47.勉強会?
いつもありがとうございます。
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謎の予告的な小話
「これは、予告状!?」
「『怪盗シリカがあなたの大切な物を頂きに参ります』だって!?」
「それってもしかして『あなたのここ○です』かな?」
「それでは、第1回鞍馬くんお宅探検大会を開催します」
「おおーー」
「わーぱちぱちぱち」
「……おーい」
放課後に天文部で勉強会をしようと俺の家に集まったんだが。
居間に入るなり、葛西先輩と南野さん、何気に東さんもテンションが高かった。
「いやさ、魔法の特訓で裏庭には何度も来てるし、お手洗いを借りに裏口から廊下までは入った事あるけど、居間は何気に初なのよね」
「そうそう。トイレのついでに覗いてみようかと思ったら鍵が掛かってるしね」
「やっぱり鞍馬くんもエッチな本とかベッドの下に隠してるんでしょうか」
「いや、普通にプライバシー保護な訳で、エッチな本とかは無いから」
「あれ?ところで北見先輩はどちらに?」
「え?」
確かにそこには一緒に来たはずの北見先輩の姿が無かった。
そういえば来て早々お手洗いを借りに行ったけど、それにしては遅いな。
「きゃっ」
「今のは先輩の悲鳴?」
「上から聞こえてきた気がするわ」
「なら2階ですね。俺の部屋までは解放してなかったので間違ってドアノブに手を掛けてしまったんでしょう」
「とにかく行ってみましょう」
「レッツ探検だね」
南野さんまだそのネタ引っ張るんだ。
とにかく皆で2階に上がってみれば、尻餅をついたじと目の北見先輩がいた。
「突然電流が流れてきたわ。死ぬかと思った」
「大袈裟です。静電気でバチッと来るよりちょっと強い程度ですから死んだりはしません」
もちろん、強引に押し入ろうとしたらその限りではないけど、そこまでは言う必要も無いだろう。
「それに俺の部屋なんて特に何もないですよ」
「そうね。ごく普通の1人部屋って感じだったわね」
俺の言葉に同意する先生。
その一言に全員の視線が集まる。
「先生、中に入った事あるんですか!?」
「えっ、ええ。例の治療の時に、ちょっとね」
そう言って顔を赤らめる先生。
って!そこで赤くなったら何かけしからん事をしてるように誤解されるじゃないですか。
「……怪しい」
「ま、まぁまぁ。
それより今日は勉強をしに来たんですから、居間に戻りますよ」
「「はーい」」
「やっぱり怪しい」
ひとまず居間に戻って来た俺たちは気を取り直して勉強を開始した。
因みに葛西先輩と央山先生は指導役で、俺たちが詰まったらアドバイスしてくれることになっている。
北見先輩は自分の勉強もあるから自習しつつ質問があればって形にした。
「うーん、葛西先輩。ここってどうやるんですか?」
「それはね、この公式を使ってこうすれば……」
「あっ、分かった気がします」
「ポイントはここね。この形を見たら今の公式を使ってみると良いわ」
「なるほど。ありがとうございます」
おぉ、こう言ったら失礼だけど南野さんがきちんと勉強してる。
というか、葛西先輩の教え方が上手だな。
「北見先輩。この時の大統領はどうしてこんな政策を打ち出したんでしょう」
「ああ、それは当時の経済状況を考えればいいわ。
当時は大戦で多くの人が亡くなった後で、逆に言えば土地が空いたの。だから……」
東さん達はまた随分難しい話になってるけど、そんなの試験範囲じゃない気がするんだけどな。
まぁ2人はだいぶ余裕がありそうだから平気か。
「ねぇ鞍馬君。法学の授業で先日鞍馬君が教えてくれた鍛錬法を取り入れて行きたいのだけど、圧倒的に魔球の数が足りないの。
どうすれば良いかしら」
「えっと、そうですね。俺が教えた時は分かりやすいようにと魔球で説明しましたが、要は意識的に魔力の移動や出し入れが出来れば大丈夫なんです。
だから魔球を使わなくても代替品で十分賄えませんか?」
「あ、そうね。それなら幾つか安価で使えるものがあるから、試してみて問題なければ申請してみるわ」
「はい。って先生。なぜ俺の方が相談に乗ってるんですか?」
「だって鞍馬君は優秀なんですもの。何も教える事が無さそうだわ。
年上の女性としてアドバイスでもって思っても、それも何故か負けてる気がするのよね」
いやまぁ、確かに転生前の人生経験を考えれば女性に関するあれこれも知識も経験も豊富ではあるけど。
今の俺からそこまで分かるものなんだろうか。……女の勘って奴かな。
あと微妙に距離が近いです、先生。
「あー、先生ばっかり鞍馬くんといちゃつくの禁止です!」
「そうね。鞍馬くんはみんなの鞍馬くんですからね~」
「そうです。抜け駆けはダメです」
「龍司、お茶お代わり」
葛西先輩の言葉を皮切りに、ワイワイと勉強会は脱線していくのだった。
家での勉強会がまともな勉強になったシーンを見たことがない。
「ふふふっ。残念ね。それなら既に私が盗んでいるわ」
「誰!?」




