45.打ち上げ
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ちょっとずれた小劇場
「諦めたらそこで試合終了だよ~」
「あ、おまえがトイレ行ってる間に終わったぞ?」
「じゃあみんな。お疲れ様でした~」
「お疲れ様~」
「おつ~」
「お疲れでしたー」
大会が終わり、俺達は打ち上げに近所の喫茶店に集まっていた。
「しっかし、惜しかったよね」
「最後の一撃があとちょっと早ければ勝ててたよね」
「相手上級生だったし、来年には負けない」
「そうだな。来年は新入部員も入るだろうし、フルメンバーで挑もう。
鞍馬もありがとうな。
元々試合には出たくないって言ってたのに無理言って付き合ってもらって」
「いや、俺もみんなの試合を間近で見られて楽しかったよ」
この会話から分かる通り、大会は結局決勝で相手の大将を引っ張り出す所までは行けたけど、あと一歩及ばず準優勝で終わった。
準決勝と違って相手も正々堂々と勝負してきたので、北山が負けて俺の番まで来た時点で降参したのだ。
と、沖田さんがポテトを摘まんでヒラヒラさせながら疑問を投げ掛けた。
「それにしても、よくあの試合の後ですぐ決勝戦出来たよね」
「あ、それ私も思った。
結局、審判も観客席で倒れた人達もみんなグルだったんでしょ」
「そうらしいわ」
「何でも教会のお偉いさんが来てて速攻で捕縛と事実の公表、更には審判の代理も立ててくれたらしい」
あの試合が終了した時点で審判と観客席で合わせて10人が意識不明で病院に搬送された。
観客のうち、6人は自分が放った魔法が威力倍増で跳ね返って来て昏倒した。
後の3人と審判はバフやデバフを掛けようとしていたらしく、俺が設置したトラップに引っ掛かり急性魔力欠乏症により倒れた。
審判に至っては2日は起きないだろう。
いずれも自業自得だから少しは反省してもらおう。
まぁ、退院後は司法の目が光ってるからただでは済まないんだけど。
「そういえば、最近夜に魔物が発生する頻度が上がってるってほんとかな」
「それな。どうやら本当らしいぞ。
なにせ魔法少女の目撃回数も増えてるって話だしな」
「って、そんな話が上がってるのか」
「お!こういう話に鞍馬が食いついてくるのは珍しいな。
やっぱり魔法少女って聞いたらワクワクするよな!」
「はぁ。また始まった。
ごめんね鞍馬くん。ともくんってば魔法少女オタクなのよ。
どこどこの専門学校の魔法少女が可愛いとか、あっちのはクールだとか。
流石に夜に外に出て魔物と戦ってる所を見に行ったりはしてないらしいんだけどね」
「くぅ。俺も魔法力が高ければなぁ。魔法少女と肩を並べて戦えるのにな」
「ダメだよ。試合と違ってホントに危険なんだから」
「分かってるって。俺がそういうことするとお前まで付いてきて余計危険なんだから行かないって」
「なら良いけど」
「でもそうだね。北山君が危ない事してるって聞いたら体をはって止めに行っちゃうよ」
「私の屍を越えていけ?」
「それは違う」
でもま、この調子なら大丈夫だな。
「と、そうだ。魔法少女と言えば。
本当か嘘か、魔法少女達の大会もあるらしいぞ。
くぅ~、もし本当なら見に行きたいよな」
「あーそうだな」
一応先生からは、友人には伝えても良いとは聞いてるんだけど、言っても大丈夫かな。
まぁ、大丈夫か。駄目だったら内川さん達がなんとかしてくれるだろう。
「北山。ここにチケットが5枚ある」
「は?なんの?」
「魔法少女の大会の」
「は?……はぁぁ!?」
「あーうるさい。お店に迷惑だから静かにしろ」
「いやだってなぁ」
「はいはい、ともくんはちょっと黙ってようね」
内川さんに過多を押さえられて大人しくさせられる北山。
相変わらず尻に敷かれるのが似合うな。
「それで鞍馬くん。その話って私達に話しちゃって良かったの?」
「ダメなら言ってないよ」
「それはそうなんだけど、鞍馬くんって常識では測れない所があるから」
「まぁ自覚はある」
最近、ようやくこの世界の常識が把握出来てきた所だし。
ただ改めて思うのは、俺はこの世界ではまだ異端だってことだ。
特にさっきからずっと感じるこの視線の主からはな。
そう思って一瞬窓の外へと視線を向けてみた。
『ッ!』
スナイパーライフルか。
俺はともかく、他のみんなに流れ弾が飛んだら危険だな。
……むしろそれくらい大丈夫なように鍛えるか?
ありだな。後で先生に相談してみるか。
魔法少女といいつつ、普通に男子もいます。じゃないと鞍馬が……。
そして少しずつ鞍馬の周りはきな臭くなっていきます。
「つぎは負けないぞ」
「いや、おまえもう引退だからな」




