石目掛けて降ってきた。
その衝撃で相手チームが数人吹き飛ばされる。
こちらは既に戦闘体勢を整えていたから、これくらいではビクともしないけど。
さて……
「な、なにあれ」
思わずつぶやいたサンシャインの視線の先には、まっ黒い穴が開いていた。
その穴からは非常に濃い魔素が流れ出てきていた。
その正体にいち早く気が付いたのはベンチからこちらを見ていたクロノスだ。
「まさか、特異点、なの?」
「そうですね。以前住んでいた場所ではゲートって呼んでましたけど、こちらでいう特異点でしょうね。
それよりも。そろそろ出てきますよ」
「なっ、うそ!?」
まるで俺の言葉に応える様に、特異点から魔物が2体出てきた。
いずれも馬に乗った騎士のいで立ちで、片方は斧を、もう片方は剣を携えている。
「『地獄の断罪人』か。1体1体はBランク相当ですが、2体セットとなるとAランクに匹敵します」
「魔将クラスの魔物が2体……」
「この魔力の強さ。これまで見てきた魔物の比ではないわね」
「リュージュ、今の私達で勝ち目はあるのかしら?」
みんなから不安が伝わってくる。
まぁ仕方無いか。普段戦っている魔物とは桁が違う強さだし。
でも、これくらいの強さにはもう慣れてるんだけどな。
「ええ。分かりやすく言うと、コロより弱いですよ、あれ」
「な、なるほど。なら勝ち目がありそうね」
「そう言う事です。では俺は向こうの5人を保護してきますから、あいつらの討伐は任せますね」
そう言って俺は相手チームに向って歩いて行く。
それをみて慌ててサンシャインが俺の背中に声を掛けてきた。
「って。リュージュは戦わないの!?」
「まあな。さっきの準決勝の時に次の戦いは手を出すなって言われてたし」
「そ、それとこれとは別じゃない、かな」
「ま、大丈夫だって。それにみんなの魔法のお披露目にはちょうどいいだろ。
周りを気にせず戦えるようにしておくから、存分に戦ってくれ」
そう言って俺は手を振ってまるで散歩するかのように相手チームへと向かっていった。
一番の問題は、次の話でちゃんと戦闘シーンが描写できるかどうか(現在まだ白紙です)
なのでちょっと次話遅くなるかもです。
「はっはっは。花嫁は貰っていくぞ」
「まさかリュージュが狙われるなんて!!」




