56.化け物と呼ばれる少女達
今週末はこれ1話のみになりそうです。
楽しみに読んでくださっている皆様、少々お待ちください。
意外と間違ってない小劇場
「さあ始まりました。異種魔法対戦。
ルールはただ一つ、最後にステージに立っていた方が勝ちだ!!」
そして第2試合。
相手の装備はというと……
・チェーンソー
・ニードルガン
・火炎放射器
・ドリル
・電動のこぎり
何と言うかもう、土木工事とかで活躍した方が良いんじゃないかって言いたくなるラインナップだった。
それでも、まぁ、魔力による強化も多少出来てるし、直撃は拙いかな。
「なので武器は解禁で。ただし、あくまで相手の武器破壊を狙う程度にすること」
「「はい!」」
とは言っても、魔力による身体強化のレベルがだいぶ違うからな。
あーやっぱり。
あっさりと相手の武器を破壊してから、撫でる程度に一撃を加えて敵を倒していき、決着が付いた。
「最低限、『ショット』が使えないと私の出番が無いわね」
そう愚痴をこぼすウィンディと一緒に俺も1歩も動くことなく終わってしまった。
続く第3試合。
今度は重火器のオンパレードだった。
うーん、バズーカ砲とか対戦車ライフルとか、こんな狭い試合会場で使う武器じゃないと思うんだけど。
あ、手榴弾もありますか、そうですか。
閃光弾と催涙弾には苦戦したものの、ライフルの弾丸はシリカの盾で防がれ、バズーカもサンシャインが叩き返していた。
この調子なら戦車が出てきても戦えそうだな。
相手選手から「くっ、化け物か」とか呻き声が聞こえてくる。
いやまぁ魔法に精通すると物理兵器に対してかなりのアドバンテージを取れるからな。
『こ、これは驚きだ!!
破竹の勢いで勝ち抜いてきた神門学園の魔法少女達。
学生用とはいえ近代重兵装を物ともしない戦いっぷりに相手選手も動揺が隠せない様子。
ここまで来ると1人1人が伝説の魔将級の強さを持っているのではないでしょうか』
司会の声も興奮で鼻息が凄い。
観客もどう反応していいか分からない感じだ。
「……魔将級ってなんだろう」
「ああ。魔将級っていうのは第1次聖魔大戦で主力となった魔物の事よ。
当時の近代兵器をことごとく無効化して、核弾頭クラスの環境破壊兵器じゃないと倒せなかったと言われているわ」
「なるほど。ありがとうございます」
俺の呟きにウィンディが答えてくれた。
そっか。前の世界で言うAランクの魔物相当ってところかな。
残念だけど流石にまだまだみんなはそこまでの実力はない。ギリBランクと言ったところだろう。
と、そこで相手大将がもう1人の魔法少女と一緒になって何かを組み立てていた。
「また随分大掛かりな兵器を」
「個人で持ち込めるサイズならOKだからね。ああしてバラして持ち込めば大丈夫って事なんでしょう」
そうして出来上がったのはレールガンか。
電力はどうするのかと思ったら魔法で賄うらしい。
2人がガードを固める中、残りの3人で魔法で電撃をチャージしていく。
……その魔力があるなら、普通に魔法で戦えば良いのに。
前の戦いもそうだけど、変に兵器に頼っているせいで魔法が疎かにされがちだな。
そうこうしている間にチャージが終わったらしい。
ちなみに、この間俺達は相手の出方をゆっくりと待っていた。
倒すのは簡単なんだけど、折角色んな攻撃が見られるんだから受けておかないとな。
「さて……流石にこれの直撃は痛そうだな。
シリカに防いでもらうっていうのでも良いんだけど、ここまで暇してたウィンディに頼もうか」
「ええ、やっと出番ね」
「はい。風の小盾で敵の射撃を止めてください。
多少雷撃の魔法が籠められた弾丸になっていますが、ウィンディの魔力なら大丈夫でしょう」
「失敗しても許してね」
ウィンク1つ飛ばして前に1歩出るウィンディ。
相手側も初めてウィンディが動きを見せたので若干警戒を強めたけど、今更行動を変えられないだろう。
そして……
「くらえ!!」
ビギッ!!
空気を引き裂く音と共に射出された弾丸は、しかし俺達と相手選手の中間地点で見えない壁にぶつかって停止した。
「な、何が起きているんだ!?」
「分からない。あのウィンディって人が何かをしたとは思うんだけど」
「私達3人の全力が彼女1人に負けてるってこと!?」
相手の動揺した声が聞こえる中、やがて力を失った弾丸はゴトリと地面に落ちた。
同時に膝を着く相手選手。
「降参よ。今の一撃が効かないんじゃ私たちに勝ち目は無いわ」
相手大将の宣言により、試合が終了した。
こうして俺達はベスト4へと進出を果たしたのだった。
実際最初のコンセプトとしては科学と魔法の融合を目指していたんですけどね。
気が付けば科学を圧倒する話になっているという。
「おおっと、ここで大技、ちゃぶ台返しだ!!
ステージそのものが反転。ステージ上に居た全員が下敷きになりました。
そして今、一時的にステージ外に降りていた海原選手がひっくり返ったステージに上って決着!」




